日産自動車は、次世代の「e-POWER」向け発電専用エンジンで、世界最高レベルの熱効率50%を実現する技術を開発した。
現在、自動車用ガソリンエンジンの平均的な最高熱効率は30%台であり、40%台前半が限界とされていた。今回、日産が実現した熱効率50%は、エンジン開発において極めて革新的なもの。
今回、日産が熱効率50%を実現するために開発したのが、新燃焼コンセプト「STARC(Strong Tumble and Appropriately stretched Robust ignition Channel)」。同コンセプトは筒内ガス流動(シリンダー内に吸入した混合気の流れ)や点火を強化し、より希釈された混合気を高圧縮比で確実に燃焼させることによって熱効率を向上させるという考え方。
従来エンジンの場合、変化する走行負荷に対応するために、混合気の希釈レベルの制御には制約があり、筒内ガス流動や点火方法、圧縮比などにも、様々な運転条件のトレードオフ(例えば動力性能のために燃費を犠牲にするなど)によって制約を受けてきた。
しかし、エンジンを発電専用に特化し完全定点運転で使用するというブレークスルーによって、熱効率を飛躍的に向上させることが可能となる。
希釈方式としてEGRを使う場合で43%、リーン燃焼を使う場合で46%の熱効率を、既に多筒エンジンにて実証しており、それらを完全定点運転することと、廃熱回収技術を組み合わせることで、熱効率50%が実現できることを確認した。(日産自動車)