魔法使いの弟子

仔細あって、1年ほどお休みしておりました。
また、ぼちぼち再開してまいります。


「魔法使いの弟子」(ロード・ダンセイニ/著 荒俣宏/訳 筑摩書房 1994)

貧乏貴族の子息、ラモン・アロンソが、妹が嫁入りするための持参金を得るために、魔法使いに弟子入りし、錬金術を学ぶという話。
視点は3人称、ほぼアロンソ視点。

ストーリーはシンプル。
縮めれば短篇になりそう。
長編になっているのは、古い作品らしく描写がくだくだしいため。
でも、くだくだしさのなかにときおり素晴らしいイメージがひらめく。
この文章を楽しめるかどうかで、評価が分かれそうだ。

魔法使いに弟子入りしたラモンは、錬金術を教わる代わりに自分の影をさしだす。
魔法使いの家には、アネモネという名の掃除婦がいるのだが、この女性も魔法使いに影をとられてしまっていた。

魔法使いは、ときどきしまってある箱から影たちをだす。
そして、宇宙のどこかに使いにやる。
この影たちが宇宙を渡っていく場面は、読んでいてぞくぞくする。

ラモンは、自分と掃除婦の影を、魔法使いからとりもどそうとする。
影がしまってある箱には、漢字による呪文がかけられ、容易には開けられないようになっている。
漢字が魔法の文字となっているのが、なにやら面白い。

物語はラモンの妹ミランドラの大胆不敵な活躍もあり、大団円へ。
最後は、魔法使いと魔法の生きものたちの行進で終わる。
不思議と晴ればれとした終わりかただ。


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