さすらい人の独り言

山登り、日々の独り言。
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さすらいの風景 スターリング その1

2014年09月18日 | 海外旅行
2014年9月18日は、スコットランド独立についての住民投票が行われ、その結果にかかわらず、スコットランドの歴史の上で忘れない日になることでしょう。

スコットランドとイングランドの抗争は、遥か昔に遡りますが、13世紀から14世紀にかけて行われたスコッチランド独立戦争は、スコットランド人の心の底に現在でも秘められています。

そのスコットランド独立運動の舞台になったのがスターリングです。

スターリングは、エジンバラの北西60kmに位置するスコットランドで最も小さい市で、ハイランドの入り口とも言われます。かつてのスコットランド王国の首都であり、この周辺で行われたウィリアム・ウォリスやロバート・ザ・ブルースのイングランド軍との戦いや、スターリング城でのメアリー女王の戴冠式など、スコットランドの歴史において重要なできごとが起こりました。



歴史を感じさせる古い建物が並んでいます。



今はホテルになっている旧ハイスクール。



スターリング城に向かう途中の民家の庭。人形が置かれていますが、スコットランド伝承の妖精でしょうか。スコットランドの妖精では、ピクシーあたりが有名ですね。



スターリング城は、岩山の上にあるので、坂を上っていきます。



スターリング城の入り口に到着。



小ぶりながら堅固な城壁に守られています。



ロバート・ザ・ブルース(スコットランド王ロバート1世 在位1306–1329)の像。

スコットランド王ロバート1世誕生までの歴史を振り返ってみましょう。

1289年の女王マーガレットの死によって、スコットランドのアサル王家は断絶します。その後継者争いは、候補者が13人も出て収拾がつかなくなりました。混乱に乗じたのが、ウェールズを征服したイングランド王エドワード1世でした。イングランドにも土地を持っていたスコットランドの貴族はイングランド王に逆らえず、エドワード1世はスコットランドの支配者として振る舞い、スコットランドはイングランドから派遣された総督によって統治されることになりました。

1297年5月、地方豪族のウィリアム・ウォレス率いる民衆軍による大反乱が起きます。反乱軍は、スターリング・ブリッジの戦いで、エドワード1世不在のイングランド軍を徹底的に打ち負かし勢いづきますが、翌年の、エドワード1世率いるイングランド軍とのフォールカークの戦いでは、貴族軍の非協力によって大敗し、スコットランド人によるこの大反乱は失敗に終わりました。ウォレスはその後も7年間にわたってゲリラ戦を行ってイングランドに抵抗し続けたが、1305年に捕らえられ、反逆者として八つ裂きの刑に処せられました。

13人の王位請求者の一人の孫のロバート・ドゥ・ブルースは、ウィリアム・ウォレス率いる一連の反乱への協力には終始曖昧な態度を取り続けましたが、最大のライバルであったジョン・カミンを殺害し、権力闘争に打ち勝ち、スコットランド王位につきます。

イングランド王エドワード1世さらにその後継者エドワード2世との間で行われた戦いも一進一退でしたが、1314年のスターリング近くの、バノックバーンの戦いでロバートは大勝し、スコットランドはイングランドからの独立を果たしました。

その後、スコットランド王家とイングランド王家は姻戚関係を結びながらも抗争を繰り返すことになりますが、スコットランド発祥のスチュアート朝は、1603年以後はイングランド国王を兼ねて同君連合体制となり、1707年にグレートブリテン王国を成立させました。

スコットランド王室はイングランドに寄り添ってしまいましたが、民族意識はウィリアム・ウォレスの反乱の記憶を未だ留め、21世紀になってのスコットランド独立運動の独立の背景になっていると思われます。



ロバート・ザ・ブルースは、スターリング・ブリッジの戦いをどのように思って眺めていたのでしょうか。



スターリング城の入り口。





スターリング城は城壁に囲まれて、後世のものでしょうが、大砲も置かれていました。

13世紀にイングランド王エドワード1世がスターリング城を包囲したときは、巨大な投石機が用いられて威力を発揮したと言われています。



城壁の内側は、昔は兵士溜りだったのでしょうが、庭園になっています。





内側の城門をくぐると王宮が現れます。



スターリング城からは、スターリングをとりまく原野を見下ろすことができました。



城の下には、チャールズ1世が整えようとした庭園跡のキングス・ノットが見えています。

スターリング城の見学の次はスコットランド独立戦争のもう一人の主役のウィリアム・ウォレスに会いに行きました。
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