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2023年 第19回

2023年03月04日 | ブログ
分断

 世界の分断が進行しているという。欧米など先進国への新興国と呼ばれる国々の反目がある。白人国家は、昔、有色人種の国々を植民地化した。ひどいのになると、アフリカから大量に人々(黒人)を拉致し、自国の農園で働かせたりした。アフリカには「奴隷海岸」の名さえ残る。

 加害側は、昔の話で済むけれど、被害者側の恨みは続く。わが国も明治維新後急速に富国強兵政策を実現したため、名誉白人と称されて、植民地や国連委託統治国を従えたりした。しかし、その支配は白人統治と異なり経済的メリットはなかった(司馬遼太郎「この国のかたち1:雑貨屋の帝国主義」。朝鮮半島など自国と同質化を目指し、8つ目の帝国大学(ソウル大学)まで設立している。それでも同じ日本人同士でも、部落民差別が長く続いていたように、朝鮮人に対する蔑視の雰囲気はあったようだ。しかし、台湾や南洋諸島の委託統治を任された国々の人々から、今でも日本人に対する敬愛の念が残っていると聞くように、欧米人の植民地支配とは一線を画するものだ。

 日露戦争で当時のロシア帝国を破った(ロシアの大艦隊を壊滅させた)日本へは、トルコやフィンランドなど、それまでロシアに虐められてきた国家民からは、賞讃された。さらに太平洋戦争では、ヨーロッパ諸国に支配されていた東南アジアの国々を彼らから解放する。日本軍部の思惑はどうあれ、結果として東南アジアやインドの独立に貢献することになったことは事実であろう。

 今年のG7はわが国が議長国である。G7サミット(主要国首脳会議)とは、仏、米、英、独、日、伊、加の7か国で構成され、これに欧州理事会議長及び欧州委員会委員長が参加する。それでは、今回わが国の林外務大臣が欠席して問題視されているG20サミット(金融・世界経済に関する首脳会合)とは、『フランス、アメリカ、英国、ドイツ、日本、イタリア、カナダ、EUに加え、アルゼンチン、オーストラリア、ブラジル、中国、インド、インドネシア、メキシコ、韓国、ロシア、サウジアラビア、南アフリカ、トルコの首脳が参加して毎年開催される国際会議とある』。

 すなわち、G7に人口大国の中国、インド、インドネシア、ブラジルなど、さらに領土大国ロシアが加わる。まさに地球全体に近い会議の場である。しかし、過去に世界で跋扈したポルトガルやスペインは入っていない。

 現在の分断は、ウクライナに武力侵攻したロシアに対して、今や経済大国として新興国への経済と軍事力の影響力を強める中共が、反欧米の旗頭として協調を強めている結果である。インドなども、中印紛争にロシア兵器の依存が近年増加していたこともあり、明確なロシア批判は出来にくい状況があったようだ。

 ロシアへの欧米と日本の経済制裁は、中国ともパイプラインでつながる資源国家にとっては、痛みは少ない。日本がロシアへの経済制裁を止めても、北方領土は現状では絶対的に還ってこないことは確かだ。戦争終結を含め、ロシア国内の政変に期待するしかないようだ。そして世界の分断は加速する。

 この分断を緩和し、「和」をもって収束に向かわせるのは、日本文化であり、わが国の今後の使命かもしれない。


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