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蚊焼です。日記です。
旅のこぼれ話や没写真の再利用、
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雲を見ていますと

2006年09月09日 | 雑感散文

 写真は、旅行中飛行機の窓から撮影したものです。



まだまだ、
残暑が厳しい今日この頃。
日差しもじりじりと、
肌を焦がす。

気圧が不安定な状態にあるらしく、
雲も激しい流れにただひたすら、
身を委ねるしか術が無いようだ。

それにしてもこの雲というものは、
大小もさることながら、
その形、色、重みが、
てんでばらばらなのが面白い。

今日見た空は、紺碧の空。
青すぎて、不気味な闇を作り出し、
黒ずんだようにも見えるほど、
青い青い空。

そんな中に、
ポツリポツリと浮かぶ雲。
今日の空には、
実に様々な種類の
雲が浮かんでいて面白かった。
円盤状の低く垂れ込めた、
しかし小さな小さな雨雲。
また、純白で、
いかにも軽そうで、
旅人のようにどこまでも
流れていってしまうことを
躊躇わないような小雲。
他にも、薄い膜状の雲や、
細長く伸びる雲、
丸い雲、角ばった雲、
鋭利な雲、動物のような形の雲。
様々な雲の形、色、重みを
いっぺんに見ることが出来た。

この雲の存在が、
昔から不思議で不思議で
しょうがなかった。

薄くて、真っ白で、
いかにも軽そうな雲はそれでいい。
しかし中には、
積乱雲のように、
暗く、重く垂れ込め、
今にも崩れ落ちそうなくらい
不安定に浮いている雲もある。
そんな雲が、
彼方に見えたとき、
それでも浮いていられるのが
不思議でならなかった。

とりとめもなく、
つかみ所のない雲たち。
なんとなく理解しがたい存在。

それは、その雲たちよりも、
高いところに飛んだとき、
ますます分からなくなってしまった。

秋雨前線が日本列島を
覆っていたとき、
空中を飛んでいた。
厚い雲を抜けると、
空は雲ひとつない、
頗る晴天。
一方で地上を見下ろすと、
これまでに見たことが無いほどの、
一面の銀世界。

こんな世界が、
日本のすぐ真上にあった。
ここはまさに、
天空の世界。

日本画でよく、
鳥瞰図が描かれるとき、
絵には必ず雲が描かれていた。
これはもちろん、
天から地上を見ていることを、
よりリアリティーに迫るための
一つの技法である。
また、天というものの
尊さや畏怖というものを、
表現しているという
役割も担わされている。

しかしまさに、
その通りの風景だった。
世の中はこんなにも、
雲に覆われていた世界だったのか。

この一面の銀世界は、
地球の地表という「1階」に対して、
「2階」というものが
存在するかのような印象を受けた。
人は住めない、
「アネクメーネ」の土地ではあろうが、
でも確かにここには、
世界というものが存在していた。

そうか、いつも空を見上げて、
不思議に思っていた、
つまり、日常と乖離した
存在に見えていたのは、
空というものは一つの
「異国」だったのではないかな、と。

空を見上げればいつでも、
「ここ」とは違う世界が、
常識が、普遍が、日常が、
風と共に、
時間が流れ過ぎ行く。

科学が発達した今でも、
雲が水蒸気であることを
分かっていても。
いやむしろ、
そんなことを言ったところで
異世界は異世界だ。

天を仰げばいつでも、
異世界に思いを
馳せられるのは、
素敵なことだ。


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