ソメイヨシノの開花
3月14日に東京で、全国に先駆けてソメイヨシノの開花宣言があった。記録的な速さのようだ。私が転勤で、こちらに住まいするようになったのは、丁度40年前のこの時期。東京デズニーランドが開園した年だった。新しく配属になった職場の花見は、確か開園の2日前となる4月13日だったと思うが、夜桜見物の予定がほとんど開花しておらず、肌寒い中の花見となったと記憶している。
この40年で、お隣の中国のGDPは1983年の603.42億元から2022年123,138.77億元と実に204倍に膨れ上がっている。インドや東南アジア諸国にブラジルなどの新興国も経済発展しており、世界全体の消費エネルギー量もこの間、2~3桁倍レベルで上昇したのではないか。温暖化止む無しである。
こちらに来る前は、山口県の広島県との県境の町に住んでいた。岩国市の錦帯橋迄10kmくらいの距離だったか。入社当時は新車の自転車で何度も出掛けたが、錦帯橋周辺の川沿いや、川向うの吉川公園はこの時期桜の名所であり、橋の手前にある岩国観光ホテルからの桜は絶景であった。職場の花見の宴で1度だけホテル5階の大広間から錦帯橋を望んだことがあったのだ。故郷にも当然桜花はあったし、城山公園などには多くの桜があったと記憶するが、これほど1か所に植えられた場所は知らない。
先人の知恵で、全国いたるところに花見の出来る公園がある。現代にもいろんな団体が、ボランティアで桜の植樹をしていることを耳にする。
史実を調べたわけではないが、「東風吹かば、にほひおこせよ梅の花、主なしとも春な忘れそ」わが国では平安時代頃までは、桜より梅の花を愛でることが多かったそうだが、武士の勃興と共に、散り際の美しさを愛でて、「花は桜木、人は武士」となったそうだ。
梅や桜の植樹で子孫に幸をもたらす先人もあれば、自由経済を逆手に取って、欲得の赴くままに、中共を太らせた欧米そして日本の政府や経済人。その恐るべき軍拡の脅威に今頃気づいて慌てている様は笑止だ。気づいて修正する企業や経済人はいい方で、未だに中共との交易を必須としている輩も多いようだ。
そんな中、廃炉を進める、東京電力福島第一原発のある福島県双葉町に、名のある大企業でもない中堅企業が30億円を投資して新工場を建設し、4月に稼働させるという現実の物語(テレ東「ガイアの夜明け」)には驚くと共に、まさに後世に残る快挙だと感じた。
双葉町は長く人の立ち入りが出来なかったため、町民は自宅を残して逃散している。今更帰宅しても仕事もない。そんな町に、大きなものづくりの工場が出来た。早速に地元の高校の卒業生などがその工場で働くという。中国に工場を作って儲けた資本家と、国内の本当に困っている地域に工場を建てることを着想した経営者とは雲泥の差である。まさに故郷の川岸や公園に、桜の苗を植え続けた先人の如くの実業家である。
桜の季節に、本当に素晴らしい話を届けてくれたテレビ局に感謝である。