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閑話つれづれ其の2

2008年08月03日 | Weblog
カイコだけが絹を吐く

扇谷正造氏の「君よ朝のこない夜はない」は昭和59年(1984年)に出た本だから相当古いが、そこにある講演の中に忍ばせたユーモア話はいつでも通用する。講演で、衆議院選東京三区に越智通雄氏が立候補した時の話をする。

『選挙事務所の知恵で「オチミチオ上から読んでもオチミチオ、下から読んでもオチミチオ中にミのあるオチミチオ」と選挙カーから連呼した。これを聴いた子供たちが、語呂がいいので流行り歌のように口ずさみ、一気に有名となってその選挙でトップ当選を果した。という話に加えて、ただし、投票用紙の何通かに、「山本山」というのがあったそうであります。とやる。場内爆笑となる。』この山本山の部分、すなわち落ちの部分は扇谷氏の創作である。

 これも創作ではないかと思うのだけれど、ご存知のように作家瀬戸内晴美氏は出家され尼さんとなられて久しい。氏が出家された当時の話。『出家されたとはいえまだ流行作家には変わりなく、新聞小説の締め切りが迫り忙しい中、新聞社の若手の記者とのやりとりがある。我慢ならなくなった記者氏が「瀬戸内さん、あなたそれでもプロですか」。これに瀬戸内氏「何を生意気な」といいたいところを静かに「いいえ、私はアマ(尼)です」。と答えたという。』

 ユーモア話ではないが、この本には優れた氏の名言も散りばめられている。「空気にツメを立てろ」というのがある。低成長時代を勝ち抜くには、第一に「問題意識をもって事にあたれ」ということである。筆者なども工場で小集団活動をやっていた当時は、リーダー研修などで、「リーダーたるもの職場の問題点を7つくらいは列記できないといけない」と教えられた。しかし「空気にツメを立てる」と表現する感性がすごい。

「カイコだけが絹を吐く」というのもある。説明など聞かなくても何となく感じるいい言葉だ。この地球上には何千何万という昆虫がいる。それらの昆虫はみな同様に木の葉ッパや草の茎を食べて生きている。その中でカイコだけがやがて繭になって、美しい美しい絹糸を作り出す。「問題意識を持つ人間、自分の頭でモノを考える人間」だけが周囲に美しい、いい思い出を残して死んでいく。カイコのように。ということのようだ。
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