![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/08/6a/9e17bcff24ca53298f3a7b848e67f2d1.jpg)
チェヘル・ソトゥーン宮殿の中に入ると、壁を埋め尽くす絵に目を奪われました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/35/a9/090405d625ae96998b945ae18856d586.jpg)
天井の装飾も見事です。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/35/41/039c65296a1fe2dbbcd3105a397a8997.jpg)
部屋には、宴会の絵が三枚掛けられています。17世紀の著名な細密画師レザー・アッバースィによって描かれたものです。アッパース1世がアシュタルハーン朝のヴァリ・モハンマド・ハーンをもてなす宴、タフマースブ1世がムガール朝の王子フマーユーンをもてなす宴、アッパース2世がアシュタルハーン朝のナーデル・モハンマド・ハンをもてなす宴とのことですが、どれがどれかは判りません。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4b/84/6e4a39a31d68318e4575f9a7d867f28f.jpg)
宴のさまが生き生きと描かれています。踊り手の姿には、東洋的なものが感じられます。
ペルシア細密画(ミニアチュール)は壁画や写本の挿絵として発達してきました。イランの詩文学は10~13世紀にその絶頂期を向かえて数々の傑作が生まれましたが、絵画は、少し遅れた13世紀後半のモンゴル支配下のイル・ハン朝の頃からで、ティムール朝を経て16世紀、サファヴィー朝期に全盛期を迎えました。イル・ハン国を建てたモンゴル人が、中国絵画の技法をイスラーム世界に伝えたといいます。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/38/71/fe5b56f51e312810fd7f8deb55c5b91a.jpg)
細かい所を見ていくと、興味が尽きません。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1f/32/4e78a8f6dea76ab68fe0e71b9f07803b.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/75/a7/c1bb4312341d70e87f65d6886f4507ba.jpg)
踊り手が増えています。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/38/44/1e3021b1a8c864fcc90b4d28d94dd48b.jpg)
酔いつぶれている人。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/14/36/dc7588d528ac7b768b0e3be32adc412e.jpg)
女性だけで酒盛り。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/52/0f/514e9ea19079281f65926f23137029a8.jpg)
宴会の参列者。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/22/a7/86a6987b70e1344db2862d608a5e6d24.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/40/cc/7816949084552eb34e6ee7cbfcb7b2e7.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/44/ef/0e384b6e6828903eac7a2b61a3a2818a.jpg)
お客が年少のようなので、これが「タフマースブ1世がムガール朝の王子フマーユーンをもてなす宴」の絵のように思えます。
細密画というとインドのムガル絵画も有名です。第2代皇帝フマーユーンは、一時期、サファヴィー朝のタフマースプ1世の宮廷に身を寄せていた事があり、その折に、フマーユーンは、ペルシャ細密画に触れる事となりました。フマーユーンはインドに戻る際に、2人の絵師を連れ帰り、そこからムガル絵画が始まりました。
この宴会の絵は、ムガル絵画誕生の場面を描いているともいえます。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/61/c3/2a8265d2118a54c8210e086d52c5eda2.jpg)
民族楽器の演奏者
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/34/d1/46d6fe7eed1dc14d8dc5588284a21054.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4b/c0/ed3fbf631cb54e596e395c7a7c83c88f.jpg)
宴会の絵と並んで、戦いの絵が飾られていました。
イスマイール1世とオスマン軍の戦い、イスマイール1世の軍勢がターヘルアバードでシャイバーニー朝軍を打ち負かす様子、インドのカルナルでの戦いの三枚の絵が飾られていました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/78/69/ac87d39174a2c13ed83307fb9387345d.jpg)
像が描かれているので、インドでの戦いでしょうか。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/41/e6/ef413e4207ce019d8079062d20a22c44.jpg)
首が飛ぶ殺戮のさまが描かれていますが、宴会の絵の方が生き生きとしていますね。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3a/ad/3a9f90ace1a44f3c4e0f8f805e8832ea.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/34/6b/f30e7d39aff0ce6cffe61a2488b65db2.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/38/7c/0aeacd1955f0e3167d605886013b5797.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7c/fd/2039432a27aae6d2ab0f017847683bf7.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/26/b2/070a33743fc64f75019dd3732f8cb227.jpg)
壁の下部には、男女を描いた小ぶりな絵が飾られていました。ペルシャ細密画ならではの趣があります。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/14/f5/1cb04d2fa609d22eb489ed45de44f643.jpg)
誘うような姿にエロチシズムを感じます。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/00/a9/a572f7fe4f75d0ffcc78da6b20f355b9.jpg)
絵に描かれている赤い飲み物は、葡萄酒のように思えます。
漢詩なら「酔臥沙場君莫笑」といった場面ですが、ペルシャの詩でも同じような酔いどれの詩があるのでしょうね。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/34/10/c89a863fe6d22ca0880f8982b41f1775.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/00/92/a4122189377bc291227be4992b3aa379.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1e/1c/0a753f5a2a17cbfbbad579537ef2609b.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/28/c5/47a2d9fde4beb22a10cd47caf34e7d76.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2f/94/67b3426d46557d32e3f4720513bbf27f.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1a/cb/0a81c1dabf043a0e8844c2ddb94391e8.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6b/0f/b8242f3270f14964afa1a32488cbe24a.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/69/c6/45679f24a811ce6b9d447b106857c0ec.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7f/a7/4f35a282504a5a8d3803810f799ae90b.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/06/76/9970f8a1292252d7eab8d5d090429668.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/77/31/268a712c5f9578ece681ce505e29f440.jpg)
これらのペルシャ細密画を見ていると、二人の画家が思い浮かんできます。
一人は、この「千夜一夜物語」を描いたカイ・ニールセン。
カイ・ニールセン(1886~1957年)は、デンマークのイラストレーターで舞台美術も手がけました。この絵は、コンドラシン&コンセルトヘボウ管弦楽団によるリムスキー・コルサコフ作曲の交響組曲「シェエラザード」のCDジャケットに使われていましたね。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/32/06/c834d0aef2dde30928f5a26119d4f08e.jpg)
エルテ作 ファイヤーフライ
もう一人は、エルテ(本名ロマン・ド・ティルトフ 1892~1990年)。ロシア生まれで、オリエンタリズムとロシア文化を取り入れ、さらにペルシャの色彩やビザンチンの華麗さを加味したアール・デコの画家で、数々の舞台衣装やヴォーグ等のファッション雑誌の挿絵を手がけました。リトグラフ「数字」シリーズが最も知られていますね。
この二人の絵が好きなので、時代を遡ってペルシャ細密画に親しみを覚えるのかもしれません。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/35/a9/090405d625ae96998b945ae18856d586.jpg)
天井の装飾も見事です。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/35/41/039c65296a1fe2dbbcd3105a397a8997.jpg)
部屋には、宴会の絵が三枚掛けられています。17世紀の著名な細密画師レザー・アッバースィによって描かれたものです。アッパース1世がアシュタルハーン朝のヴァリ・モハンマド・ハーンをもてなす宴、タフマースブ1世がムガール朝の王子フマーユーンをもてなす宴、アッパース2世がアシュタルハーン朝のナーデル・モハンマド・ハンをもてなす宴とのことですが、どれがどれかは判りません。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4b/84/6e4a39a31d68318e4575f9a7d867f28f.jpg)
宴のさまが生き生きと描かれています。踊り手の姿には、東洋的なものが感じられます。
ペルシア細密画(ミニアチュール)は壁画や写本の挿絵として発達してきました。イランの詩文学は10~13世紀にその絶頂期を向かえて数々の傑作が生まれましたが、絵画は、少し遅れた13世紀後半のモンゴル支配下のイル・ハン朝の頃からで、ティムール朝を経て16世紀、サファヴィー朝期に全盛期を迎えました。イル・ハン国を建てたモンゴル人が、中国絵画の技法をイスラーム世界に伝えたといいます。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/38/71/fe5b56f51e312810fd7f8deb55c5b91a.jpg)
細かい所を見ていくと、興味が尽きません。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1f/32/4e78a8f6dea76ab68fe0e71b9f07803b.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/75/a7/c1bb4312341d70e87f65d6886f4507ba.jpg)
踊り手が増えています。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/38/44/1e3021b1a8c864fcc90b4d28d94dd48b.jpg)
酔いつぶれている人。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/14/36/dc7588d528ac7b768b0e3be32adc412e.jpg)
女性だけで酒盛り。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/52/0f/514e9ea19079281f65926f23137029a8.jpg)
宴会の参列者。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/22/a7/86a6987b70e1344db2862d608a5e6d24.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/40/cc/7816949084552eb34e6ee7cbfcb7b2e7.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/44/ef/0e384b6e6828903eac7a2b61a3a2818a.jpg)
お客が年少のようなので、これが「タフマースブ1世がムガール朝の王子フマーユーンをもてなす宴」の絵のように思えます。
細密画というとインドのムガル絵画も有名です。第2代皇帝フマーユーンは、一時期、サファヴィー朝のタフマースプ1世の宮廷に身を寄せていた事があり、その折に、フマーユーンは、ペルシャ細密画に触れる事となりました。フマーユーンはインドに戻る際に、2人の絵師を連れ帰り、そこからムガル絵画が始まりました。
この宴会の絵は、ムガル絵画誕生の場面を描いているともいえます。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/61/c3/2a8265d2118a54c8210e086d52c5eda2.jpg)
民族楽器の演奏者
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/34/d1/46d6fe7eed1dc14d8dc5588284a21054.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4b/c0/ed3fbf631cb54e596e395c7a7c83c88f.jpg)
宴会の絵と並んで、戦いの絵が飾られていました。
イスマイール1世とオスマン軍の戦い、イスマイール1世の軍勢がターヘルアバードでシャイバーニー朝軍を打ち負かす様子、インドのカルナルでの戦いの三枚の絵が飾られていました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/78/69/ac87d39174a2c13ed83307fb9387345d.jpg)
像が描かれているので、インドでの戦いでしょうか。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/41/e6/ef413e4207ce019d8079062d20a22c44.jpg)
首が飛ぶ殺戮のさまが描かれていますが、宴会の絵の方が生き生きとしていますね。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3a/ad/3a9f90ace1a44f3c4e0f8f805e8832ea.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/34/6b/f30e7d39aff0ce6cffe61a2488b65db2.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/38/7c/0aeacd1955f0e3167d605886013b5797.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7c/fd/2039432a27aae6d2ab0f017847683bf7.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/26/b2/070a33743fc64f75019dd3732f8cb227.jpg)
壁の下部には、男女を描いた小ぶりな絵が飾られていました。ペルシャ細密画ならではの趣があります。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/14/f5/1cb04d2fa609d22eb489ed45de44f643.jpg)
誘うような姿にエロチシズムを感じます。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/00/a9/a572f7fe4f75d0ffcc78da6b20f355b9.jpg)
絵に描かれている赤い飲み物は、葡萄酒のように思えます。
漢詩なら「酔臥沙場君莫笑」といった場面ですが、ペルシャの詩でも同じような酔いどれの詩があるのでしょうね。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/34/10/c89a863fe6d22ca0880f8982b41f1775.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/00/92/a4122189377bc291227be4992b3aa379.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1e/1c/0a753f5a2a17cbfbbad579537ef2609b.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/28/c5/47a2d9fde4beb22a10cd47caf34e7d76.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2f/94/67b3426d46557d32e3f4720513bbf27f.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1a/cb/0a81c1dabf043a0e8844c2ddb94391e8.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6b/0f/b8242f3270f14964afa1a32488cbe24a.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/69/c6/45679f24a811ce6b9d447b106857c0ec.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7f/a7/4f35a282504a5a8d3803810f799ae90b.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/06/76/9970f8a1292252d7eab8d5d090429668.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/77/31/268a712c5f9578ece681ce505e29f440.jpg)
これらのペルシャ細密画を見ていると、二人の画家が思い浮かんできます。
一人は、この「千夜一夜物語」を描いたカイ・ニールセン。
カイ・ニールセン(1886~1957年)は、デンマークのイラストレーターで舞台美術も手がけました。この絵は、コンドラシン&コンセルトヘボウ管弦楽団によるリムスキー・コルサコフ作曲の交響組曲「シェエラザード」のCDジャケットに使われていましたね。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/32/06/c834d0aef2dde30928f5a26119d4f08e.jpg)
エルテ作 ファイヤーフライ
もう一人は、エルテ(本名ロマン・ド・ティルトフ 1892~1990年)。ロシア生まれで、オリエンタリズムとロシア文化を取り入れ、さらにペルシャの色彩やビザンチンの華麗さを加味したアール・デコの画家で、数々の舞台衣装やヴォーグ等のファッション雑誌の挿絵を手がけました。リトグラフ「数字」シリーズが最も知られていますね。
この二人の絵が好きなので、時代を遡ってペルシャ細密画に親しみを覚えるのかもしれません。