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“科学技術書・理工学書”読書室―SBR―  科学技術研究者  勝 未来

科学技術書・理工学書の新刊情報およびブックレビュー(書評)&科学技術ニュース   

●科学技術ニュース●JAXAと日立造船、世界初、宇宙での全固体リチウムイオン電池の充放電機能を確認

2022-08-11 09:43:07 |    電気・電子工学
 宇宙航空研究開発機構(JAXA)と日立造船は、国際宇宙ステーション(ISS)の「きぼう」日本実験棟に設置した全固体リチウムイオン電池の実証実験を実施し、世界で初めて宇宙で充放電できたことを確認した。

 JAXAと日立造船は、宇宙探査イノベーションハブの研究提案公募の枠組みの下、2016年から全固体リチウムイオン電池の共同開発を行ってきた。

 この全固体リチウムイオン電池は-40℃~120℃という広い温度範囲で使用可能であり、かつ、安全性が高く破裂発火のリスクが極めて小さいため、温度差の激しい、真空で放射線に晒される宇宙環境で利用する設備の小型・軽量化や低消費電力化に寄与することが可能。そのため、従来宇宙で使用している有機電解液のリチウムイオン電池では難しかった省スペース化が求められる小型機器への適用や、船外実験装置などでの使用が可能になる。

 今回の実験は、2022年2月20日にISSに向けて打ち上げた全固体リチウムイオン電池軌道上実証装置(Space As-Lib)を、「きぼう」日本実験棟の船外実験プラットフォームに設置された「船外小型ペイロード支援装置(SPySE)」に取り付け、宇宙環境で全固体リチウムイオン電池の充放電の実証を行うものであり、世界で初めて充放電が可能であることを確認した。<宇宙航空研究開発機構(JAXA)>
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●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「エッジAI導入の手引き」(出澤純一 、菅原志門著/日刊工業新聞社)

2022-07-29 09:41:09 |    電気・電子工学



<新刊情報>



書名:エッジAI導入の手引き~生産設備/機器制御への組み込み~

著者:出澤純一 、菅原志門

発行:日刊工業新聞社

 クラウドAIのデメリットを解消するエッジAIの定義や特徴を披露し、生産性や品質向上に必要な課題の洗い出しと、AI実装法をわかりやすく体系化。生産設備/制御機器にエッジAIを組み込み、最適化を図る進め方を説く。適切なアルゴリズムの選定からデータの加工、ハードウェア選定まで指南する。
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●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「自動認識システムソリューション大全」(月刊「自動認識」2022年4月増刊号/日本工業出版)

2022-07-19 10:34:58 |    電気・電子工学



<新刊情報>



書名:自動認識システムソリューション大全

出版:月刊「自動認識」2022年4月増刊号

発行:日本工業出版

 各社のシステム、事例について見開きで紹介。業務改善のヒントがこの一冊で提供できる内容。■物流(PF680BTデータウィザードプレミアム/㈱アイエムプロジェクト 他)■小売・販売(Androidハンディターミナル業務アプリ WelPet./ウェルコムデザイン㈱ 他)■医療(UHF帯ICタグを用いた通過検知システム「レコファインダー」/帝人㈱ 他)■資産管理(物品管理クラウドサービスConvi.BASE(コンビベース)/㈱ネットレックス 他)■その他(「耐熱性×耐候性×耐衝撃性」を実現 汎用型ICタグ「HDティア」「HDスクエア」/㈱イーガルド 他)
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●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「光非線形性の物理と光信号処理デバイス」(石川 浩著/森北出版)

2022-07-15 09:32:33 |    電気・電子工学



<新刊情報>



書名:光非線形性の物理と光信号処理デバイス

著者:石川 浩

発行:森北出版

 半導体レーザや光増幅器などのデバイス開発で重要になる光非線形現象。複雑で難解なその理論をわかりやすく解説。初歩的な物理からスタートし、順を追って学んでいくことで、非線形感受率や吸収飽和現象などの理論もスムーズに理解できる。途中計算も省略せず書かれているので、一歩一歩着実に読み進められる。半導体利得媒質の非線形性や量子井戸のサブバンド間遷移、光ファイバの非線形性などを利用した超高速光信号処理デバイスの開発研究事例も数多く紹介。デバイス開発が理論によってどのように裏付けられるのか、実例を通して学べる。デバイス開発に長年取り組んできた著者による、技術者必携の1冊。
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●科学技術ニュース●名古屋大学とMipox、半導体ウエハー面内の転位分布・ひずみ分布の可視化に成功

2022-07-12 09:33:12 |    電気・電子工学
 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「官民による若手研究者発掘支援事業(若サポ)」で名古屋大学原田俊太准教授(未来材料・システム研究所)とMipoxは、半導体基板を製造する際に発生する結晶欠陥(転位)をカウントするシステムの構築と、ウエハー全体の転位やひずみの分布を直感的に分かりやすく表示するヒートマップ表示機能の開発に成功した。

 従来は転位部分を機械的に抽出できず、観察した像の定量的な評価が困難であったが、同成果により、グレーのコントラストで形成された画像の中から転位の位置情報を抽出し、転位の数密度や分布の様子をカラースケールで可視化(ヒートマップ表示)することが可能になった。これにより、半導体製造における検査工程の利便性や業務効率の向上に大きく貢献できる。

 なお、Mipoxは、今回開発した二つの機能を組み合わせて、Mipoxの製品であるSiC結晶転位高感度可視化装置「XS-1 Sirius」に実装した。

 炭化ケイ素(SiC)や窒化ガリウム(GaN)などのパワー半導体デバイスは、家電製品から次世代自動車、鉄道、送配電機器まで幅広く搭載されている電力変換器の効率向上や小型化を実現できると期待されているが、パワー半導体基板を製造する際には、多くの転位が含まれることがある。

 これらはキラー欠陥となり得るため、検査によって欠陥の領域や密度を的確に把握する必要があるが、製品品質の確保とコストの観点から、高精度・高効率の欠陥検査技術が求められている。

 従来の技術では、転位部分を機械的に抽出できず、観察された像の定量的な評価が困難であった。同成果によりグレースケールのコントラストで形成された転位の位置情報を抽出して計数し、転位の数密度や分布の様子をカラースケールで可視化し定量化することが可能になった。

 Mipoxは、同社の製品であるSiC結晶転位高感度可視化装置「XS-1 Sirius」にこれら二つの成果をベースとした機能(転位カウント・ヒートマップ表示)を実装した。これにより、ウエハーに含まれる転位の数を95%以上の検出率で測定することに成功した。また、これらの新機能を撮像とマルチタスクで処理させることで検査時間を短縮し、ウエハーの全面検査において3インチウエハーで約4分、4インチで約7分、6インチ約15分という高速検査能力を実現した。<新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)>
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●科学技術ニュース●NEDO、電力系統の混雑緩和のための分散型エネルギーリソース制御技術開発に着手

2022-07-06 09:16:53 |    電気・電子工学
 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)はこのたび、「電力系統の混雑緩和のための分散型エネルギーリソース制御技術開発(FLEX DERプロジェクト)」に着手した。

 同事業では、電力系統の混雑状況と分散型エネルギーリソース(DER)の稼働状況を把握し、DERを提供するアグリゲーターや再エネ発電事業者と、その受け手である送配電事業者をつないで制御を可能とするDERフレキシビリティシステムの構築に向けた技術開発を行う。

 NEDOは同事業を通じて、電力系統の増強コストを抑制しながら系統混雑を緩和し、再エネなどのさらなる導入拡大と、電力の安定供給の実現に貢献する。

 同事業では、海外で実現しているプラットフォームも参考に、DERフレキシビリティシステムの構築に向けて取り組む。

 開発するのは、DERを提供するアグリゲーターや再エネ発電事業者と、受け手である送配電事業者を相互につなぐプラットフォームで、電力系統の混雑状況と送配電網に接続されているDERの稼働状況を精緻に把握・分析できるもの。

 これにより、例えば再エネ出力により送電線が混雑した場合、アグリゲーターがDERの稼働を調整して送電線に流れ込む電力量(潮流量)を低減することで、再エネを出力制御せずに送電線の混雑を回避することが可能になる。<新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)>

【事業の内容】

(1)事業名

 電力系統の混雑緩和のための分散型エネルギーリソース制御技術開発(FLEX DERプロジェクト)

(2)事業期間

 2022年度~2024年度(基本計画期間:2022年度~2026年度)
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●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「次世代パワー半導体の開発・評価と実用化」(岩室憲幸監修/エヌ・ティー・エス)

2022-06-22 09:32:08 |    電気・電子工学



<新刊情報>



書名:次世代パワー半導体の開発・評価と実用化

監修:岩室憲幸

発行:エヌ・ティー・エス

・SiC、GaN、ダイヤモンド、酸化ガリウムを材料としたパワー半導体の特長と最新の研究を詳解。・開発の第一線で活躍する研究者がパワー半導体の最新動向を解説・実用化に向けて課題となる実装、信頼性、EMC 問題についても紹介・電動自動車、電車、エアコン、超高電圧機器などへの適用も解説。【目次】序論  次世代パワー半導体の研究開発動向/第1編 次世代パワー半導体の開発 第1章 SiCパワー半導体 第2章 GaNパワー半導体 第3章 ダイヤモンドパワー半導体 第4章 Ga2O3(酸化ガリウム)パワー半導体/第2編 次世代パワー半導体の実装技術と信頼性 第1章 パワー半導体・デバイスの実装技術 第2章 パワー半導体・デバイスにおけるEMC 第3章 パワー半導体・デバイスの評価/第3編 次世代パワー半導体の適用事例 第1章 自動車における次世代パワー半導体の実用化 第2章 通信・医療機器における次世代パワー半導体の実用化 第3章 その他次世代パワー半導体の実用化
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●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「図解入門 よくわかるパワー半導体の基本と仕組み<第3版>」(佐藤淳一著/秀和システム)

2022-06-16 09:32:03 |    電気・電子工学



<新刊情報>



書名:図解入門 よくわかるパワー半導体の基本と仕組み<第3版>

著者:佐藤淳一

発行:秀和システム

 水銀整流器からIGBTへの進化と、日本製のパワー半導体が強い理由がわかる。最新情報満載のパワー半導体の基本と仕組み。パワー半導体は、電力の変換を目的とする半導体デバイス。電圧や電源周波数を制御できるため、電気自動車やIH調理器、LED電球などに使われ、日進月歩で進化している技術。同書は、半導体の基礎知識がある人を対象に、パワー半導体の歴史や動作の原理、応用、参入メーカまで文系出身者にもわかりやすく解説した入門書。第3版では入門書としてさらにわかりやすく改稿し、半導体産業の流れや参入メーカの最新の動向をまとめた。
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●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「2021年版 電気事業便覧」(経済産業省資源エネルギー庁編/経済産業調査会)

2022-05-27 09:38:00 |    電気・電子工学



<新刊情報>



書名:2021年版 電気事業便覧

編者:経済産業省資源エネルギー庁 

発行:経済産業調査会
 
 同書は、日本の電気事業の現状と累年的推移の概要を統計的に集録。旧一般電気事業者のみならず、新規参入事業者や卸電力取引所の動向も掲載。全面自由化以降の電気事業を取り巻く状況を俯瞰できる一冊。
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●科学技術ニュース●大阪大学など、木材由来のナノ半導体を創出し持続可能なエレクトロニクスの実現に道

2022-05-05 09:33:55 |    電気・電子工学
 大阪大学 産業科学研究所の古賀 大尚 准教授、東京大学 大学院工学系研究科の長島 一樹 准教授、高橋 綱己 特任准教授、九州大学 大学院総合理工学研究院の末松 昂一 助教、岡山大学 異分野融合先端研究コアの仁科 勇太 研究教授らの研究グループは、木材由来のナノセルロースを用いて、電気特性と3D構造を幅広く制御できるナノ半導体の創出に成功した。

 環境調和型の次世代エレクトロニクスに向け、持続可能な電子デバイスの開発が希求されている。古賀 准教授らの研究グループは、持続可能な生物資源、木材ナノセルロース由来の紙「ナノペーパー」を用いて、紙の電子ペーパーや生分解性ペーパーメモリーといった環境調和型の電子デバイスを世界に先駆けて開発してきた。

 しかし、ナノペーパーは電気を通さない完全な絶縁体であったため、これまでは主に基材としての利用にとどまっており、電子デバイスとして動作させるためには枯渇性資源由来の半導体が不可欠であった。

 今回の研究では、ナノペーパーによる紙ならではの3D構造設計技術、および、段階的炭化・形態保持炭化技術を駆使し、絶縁体~準導体まで系統的な電気特性制御が可能、かつ、ナノ~マイクロ~マクロのトランススケールで3D構造制御が可能な新奇ナノ半導体を得ることに成功した。

 これにより、目的や用途に応じた電子機能や3D構造のカスタマイズが可能になり、全て木材由来の電子デバイスを作製することも夢ではなくなる。持続可能なグリーン・エレクトロニクスの実現に向けた道を開く成果として期待される。<科学技術振興機構(JST)>
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