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閑話つれづれ其の1

2008年08月01日 | Weblog
ユーモアのすすめ

 笑いは百薬の長らしい。別に薬のように服用するわけではないので、この言葉には矛盾はあるが、要は笑いは健康にとって非常に効果的ということで、しかもクスリのような副作用の心配も無い結構なものである。

 講演では必ず途中に笑いを取れと言われる。どんないい話もそのままでは聞く側に染み込み難い。ユーモアを交えながら聞く話は確かに楽しく心に残る。日本には昔から落語や漫才という芸能があり、師匠とか真打とか呼ばれる高座の達人がいる。新聞の4コマ連載漫画や素人の作る川柳さえもいいものが多い。ユーモアのセンスのある国民性だと思う。しかし、自分の著作や講演にユーモアを盛り込むことは中々難しい。日頃からのネタ探しも重要である。

 昔、漫画家のはらたいら氏のご講演を聴いたことがある。氏によればユーモアには必ず不幸になる人が登場するという。ここから「人に笑われないような人になれ」という言葉が生まれ、この究極が所謂ブラックユーモアだそうだ。1例として紹介されたのが次のような話だ。

『黒人の青年が路上のマンホールの上で「17」、「17」と叫びながらジャンプしている。そこに通りかかった白人青年に「いや、おもしろいんだよ。やってみる!」と声をかける。白人青年が替わって「17」、「17」とジャンプする。「もっと高く飛ばなきゃあ!」。白人青年が高く高くジャンプした瞬間、黒人青年はさっとマンホールの蓋を取る。白人青年がマンホールの中に消えると蓋をして、その上でまた「18」、「18」とジャンプを繰り返した。』

 先の「プロジェクトZ第19回」にも登場いただいた扇谷正造氏は往年年間200件ものご講演をこなされていたそうで、その講演集が「君よ朝のこない夜はない」*1)の著作となっている。内容の良さもさることながら、肩ひじをはらず、淡々と話を運ぶ。あとはマの取り方。そしてユーモアを交えること。これが年間200件もの講演需要につながっていたようだ。

『夜が来れば、必ず朝が来る、ヤミが深くなればなるほど夜明けは間近い、ということでございます。調子のいい時もあれば悪い時もある。しかし、人間、不遇の時、逆境の時にも、必ず朝のあることを信じて、自分のペースで努力を怠ってはならないということであります。』と、氏はその著書の中で述べているが、ユーモアとは人生の闇を知った人間が皮肉を込めて、再起を期して発するものかもしれない。



*1)「君よ朝のこない夜はない」とは、作家吉川英治氏(1892年-1962年)が晩年好んで色紙に書かれた言葉という。吉川英治氏とは「宮本武蔵」、「新書太閤記」など戦前・戦後を通じての大ベストセラー作家。小学校中退ながら極貧の中、百科事典を50回読んで知識を身につけたといわれている。
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