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SMAP → SoftBank

 SMAPが出ているソフトバンクのCMがいい。私が派手好みだからかもしれないが、きらびやかで豪勢な感じがいい。妻は「何度でも見たい!」と言って、TVでこのCMが流れ出すとどこからともなく飛んできて、うっとりしながら見ている。
「ライブの感じそのまま・・」
などと言われてもよく分からないが、私が見ていてもなんとなくその雰囲気が伝わってくるから面白い。残念なことに今年はライブが開かれることはないようだが、このCMを見て少しは溜飲を下げているファンも多いのかもしれない。




 YouTube で見つけたから貼っておいたが、ジャニーズ事務所がいつまでも大目に見ているとは思えないので、すぐに削除されてしまうだろう。だが、たとえ後少しの間であっても、繰り返し見る価値はある。私はもう10回は見ただろう。別にメンバーの誰かに興味があるわけでもないが、このCMは名古屋名物「ひつまぶし」のような味わいがあるように思えて、何度見ても飽きない。
 最初は、ザーッと通して見る。好きなだけ何度か繰り返し見ればいい。次に、メンバー一人一人に注目して、その一人だけを最初から最後まで目で追っていく。誰からでも好きなように見ればいい。するとなかなか面白いことに気づくはずだ。例えば、中居から見たとしよう。最初はなんだかやる気があるのかないのか、いつもの中居だが、途中から俄然張り切りだす。センターにいるため、両サイドから影響を受けるのかもしれないが、終盤の中居の動きはいい。右隣の木村は「これが木村さん」と妻が言うように、動きもいいし、先頭きって走り抜けていく姿もかっこいい。右端の吾郎ちゃんは最初から最後まで吾郎ちゃんのペースを守っていて、「さすが吾郎ちゃん!」という印象だ。
 左端の慎吾に注目するとちょっとばかりがっかりする。動きが緩慢でノッていない・・。両さんを演じるために重量アップを図ったせいなのかもしれないが、これでは両津勘吉が踊っているようにしか見えない・・。その右のつよポンはさすがの動きをしている。だが、やはりつよポン、目立つことなく確実に自分のポジションを淡々とこなしている。それでいいのか悪いのかは、見る人によって意見が分かれるだろう・・。
 などと一人一人に注目して、勝手な感想を持った後に、もう一度メンバー全員を一度に見てみる。すると、一人一人の動きというよりもメンバーが一体となったSMAPの動きとなって見えてくる。SMAPという一個の有機体が画面の中で弾けている、そんな感想すら持つ。なんだかすごい!!
 夏休み中でも、深夜に放送されている嵐やKAT-TUNの番組は妻が見ているのをチラ見することが多い。が、余り面白くない。そのたびにやはり彼らがSMAPの域に達するにはまだまだかなりの時間がかかるな、と思ってしまう。特にこのCMを見た後ではその感が強くなる。

 しかし、ソフトバンクってすごいなあ。TVCMにどんどんお金をつぎ込み、お笑い芸人には毎月1000万円の賞金を出して下らぬコントをさせている・・。いくらでもお金があるんだなあ・・。
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夜空

 毎朝送られてくるウエザーニュースのメール、昨日の朝はこんな内容だった。

朝刊【名古屋版】
8/19(水)
最高気温 31℃
(前日比 -1℃)
今日も昼間はカラッとした暑さ。夜は涼しく秋を感じます。
帰り道は、南の夜空を見上げて見て下さい。一際輝く星を発見!只今、『木星が見頃』です

 う~ん、いくらなんでも秋は早すぎるだろう、と思ったが、その瞬間大町の夜はかなり涼しかったのを思い出した・・。
 娘が「星を見に行く!」と九時過ぎに言い出したため、ボディガードのつもりで息子と三人で出かけることになった。
「上着!」
という妻の注意を、
「そんなのいらないよ」
と無視しようかと思ったが、念のためにと、上着を持って部屋を出た。娘がフロントで懐中電灯を借りて、さあ出発!と外に出てびっくり、めちゃくちゃ涼しい!寒い、とまでは感じなかったが、ほぼその一歩手前で慌てて上着を羽織った。短パンで足元はひんやりしたがそれくらいなら我慢できる。娘も準備よく、上着を着ていたが、息子は半袖のポロシャツに短パンといういでたち、
「寒いだろう?」
と心配する私に
「大丈夫」
と言って取り合わない。昔から薄着で育ってきたが、大きくなっても変わらないようだ・・。

 さすがに黒部ダムに一番近いホテルだけあって、少し歩くと真っ暗だ。娘の持っている懐中電灯が時々通る車には私たちの存在を伝える役目をしてくれる。
「やっぱりきれいだ!」
娘の声に空を見上げたら、
「おお!満天に星が!」
目が慣れてくるにしたがって、その数がどんどん増えてくる。
「すごい!」
今までろくに星など眺めたことなどない息子が叫んだ。確かにすごい。見える星の数が圧倒的に違う。あまりに多すぎて、どれがどの星座の星なのか分かりにくいほどだ。それでも天文サークルに所属し、日本各地へ星の観察に行っている娘があれこれ息子に向かって説明を始めた。最初は
「分かんないなあ」と戸惑っていた息子だか、なんとか夏の大三角が視認できたようで、
「やったあ、初めて大三角が分かった!」
と嬉しそうだった。昔私が教えたはずなのになあ・・。
 そんなあまたの星の中でも群を抜いて明るく輝く星があった。
「あれは木星」
娘がすぐに教えてくれた。


 いくら明るくても、まさか写真にうまく撮れたりしないだろうと思っていたが、奇跡的に一枚だけ真ん中に写っていた。すごい!!
 ウエザーメールが教えてくれなかったら、この写真のことも、旅先での一夜のことも忘れていただろうから、私にとっては実に有り難いメールだった。
Thank you!!
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高速道路

 今度の旅行での大団円は、長野の豊科インターから200km近く走ってたどり着いた自宅近くの料金所で、1000円と料金表示が出た瞬間だった。これで高速を下りられるというホッとした気持ちと、これだけ走っても1000円で済むのかといういう驚きとが一緒になって、車の中の家族全員で、「おお!!」と声を上げてしまった。それだけインパクトのある電光表示だった。
 試しに通常だったら高速代がいくらになるのか検索してみたら、4950円だった。往復で9900円が2000円になったのだから、約8000円も割安になったことになる。これはすごい。ものすごく得した気分になる。
 これはこのお盆に高速道路を利用した人なら誰もが実感したことだろうし、それを目論んで自動車で移動した人も多かったはずだ。その証拠に高速道路の渋滞率は、昨年と比べて24%も増えたという記事が新聞に載っていた。地震で静岡県内の高速が通行止めになった影響もあるのだろうが、渋滞が多くなった大きな理由は、やっぱりどこまで行っても1000円という割引料金だったように思う。
 私の場合、旅行1日目の長野に向かう中央道ではほとんど渋滞に巻き込まれなかったが、2日目は長野道が中央道と交わる岡谷ジャンクションまではかなり渋滞していて、中央道に入るまでかなりの時間がかかった。それでもいやになるほどでもなかったのは、中央道の下り方面を走ったからであって、もし上り路線で東京まで行くのだったら、とても我慢できないほどの渋滞に巻き込まれていたかもしれない・・。

 とは言え、中央道に入ってしばらく経ったら日が落ちてしまい、夜間運転となってしまってからはかなり緊張した。ところどころで強い雨に襲われ、視界はますます悪くなるし、何より街路灯がまったくないところが多く、闇の中を車のライトのみで走っていくのはひたすら怖かった。私は最近高速道路を運転することが多くなり、かなり慣れてきたつもりでいたが、よく考えたら夜の高速はほとんど運転したことがない。東名や名神ならまだ直線が多くじっとハンドルを握っていればいいからさほど怖くないが、中央道は坂やカーブが多く、明るい時でも登ったり下ったり曲がったりと、かなり神経を使わねばならない。元々好きな道ではないが、暗くなったらもう怖さばかりが募ってきて、走行車線をタラタラ走ることしかできなかった。暗くなってからは一度も追い越し車線を走ることなく、時速も100kmを超えたことはなかったように思う・・。
 どうして他の車はあんなに速く走れるんだろう?何度も繰り返す私に家族中が「ゆっくり行けばいいよ」と励ましてくれたが、夜の中央道だけはもう走りたくない・・。
 
 衆議院議員選挙が公示され、月末の投票日まで選挙戦が繰り広げられる。各党のマニフェストも出揃って、聞こえのいい選挙公約ばかりが目立っているが、私は民主党の掲げる「高速道路無料化」には反対だ。もちろん高速道路の通行料は安いほうがいいに決まっているが、これを一律無料化にするのはいくらなんでも無茶だと思う。通行料には道路の維持管理費が含まれているはずだから、それがなくなったらどうやって道路の整備を進めるというのだろう。万が一無料化になれば、今までよりも交通量がずっと多くなり、道路の傷みも激しくなるだろうし、交通渋滞も激しくなり、交通事故も多発するようになるかもしれない。そうしたことをすべて処理するには今までよりも多くの費用がかかるはずなのに、財源を無くしてしまうというのだから、いったい必要な費用はどうやってまかなうと言うのだろう。同時にガソリンの暫定税率の廃止まで謳っているのだから、道路整備に回せるお金はますます減ることになる。これでは新たな名目で税金を徴収する必要があるのではないか、それくらいなら高速道路の通行料を払ったほうが利用者も納得できるように思う。もちろん今までの高速道路の料金が高すぎるのは誰もが思っていることだから、適正な料金に改定してからの話だが・・。

 などと細かな事情をほとんど知らない私がいい加減なことをここで言っても何にもならないが、今度の選挙では、表面的なきれいごとに目を奪われないよう、細心の注意を払いながら、立候補者と政党の主張を十分精査していくことこそが有権者に求められていることだと思う。
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ダム女

 黒部ダムからトロリーバスで駐車場に戻ろうとした時、これからどうする?という話になった。私には何も考えはなかったし、妻も特に立ち寄りたい場所があるわけでもなさそうだった。すると、「もっとダム見に行こうよ!!」と娘が言い出した。この旅行も、一度は行きたいと思っていた黒部ダムが目的地だから日程をやりくりしてついて来たほどの「ダム好き」であるから、そう言うのも納得できる。黒部ダムでも一番元気に歩き回っていたし、あれこれダムについての薀蓄を傾けてくれた。息子など途中から聞かなくなってしまうが、その説明がなかなか要点を捕らえていて面白いから、私も妻も思わず聞いてしまう。「まったく講釈タレなんだから・・」と思いはするが、久しぶりに娘のはしゃぐ様子を見るのも嬉しい。
 「どこに行けばいいんだ?」
私が聞くと、
「ちょっと遠いけど高瀬ダム」
と言う。手持ちのパンフレットにはしっかりそのダムの名前が書いてあるが、どうやっていけばいいんだろう?車のナビに道案内をさせるには電話番号を入力するのが一番早いので、私が携帯でググッてみた。
「おい、ダメだ、そのダム。車で直接行けないんだって。黒部みたいに車を置いて、バスかタクシーで行かなくちゃいけないらしい」
「それは今からだとちょっとしんどいね」
妻がそう言うと、娘は残念そうな顔をしたが、
「それなら手前にある七倉ダムと大町ダムなら車でいけると思うから、行こうよ。お願い!」
「仕方ないなあ・・。ダム女の言うことを聞いてやるか・・」

 しかし、そのおかげでものすごいものを見ることができた。


 「そこを曲がって」
と、かなり山奥まで登った頃に標識が出た。
 「分かった」と言って曲がった先に、なんと巨石の壁が行く手をふさいでいた。
 「何だ、これ!!」
 「すごいでしょう!!ロックフィルダムって言うんだよ。地盤が堅くなくて、コンクリートダムの建設が困難な場合に使われる工法」
 こんなダムを見るのは初めだ、思わず言葉を失ってしまった・・。車を止めて外に出たら、その巨大さに押し潰されそうだ。呆然としていたら、娘がダムの外壁に造られた階段を登り始めた。ダム湖を見に行くつもりだ。私も頑張ってみようか、と登り始めたが、もう途中まででヘトヘト・・。しかし、やっぱりダム湖は見たい。もう後はヤケクソ気味になって登っていった。

 

 先に登りきったはずの娘と息子の声が聞こえてこない。声も出せないくらい圧倒されているのか、棒のようになりかけた足に鞭打って最後の力を振り絞った。そのご褒美は・・。

 


 登ってよかった・・。なんて素晴らしい景色だろう。言うまでもなくダムは人工の建造物だが、この石を積み上げて造ったダムだと、自然の一部になっているように思える。なんという景観だろう!!
 それはこの後立ち寄った大町ダムと比べてみるとよく分かる。

 

 大きくて立派なダムだが、無機質な冷たさを感じてしまう。

 ダム女のおかげで、思いがけない美を発見した。ひょっとしたら、ダム見学が私の趣味になってしまうかもしれない。
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松本城

 黒部ダムに行ったのは、15日。前日の14日は大町のホテルで一泊したのだが、ホテルに入る前に松本で高速を下り、松本城を見学した。松本と言えばゴジ健さんの生まれ故郷。とは言え、中央高速を通っていく以外に詳しい旅程を把握していなかった私は、その日になるまで松本を通ることは知らなかった。知っていたなら、松本近辺の観光スポットをゴジ健さんにお聞きしたのに、と残念な思いをした。それでも、「松本を通るなら松本城には行かなくちゃ」と、妻や子供たちに宣言して、松本城に向かった。

  

 「おお!PARCO!」
ゴジ健さんには失礼だが、市街には大きなビルが立ち並び、予想以上に都会的な街だった。さすがに横浜とは比べられないだろうが、これだけの街で10代を過ごされたのだから、ちょっとした「シティー・ボーイ」であったのがうかがわれる・・。


 駐車場から歩くとすぐに、立派な石塔が見えた。
「ほお、国宝か!!」
何度か松本城についてゴジ健さんから教えていただいたが、今その姿をこの目で拝むことができる、胸はいやおうなしに高まった。


 おお!!黒塗りの立派な城だ。青空を背景に凛とした佇まいがいい。
 街の真ん中にある城だけに大勢の人が見学に訪れていて、入場するのに並んで待たねばならなかった。
「天守閣までのぼって下りてくるのに90分ほどかかります」
さかんに臨時雇いの若者が拡声器を使って告知している。
「どうする?」
「う~~ん、いけるところまで行ってみるか」
できれば天守閣から松本の町並みを眺めてみたい。そんな気持ちで列に並んで大人しくしていた。私たちの前には外国人観光客が何人かいたが、彼らの話す言語は何なのかよく分からなかった・・。でも、興味深そうにお城の内部を眺める様子は、真剣だ。やはりお城は日本を象徴する建物なんだろう。


 鯱も展示されていた。金の鯱を見慣れた私たちには、少しばかり意外な感じがしたが、質実剛健の気風を漂わしていて、これこそゴジ健さんのルーツなのかもしれない、そんな気がした・・。

 だが、遅々として進まぬ行列にかなり気持ちが滅入ってきた。それに何より時間が迫ってきて、そろそろ出発しなければホテルに入るのが遅くなってしまう。
「天守閣はあきらめようか・・」
そう話がまとまって、やむなく断念した。
 だが、堀の向こうに回って城の全景をもう一度見ておきたい、そう思って少し歩くことにした。

 

やはり素晴らしかった。
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黒部ダム

 黒部ダムはすごい。何がすごいと言っても、圧倒的な迫力がすごい。うわさ、もしくはネットで情報を集めただけでも、かなりの迫力が伝わってきたが、実際にその場に立つと、そんな情報などぶっ飛んで、ただただ、ひたすらそのすごさにひれ伏すのみである・・。


 ダムからの放水は、観光客へのサービスだとは知っていたが、それでも目の当たりにすると厳かな気持ちになり、思わず見入ってしまう。実は朝から腹痛に悩まされていた私は、扇沢駐車場から関電トロリーバスで黒部ダムに着くまで、かなり苦しんだ。自分だけ行くのをやめておこうかな、そんな気持ちにもなったが、せっかく家族4人でやってきたのに、それはさすがに悲しいだろうと、思い切ってバスに乗った。何とか無事に黒部ダムに着き、220段もの階段を上った末に眼前に広がった黒部ダムの雄姿を目にした時は、「来てよかった!」、そんな思いで胸がいっぱいになった・・。
 
  

 放水の迫力に目が奪われがちだが、エメラルドグリーンの水を湛えたダム湖とその向こうに聳え立つ連峰の雄大さにも、思わず言葉を失ってしまう。この黒部ダムが大勢の人々の犠牲の上に完成したものであることは、子供の頃に見た「黒部の太陽」で知っていたが、改めてその場に立つと、この難儀を極めた工事に立ち向かい、完成させた人々の窺い知ることのできない尽力に、厳かな畏敬の念を抱くとともに、多くの命の犠牲があってこそ現代生活の利便さが保証されたのだ、そんな万感の思いが心を駆け巡る。
 さすがにお盆休みとあって、かなりの人出でびっくりしたが、それでも5月のゴールデンウィークと比べれば、3分の1程度だとトロリーバスの改札口で職員の1人が教えてくれた。


 どれだけ見惚れていたのだろう・・。写真を撮りまくって、放水によって直下に見られる虹も写真に収めることができた。


 しかし、この辺りの峻厳な山々は、近所のなだらかな裏山を見慣れた私には、恐ろしいほどだった。

  


 こんなところにダムを造るんだから、人間の叡智ってのは本当にすごいんだな、そんな思いをい新たにした。

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木琴

「木琴」  金井直

妹よ
今夜は雨が降っていて
おまえの木琴が聞けない

おまえはいつも
大事に木琴を抱えて 学校へ通っていたね
暗い家の中でも おまえは木琴と一緒に歌っていたね

そしてよくこう言ったね
早く町に 赤や青や黄色の電灯がつくといいな

あんなにいやがっていた戦争が
おまえと木琴を 焼いてしまった

妹よ
おまえが地上で木琴を鳴らさなくなり
星の中で鳴らし始めてから まもなく
町は明るくなったのだよ

私のほかに 誰も知らないけれど
妹よ
今夜は雨が降っていて
おまえの木琴が聞けない



 「飢えて死にゆく子供たちの前で文学は何の役に立つのか」
そんな問いに何人もの人々が答えてきたのだろうが、私が思うに、答えは明白だ。
 「何にもならない」
 死にゆく子供たちにとって何よりも必要なのは、食べ物だ。文学など何の腹の足しにもならない。当たり前だ。
 だが、8月15日に「木琴」という詩を読むと、文学にはやはり何らかの力があると信じたくなる。確かに木琴とともに死んでしまった妹には文学は何らの助けにはならなかっただろう。しかし、こうした悲しい思いを多くの他の妹たちに味あわせないようにする力を文学は持っているのではないだろうか。
 この詩を読み、戦争の悲惨さに心を痛め、こんな悲劇が二度と起こらぬよう微力なりとも尽力しよう、そう考える者がいたなら、それは詩が読者に働き掛けたものであり、その時詩は現実社会で力を持ったことになる。
 もちろんこの詩がそんなアジテーションを意図して書かれたのではないかもしれないが、作者の意図した以上の力を持つものこそが優れた文学作品と言えるだろう。

 まあ、そんなへ理屈はどうでもいい。今日はただこの詩をじっくり誦んでみたい。
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ひやり・・

 もう2週間も前の土曜のことだが、夕方塾生を送って塾に戻ってきたところ、塾に続く橋の手前にあるタイル工場の原料置き場のトタン塀がめくれかかっていた。無差別に原料を積み重ねるものだから、トタンに負荷がかかってしまったんだな、と何気なく思った。まあ、元々いい加減なつくりの塀だから、こんなこともあるだろう、くらいの簡単なことしか思わなかった。
 しかし・・、
 次の授業を始めて15分ほどした時に、内線の電話がなった。すぐに出たところ妻が、
 「知ってる?工場のトタン塀が倒れて、原料が道にザーッと広がってるよ」
買い物から帰ってきたら、橋のたもとがひどいことになっていたのだと言う。
 「えっ?それじゃあ、さっきめくれかけていたトタン板が完全にはがれてしまったのか」
びっくりして外を見たら、確かに橋の向こうの道路が白く汚れている。びっくりした私は、塾生の何人かに、
 「君たちが来た時も、もうあんな状態だったの?」
すると全員がうなづく。それは困った。放置しておくわけにも行くまい、妻にはそのタイル工場の工場長をしている私の友人の家に電話して事情を説明してくれるよう頼んだ。私は生徒たちに「ちょっと見てくる」とことわって、現場まで走っていった。


 やはりブロガーとしての悲しい性、カメラ片手に走ってしまうのだから、実際のところ何が目的なのかよく分からない。でも、これだけ橋の上まで原料土の跡が残っているのだから、そのままにしておくわけにはいかない。とりあえず近くまで行った。

  

 これはすごい。壁ぎりぎりのところに積み重ねられていた原料土の圧力に耐え切れなくなったトタン板がはがれて、原料土が道一杯に広がっている。私が着いた時には、隣の珪砂工場の従業員の人たちが何人か集まっていて、原料土を片付けようとしていた。私は「工場の責任者に電話しましたから、すぐにやってくると思います」と告げてその場を去ったが、自分の工場の不始末でもないのに、皆で片付けようとしてくれるなんて立派なものだと感心した。
 タイル工場はその日は休みだったようで、従業員がいなくて一大事に気がついていないようだったが、妻からの電話を受けた私の友人がすぐにやって来て、大急ぎで片付け始めた。私は塾の教室から時々眺めることしかできなかったが、友人は駆けつけた他の従業員と一緒になって迅速な対応をしていた。さぞや驚いたことだろうが、幸いなことに通行人や通行車両に害を与えたりはしなかったようだ。だが、工場の責任者である友人にしてみればかなりの冷や汗ものだっただろう・・。
 
 翌日、どんな処理がされたか、トタン塀を見に行った。

  

 めくれたトタン板を針金で留めてあるだけだった・・。応急処置なのかどうかは分からないが、塀の裏には相変わらず減量土がぎっしりと積み重ねられていた。少しは整理したのかもしれないが、先日のような大きな地震が襲ってきたりしたら崩れてしまいそうだ。もしこの針金で留めてあるのが応急処置などでなく、ずっとこのままにしておくものなら、いくらなんでも危険な気がする。今度友人に会ったら、ひとこと言っておかねばならないだろう・・。

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「容疑者Xの献身」

 日曜日、WOWOWで「容疑者Xの献身」を見た。福山雅治主演のこの映画は、昨秋公開され、塾生の何人かも見て、「面白かった」と言っていたので、日曜の朝に新聞で放送を知って、急遽見ることにした。フジTVの月曜9時から放送されたドラマ「ガリレオ」の劇場版だそうだが、私はそのドラマを一度も見たことがなかったので、何の先入観もなく見られた。ただ、娘の大学でロケが行われ、「柴崎コウにはオーラが出ていた」とロケを見学した友人の話を娘がしていたのを、映画が始まってすぐに思い出した。
 柴崎コウといえば、その目力の強さにはいつも驚くが、この映画の中ではそれが余り感じられなかったのはどうしてだろう。そう言えば、主役の福山雅治からもインパクトが感じられなかった気がした。もっと華のある存在だと思っていただけにちょっと意外な気がした・・。
 この映画のあらすじは以下の通り。

 花岡靖子(松雪泰子)は娘・美里とアパートで二人で暮らしていた。そのアパートへ靖子の元夫、富樫慎二が彼女の居所を突き止め訪ねてきた。どこに引っ越しても疫病神のように現れ、暴力を振るう富樫を靖子と美里は大喧嘩の末、殺してしまう。今後の成り行きを想像し呆然とする母子に救いの手を差し伸べたのは、隣人の天才数学者・石神(堤真一)だった。彼は自らの論理的思考によって二人に指示を出す。
 そして3月11日、旧江戸川で死体が発見される。警察は遺体を富樫と断定、花岡母子のアリバイを聞いて目をつけるが、捜査が進むにつれ、あと1歩といったところでことごとくズレが生ずる事に気づく。困り果てた草薙刑事(北村一輝)は、友人の天才物理学者・湯川(福山)に相談を持ちかける。
 すると、驚いたことに石神と湯川は大学時代の友人だった。彼は当初この事件に傍観を通していたが、やがて石神が犯行に絡んでいることを知り、独自に解明に乗り出していく。

 しかし、こんなありきたりな事件の解決にわざわざ「天才物理学者」に相談を持ちかける必要があるだろうか。柴崎コウや北村一輝が扮する刑事たちが余りに無能に見えてしまう。かといって、福山の湯川の推理も意表をつくものではなく、「ああ、そうなのか・・」「やっぱりね」といった程度の感想しかもてないのだから、謎解きを楽しみにしていたなら拍子抜けしてしまう。これでは、「わざわざ映画にしなくても・・」といみじくも妻が言い放った評が、この映画にもっともふさわしいかもしれない。
 だが、容疑者役の堤真一はなかなかの異彩を放っていた。私が彼に抱いていた颯爽としたイメージ(例えば少し前に見た「クライマーズハイ」の新聞記者役)とはかけ離れた、風采のまったく上がらぬ、まったく冴えない中年数学教師を巧みに演じている。ある分野には頭抜けた能力を持ちながらも、実生活ではその能力を認められず、鬱屈した生活を送っている男の、満たされない心の奥底を垣間見せてくれた彼の演技は、賞賛に値する。彼の好演によって福山が霞んで見えてしまったのは仕方のないことかもしれない。
 

 人気TVドラマを映画化した作品が昨今は多く見受けられるが、ドラマの人気に便乗した映画作りは、どうしても安易な気がしてしまう。と言っても、「ルーキーズ」や「ごくせん」はTVドラマを少しばかり見ただけだし、そのまったく逆に「花より男子」やこの「ガリレオ」はTVドラマは見たことがない、さらに「HERO」に至っては映画もTVドラマも見ていないから、そう偉そうなことが言える立場ではないのだが・・。
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真珠



 高校生がお土産にくれた缶。何が入ってるのだろう?

 
 下からのぞくと透明になっていて、中が見える。貝殻が入っているようだ。でも、なぜそんなものが?

 表蓋にシールが貼ってある。
   「人魚の涙」
  ・ピンク‥‥恋愛
  ・ホワイト‥‥健康
  ・クリーム‥‥幸福
  ・パープル‥‥学問
  ・ブラック‥‥財産
 ギリシア神話では愛と美の女神アフロディーテが海面に漂う泡から誕生した時に、からだから払い落とされた水滴が海に沈み美しい真珠になったと言われています。
 ブルボン王朝最後の王妃マリー・アントワネットも薔薇と真珠をこよなく愛しました。その無垢な美しさは、神秘的な宝石、美と幸運の宝石として宮廷の憧れでした。そして、その優雅さは、今もなお世界中の人々を魅了し続けているのです。

 うーん、察するに缶の中に入っている貝はアコヤ貝か。だとすればそのアコヤ貝が真珠を抱いていると言うのだろうか・・。これは面白い。どんな真珠が出てくるのかワクワクしながら缶を開けてみた。


 貝殻は下の1枚だけかと思ったら、ちゃんと2枚入っていた。それで、蓋についていた青い小さなスプーンで貝をこじ開けろ、ってことなんだろう。
 で、やってみた。

 

 おお!!真珠だ。本物の真珠だ!早速取り出してみた。


 楕円形で、お世辞にもいい形とはいえないが、きれいなピンク色をしていて可愛らしい。「ピンク‥‥恋愛」と書いてあるから、この真珠を身に付けていたら恋愛運が上昇すると言うのだろうか?
 そんなことはどうでもいいから、妻に自慢して見せた。
「すごいね、真珠か・・。こんなのもらっていいの?」
「鳥羽に行った土産だって言ってた」
「そうかあ・・。でも、ピンクの真珠ってあんまり高くないんだよね」
文句を言うならやらないぞ、と思ったが、まあ、これも記念だから「はい!」と言って手渡した。
 しかし、1個じゃどうしようもないかな・・。

 
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