短編を読む その1

手元に未読の本がたまってきた。
買わなければいいのだけれど、つい買ってしまう。
まったく、しょうがない。

そこで、未読の本を消化するために、1日1編、短編を読むことにした。
といっても、1日1編を読むのも大変だから――寝床で読んでいるとすぐ寝てしまう――土日は休みにして、1週間に5編読むことに。
何日かかけて1冊の本を読むより、1日1編短編を読むほうが、未読本の消化スピードは早いのではないかと思った次第。

1週間で5編だから、2週間で10編。
読んだ作品は要約したり、簡単な感想をつけたりする。

とにかく1年間やってみます。
どんどん読んで、どんどん処分していこう。
読んでいる作品のジャンルに脈絡がないのはいつものこと。
こればかりは、もったが病で治らない。


「古書の呪い」
「ブラウン神父の醜聞」(チェスタトン 東京創元社 1980)

ミステリというより、ほとんど寓話に域に達している。

「緑の人」
(同上)

殺人時の登場人物の位置関係が判然としない。チェスタトンの作品ではよくあることだが。

「橋の畔で」
「ハインリヒ・ベル短篇集」(岩波書店 1988)

わずか4pの作品。私――おそらく戦争で負傷した――は、橋で通行人を数える仕事をしている。1日に2度、アイスクリーム・パーラーに勤めて帰ってくるために橋を渡る娘がいるのだけれど、その娘のことは数えない。彼女を統計上の数字にしたくないからだ。

「バラ園」(モンタギュ・R・ジェームズ)
「恐怖通信」(河出書房新社 1985)

バラ園をつくるためにベンチや杭をとりのぞいたところ、怪異が起こるという話。たいそう薄気味悪い。

「女房の殺し方」(マイケル・J・エルリッチ)
「英米超短編ミステリー50選」(光文社 1996)

「なんでも自分でやりたがる! あんたはしみったれよ」と女房に怒鳴られる夫が主人公。オチが気が利いている。

「オクトパシー」
「オクトパシー」(イアン・フレミング 早川書房 1983)

007シリーズの1編。ドイツ軍の金をひそかに手に入れ、いまはジャマイカで引退生活を送るスマイス大佐のもとにボンドがあらわれる。タイトル通りタコが登場。その役割はなんだか民話のようだ。

「旅する男」(ヘンリー・スレッサー)
「クレージー・ユーモア : 海外SF傑作選」(講談社 1976)

未来から来た男に瞬間移動できるペンダントをもらった男が、あっちへいきこっちへいきし、そこに恋も加わる。他愛ない話だけれど、やはりスレッサーは上手い。

「ボーダーライン事件」
「窓辺の老人」(マージェリー・アリンガム 東京創元社 2014)

ヒロインが気の毒だ。この作品はたしか「世界短篇傑作集 」(江戸川乱歩/編 東京創元社)のどこかの巻にも収録されていたと思う。

「魚捕り猫亭の殺人」(エドナ・セント・ヴィンセント・ミレー)
「世界傑作推理12選&one」(エラリー・クイーン /編 光文社 1977)

妻に去られ、水槽のウナギだけが友だちのシェフの話。これもなにやら薄気味悪い。岡本綺堂の「鰻に呪われた男」を思い出した。

「悲しみは早馬に乗って」
「悲しみは早馬に乗って」(ドロシー・ギルマン 集英社 2008)

夫を亡くし、悲しみから逃れるため息子2人を連れて世界中を旅する妻。その姿が、息子たちの回想によりえがかれる。素晴らしい作品だった。


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