経済を良くするって、どうすれば

経済政策と社会保障を考えるコラム


 *人は死せるがゆえに不合理、これを癒すは連帯の志

4-6月期GDP1次・消費主導の成長とは

2024年08月18日 | 経済
 実質成長率は年率3.1%、家計消費(除く帰属家賃)が前期比+1.2%となり、名目だと+1.8%に達した。可処分所得が増し、消費が成長したことを素直に喜びたい。雇用者報酬が伸びているのに、負担増で可処分所得を削り、消費を低迷させていた2023年から脱却したことになる。もっとも、日経は、消費主導を訴えつつ、緊縮財政を望んでおり、とことん現実が見えてない。成長には消費、消費には可処分所得が必要なのであり、よほど成長が憎いようだね。

………
 経営者が、金利でなく、売上に従って設備投資をするのは、売上を得られないと、会社の屋台骨を揺るがしかねないからである。シャープの堺液晶パネル工場の失敗例を引くまでもない。マクロ的には、投資をしたところで、政府に緊縮で売上を奪うことをされると、経営に窮してしまう。景気回復の局面で財政出動を絞るのは当然だが、程度の問題で、無闇にやれば、成長にブレーキをかけてしまう。それがデフレ期の政策の特徴であった。

 売上に従う行動は、卑近なものだが、マクロ的には、いったん低成長に陥ると、金融緩和をしても低迷が続き、なにかで高成長になると、引締めても、なかなか減速しないという困った事態になる。その実例がリーマン後の米国であり、コロナ後の米国である。もはや、長期停滞論や日本化は聞かれなくなり、その間、財政の有用性が指摘されたり、後にはやり過ぎが批判されたりした。十年一日、緊縮財政を詠唱する日本の学者とはリアルさが違う。

 今期のGDP速報では、設備投資の名目前期比は+1.9%と、驚くほど伸びた消費を上回る。GDP比率は、リーマン前やアベノミクス期のピークを超えており、過去30年なかった投資ブームとなっている。これ以上の投資促進策が必要なのかと思えるレベルだ。あとは、年率+3%の設備投資がほしいなら、+3%の消費増、可処分所得増、政府支出増を確保するという態度で経済運営をすれば良い。金利ある世界だから緊縮なんて言っている場合ではない。

(図)


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 しょせん、一つの四半期の結果に過ぎず、単に自動車生産が戻っただけの一時的なものかもしれないが、久々に成長軌道に入ったことを期待させるものになっている。何が良かったかと言えば、世論を気にして物価対策に財政を使い、自民党総裁選を前に定額減税を打ったところか。しかしながら、成長軌道の転換の結果が出た日の夕に、岸田総理は退陣を表明するに至った。余計な改革などせず、庶民の財布への聞く耳を持っていたのに、残念なことである。


(今日までの日経)
 学生、自給自足の「推し活」。社説・消費主導の経済回復を本格的な流れに。公的年金や医療保険、外国人の納付実態調査へ。投資、7~9月も景気下支え エコノミスト予測 GDP実質1.7%増。米小売売上高、7月1.0%増 市場予想を上回る。岸田首相退陣へ 自民総裁選に不出馬。


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