中小企業診断士 泉台経営コンサルタント事務所 ブログ

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中小企業白書を読む第1回

2009年08月01日 | Weblog
雇用形態の変化

 今年も中小企業診断士の第1次試験が8月8日、9日の両日に行われる。中小企業白書は、中小企業診断士受験生必携と言われ、私も受験生当時から毎年購入した白書が今年分までで書棚に9冊並んでいる。もっとも、各受験支援校の教科書はその内容のポイントを示してくれているため、試験対策として必ずしも必要はないのだけれど、神社のお守りよりは頼りになりそうで購入し続けた。白書需要の何割かは診断士試験の受験生で占められているのではないか。

 所有する最初の白書は2001年版である。この年(平成13年)の4月に小泉内閣が発足。5月に発刊された当該白書のまえがきは、郵政民営化で自民党と袂を分けたけれど、第1、2次小泉内閣で経済産業大臣を務めた平沼赳夫氏によるものであった。

『本年1月、「戦後の我が国の社会、経済システム全体にわたる大転換」を図っていくという行政改革の理念に沿って、通商産業省は経済産業省へと再編されました。今回の白書は、経済産業省が発足してから初めての白書であります。
 新世紀の幕開けにあって、我が国経済は、米国経済の減速にバランスシート調整の遅れもあいまって、未だ景気回復に向けた力強い歩みを期待することができない状況にあります。・・・』

 2000年(平成12年)の中小製造業設備投資動向は、中小製造業の回復傾向にあることを伝えており、特に、携帯電話やパソコン等の情報通信機器向けに電子部品の増産が見られたとある。「時流に乗って設備投資するIT周辺企業」の事例も紹介されている。しかし、2001年に入りIT関連機器の生産は急落する。所謂IT不況の到来だった。

 また2001年白書には、昨年暮れ以降の猛烈な「派遣切り」で随分と話題になり、格差社会創出の諸悪の根源のように言われ、小泉構造改革反対論者の拠り所の一つともなった「労働者派遣法改正」のことが書かれている。

『平成11年12月の法改正により派遣対象業務が原則自由化されたこともあり、事業領域が更に拡大している。首都圏の人材派遣会社23社における派遣実績は平成11年12月より対前年比で増加に転じ、平成12年2月以降では20%前後の増加が続いている。・・・中小企業にとっては単なる固定費削減のためだけではなく、専門分野の即戦力や新規事業のために派遣労働者を活用することも有効な手段の一つとなっていくであろう。』

 雇用形態に変化をもたらせた「労働者派遣法改正」は小泉政権発足の1年半近く前に行われたものであり、ある種の期待を込めた改革でもあったのだ。平成12年12月には紹介予定派遣(テンプ・ツー・パーム)*1)も解禁されている。


 *1)派遣就業終了後に派遣先に職業紹介することを予定とした労働者派遣
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