2014年9月18日に行われたスコットランド独立の住民投票は、独立賛成45%、独立反対55%の結果に終わり、これまで通りの連合王国が継続されることになりました。経済問題などの現実路線を考えれば独立反対の結果が妥当なところですが、45%の独立賛成は、スコットランドの民族意識の根深さがうかがわれます。
スコットランドで現在に至るまで英雄として崇拝され、「スコットランド愛国精神の発明者」と評価されるウィリアム・ウォレスゆかりの場所を見学しましょう。
スターリング城の見学を終えて、街に戻りました。
アーガイルズ・ロッジング。17世紀の貴族のお屋敷とのこと。
時計塔のある古い家が並んでいます。
木枠組の家もありました。
市街地を抜けて郊外に出ていきます。
目的の一つは、このオールドブリッジ。右奥にこれから訪れるナショナル・ウォレス・モニュメントが丘の上に立つのが見えています。
スコットランド独立戦争におけるスターリングブリッジの戦いでは、イングランド軍騎士隊750人、歩兵18000人に対しスコットランド軍は騎士隊150人、歩兵7000人で、質・数ともイングランドが圧倒的優勢でした。しかし、スコットランド軍を率いるサリー伯は、甘く見て、幅が二人しか通れないスターリングブリッジを通っての進撃を命じてしまいました。
ウィリアム・ウォレス率いるスコットランド軍は、イングランド軍の先鋒が橋を渡るのを待った上で、長槍で攻撃し、敵の先鋒と後続の連絡を遮断して多大な損害を与えることに成功します。サリー伯の本隊は無傷でしたが、以後の戦いをあきらめて撤退してしまいました。
この勝利により平民出身のウィリアム・ウォレスの名声は高まり、まもなくナイトに叙任され、「スコットランド王国の守護者及び王国軍指揮官」に任じられました。
この戦い以降、イングランドに味方していたスコットランド貴族の多くが反乱側につき、イングランドは支配地の多くを失いました。
イングランド王エドワード1世はフランスとのフランドルの戦いを中止してスコットランド攻略に向かい、フォールカークの戦いが起こりました。
この戦いでは、イングランド軍の騎兵隊2000人、歩兵12000人に対しスコットランド軍は騎兵隊500人、歩兵9500人だったといわれ、やはりイングランド軍の兵力の方が優勢でした。この戦いでは、スコットランド軍は長槍隊の間を短弓隊が埋める配置で待ち構えました。まず、イングランド軍の騎兵隊が突撃しますが長槍隊を崩すことができませんでした。エドワード1世は、騎兵隊を呼び戻してロングボウ隊の一斉射撃を加えると、スコットランド軍は総崩れになりました。
ウォレスは、かろうじて脱出し、その後はゲリラ戦を行いますが、後に味方の裏切りによって捕らえられて処刑されてしまいました。
スターリングブリッジの戦いが行われたのは、実際にはこの橋ではなかったようですが、戦いを思い起こすのに十分な風格のある姿をしています。
橋を渡って歩いていくとナショナル・ウォレス・モニュメントが見えてきました。
ウィリアム・ウォレスを記念するナショナル・ウォレス・モニュメントは、1869年にスコットランド人の民族意識の高まりを背景として、広く一般から募った寄付金によって建てられました。
塔は、高さ約67メートルで、ヴィクトリアン・ゴシック様式で建てられています。
アビー・クレイグの丘の上に建設されることになったのは、スターリング・ブリッジの戦いの直前に、ウィリアム・ウォレスがその高みからイングランドの軍勢を偵察したことに由来します。
塔の中ほどには、ウィリアム・ウォレスの像が飾られています。
塔の上に登ると、オールドブリッジのかかるフォース川を見下ろすことができ、その奥にはスターリング城も見えていました。
堂々とした姿のスターリング城ですが、ウィリアム・ウォレス率いる民衆軍は、城に籠る貴族たちの助けを得られずに、平原での戦いを行うことになりました。
ウィリアム・ウォレスの生涯を描いた作品としては、メル・ギブソン主演・監督の「ブレイブハート」があります。五つものアカデミー賞を受賞した作品ですが、主人公に馴染みがないせいか、日本ではあまり話題にならなかったような気がします。メル・ギブソンというと、「マッドマックス」をまず思い出してしまいますね。メル・ギブソンは、デビュー作の「マッドマックス」によってオーストリア人と思ってしまいますが、アイルランド系のアメリカ生まれです。
なお、ブレイブハートとは、「勇敢な心」という意味。
ウィリアム・ウォレス率いるスコットランド軍。民衆軍ということで、粗末な装備です。
メル・ギブソン演ずるウィリアム・ウォレスは、中央右寄りの顔を青くペイントした人物。
こちらはスコットランド軍。ロングボー隊や騎兵隊を含む装備もきらびやかな大軍です。
なお、この映画では、スターリングブリッジの戦いは、残念なことに、平原での戦いに変えられています。橋を作る予算がなかったとのこと。
ロングボーの攻撃に続いて騎兵隊の突撃。スコットランド軍の運命やいかに。
イングランド軍の騎兵隊を充分引き付けたところで、槍衾をめぐらして、騎兵隊の殲滅に成功し、スコットランド軍が勝利しました。
史実では、エドワード1世が率いた次のフォルカークの戦いでは、騎兵隊が長槍隊を崩せないとみると、ロングボーの攻撃に変えて勝利したというので、映画では逆の戦術になっています。
「ブレイブハート」では、スターリングブリッジの戦いとフォルカークの戦いがまぜこぜになっています。この映画では、エドワード1世やフランス王女イザベラの扱いなど、史実と異なっているところも多いですが、スコットランド独立運動に影響を与えたともいえます。
スコットランドに興味を持った人は、是非「ブレイブハート」を見てください。できたらスターリングも訪れてみてくださいといいたいところですが、イギリスツアーにも含まれておらず、一般的ではないですね。
スコットランドで現在に至るまで英雄として崇拝され、「スコットランド愛国精神の発明者」と評価されるウィリアム・ウォレスゆかりの場所を見学しましょう。
スターリング城の見学を終えて、街に戻りました。
アーガイルズ・ロッジング。17世紀の貴族のお屋敷とのこと。
時計塔のある古い家が並んでいます。
木枠組の家もありました。
市街地を抜けて郊外に出ていきます。
目的の一つは、このオールドブリッジ。右奥にこれから訪れるナショナル・ウォレス・モニュメントが丘の上に立つのが見えています。
スコットランド独立戦争におけるスターリングブリッジの戦いでは、イングランド軍騎士隊750人、歩兵18000人に対しスコットランド軍は騎士隊150人、歩兵7000人で、質・数ともイングランドが圧倒的優勢でした。しかし、スコットランド軍を率いるサリー伯は、甘く見て、幅が二人しか通れないスターリングブリッジを通っての進撃を命じてしまいました。
ウィリアム・ウォレス率いるスコットランド軍は、イングランド軍の先鋒が橋を渡るのを待った上で、長槍で攻撃し、敵の先鋒と後続の連絡を遮断して多大な損害を与えることに成功します。サリー伯の本隊は無傷でしたが、以後の戦いをあきらめて撤退してしまいました。
この勝利により平民出身のウィリアム・ウォレスの名声は高まり、まもなくナイトに叙任され、「スコットランド王国の守護者及び王国軍指揮官」に任じられました。
この戦い以降、イングランドに味方していたスコットランド貴族の多くが反乱側につき、イングランドは支配地の多くを失いました。
イングランド王エドワード1世はフランスとのフランドルの戦いを中止してスコットランド攻略に向かい、フォールカークの戦いが起こりました。
この戦いでは、イングランド軍の騎兵隊2000人、歩兵12000人に対しスコットランド軍は騎兵隊500人、歩兵9500人だったといわれ、やはりイングランド軍の兵力の方が優勢でした。この戦いでは、スコットランド軍は長槍隊の間を短弓隊が埋める配置で待ち構えました。まず、イングランド軍の騎兵隊が突撃しますが長槍隊を崩すことができませんでした。エドワード1世は、騎兵隊を呼び戻してロングボウ隊の一斉射撃を加えると、スコットランド軍は総崩れになりました。
ウォレスは、かろうじて脱出し、その後はゲリラ戦を行いますが、後に味方の裏切りによって捕らえられて処刑されてしまいました。
スターリングブリッジの戦いが行われたのは、実際にはこの橋ではなかったようですが、戦いを思い起こすのに十分な風格のある姿をしています。
橋を渡って歩いていくとナショナル・ウォレス・モニュメントが見えてきました。
ウィリアム・ウォレスを記念するナショナル・ウォレス・モニュメントは、1869年にスコットランド人の民族意識の高まりを背景として、広く一般から募った寄付金によって建てられました。
塔は、高さ約67メートルで、ヴィクトリアン・ゴシック様式で建てられています。
アビー・クレイグの丘の上に建設されることになったのは、スターリング・ブリッジの戦いの直前に、ウィリアム・ウォレスがその高みからイングランドの軍勢を偵察したことに由来します。
塔の中ほどには、ウィリアム・ウォレスの像が飾られています。
塔の上に登ると、オールドブリッジのかかるフォース川を見下ろすことができ、その奥にはスターリング城も見えていました。
堂々とした姿のスターリング城ですが、ウィリアム・ウォレス率いる民衆軍は、城に籠る貴族たちの助けを得られずに、平原での戦いを行うことになりました。
ウィリアム・ウォレスの生涯を描いた作品としては、メル・ギブソン主演・監督の「ブレイブハート」があります。五つものアカデミー賞を受賞した作品ですが、主人公に馴染みがないせいか、日本ではあまり話題にならなかったような気がします。メル・ギブソンというと、「マッドマックス」をまず思い出してしまいますね。メル・ギブソンは、デビュー作の「マッドマックス」によってオーストリア人と思ってしまいますが、アイルランド系のアメリカ生まれです。
なお、ブレイブハートとは、「勇敢な心」という意味。
ウィリアム・ウォレス率いるスコットランド軍。民衆軍ということで、粗末な装備です。
メル・ギブソン演ずるウィリアム・ウォレスは、中央右寄りの顔を青くペイントした人物。
こちらはスコットランド軍。ロングボー隊や騎兵隊を含む装備もきらびやかな大軍です。
なお、この映画では、スターリングブリッジの戦いは、残念なことに、平原での戦いに変えられています。橋を作る予算がなかったとのこと。
ロングボーの攻撃に続いて騎兵隊の突撃。スコットランド軍の運命やいかに。
イングランド軍の騎兵隊を充分引き付けたところで、槍衾をめぐらして、騎兵隊の殲滅に成功し、スコットランド軍が勝利しました。
史実では、エドワード1世が率いた次のフォルカークの戦いでは、騎兵隊が長槍隊を崩せないとみると、ロングボーの攻撃に変えて勝利したというので、映画では逆の戦術になっています。
「ブレイブハート」では、スターリングブリッジの戦いとフォルカークの戦いがまぜこぜになっています。この映画では、エドワード1世やフランス王女イザベラの扱いなど、史実と異なっているところも多いですが、スコットランド独立運動に影響を与えたともいえます。
スコットランドに興味を持った人は、是非「ブレイブハート」を見てください。できたらスターリングも訪れてみてくださいといいたいところですが、イギリスツアーにも含まれておらず、一般的ではないですね。