歴史を越えて絶えることなく脈々と
受け継がれている習慣が
必ずしも人類にとって有益であるとは限らない。
その代表が、喫煙、という習慣だ。
百害あるとなれば人間の英知で当然淘汰されるべきものを…
たばこは15世紀の新大陸発見により
世界的に広まった。
当時、アメリカ先住民の間では
すでに一般的な習慣となっており、
およそ1500年前のマヤ文明の美術作品にも
喫煙の様子が描かれているという。
日本には16世紀後半にスペインから
もたらされたと言われている。
一方、たばこの健康被害については
すでに16世紀初頭から色々と議論されていたらしい。
益より害が多いことはわかっていたようだが、
麻薬のように国家的に排除されることはなかった。
すでに、社会、経済の枠組みに取り込まれていたことも
あるのだろうが、喫煙者の薬物的依存、
繰り返される戦争や社会生活におけるストレスなどで
たばこに癒しを求めた精神的依存からの脱却が
困難であったためと思われる。
しかし、今や、喫煙は世界の10大死因のうち
6死因の危険因子となっている。
また、成人10人に一人の死亡原因とも言われる。
それでも、日本の喫煙率は
男性46.9%、女性13.2%(2004年)といまだに高く、
女性では増加傾向が続いているというのが驚きだ。
果たして、今までの“ぬるい”喫煙抑制策をこのまま
続けていていいのだろうか…
世界保健機構(WHO)は2月7日、
世界的にたばこの流行が進んでおり、
各国政府が喫煙を制限する努力を格段にステップアップ
しない限り、今世紀末までに10億人の命が奪われることに
なるだろうと警告する報告書を発表した。
http://s04.megalodon.jp/2008-0209-0857-52/www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2008/02/08/AR2008020803248.html
(ウェブ魚拓、The Washington Post [the associated press] より一部)
179ヶ国の喫煙についてのデータをまとめた初めての
包括的報告である。
それによると、毎年、世界ではたばこから2000億ドル以上の
税収があるが、たばこ規制のためには、その0.2%以下しか
支出されていないという。
現状は、喫煙抑制の法制化により守られているのは世界人口の
5%にすぎず、たばこの宣伝やイペント後援を
完全に禁じている国に住んでいるのも同数だ。
また喫煙の弊害を絵図で表した警告が
たばこの箱に明示してある国に住める者も
世界人口の6%ほどだ。
若い人たちにたばこを吸い始めるのをやめさせ、
あるいは禁煙を支援し、非喫煙者を受動喫煙から守るなどの
一層の努力が各国に求められる。
たばこ規制には次の6つの戦略が勧められている。
① たばこの税、価格を上げる
② たばこの宣伝、促進、および資金提供の禁止
③ 受動喫煙からの保護
④ 喫煙の危険についての警告
⑤ 禁煙希望者への支援
⑥ たばこ流行の認知、阻止のための喫煙状況の監視
179ヶ国のたばこ政策についての報告書によれば、
世界の喫煙者のほぼ3分の2は次の10ヶ国に生活している。
中国(なんと全世界喫煙者の30%)、インド、インドネシア、
ロシア、米国、日本、ブラジル、バングラデシュ、ドイツ、そして
トルコである。
2003年までにたばこ関連死者の80%以上は
低、および中所得国家で占められるだろうと予測されている。
WHOのたばこ撲滅運動の責任者である
ダグラス・ベッチャー博士は、
WHOの推計では、現在、年間540万人の喫煙関連死があり、
今後なんら対策がなされなければ、この数字は2030年までに
年間800万人以上にまで増えるだろう、と述べている。
さらに増え続けると、死者数は今世紀末までに10億人に
達するとみられている。
喫煙が低所得国家で増加するのは、安定した人口増加に
たばこ業界が目をつけるためで、結果的に年間何百万人もの
人々が確実にたばこ常習者となるのである。
たばこ流行の発展途上国への移行は、疾患や若年死の
かつてない急増が懸念される。
中国ではもし喫煙を制限しなければ30才以下の
喫煙男性の1億人がたばこによって死亡するだろう
との報告もある。
74の国々では、いまだ医療施設や学校内での喫煙が
許されている(もちろん日本も含まれるだろう)。
世界人口の3分の2を占める計算になる約半数の国々では
政府機関や職場での喫煙が許されており、
たばこの宣伝、促進、および資金援助を完全禁止しているのは
179ヶ国中わずかに20ヶ国のみである。
たばこ一箱の値段をみても、
英国では5ポンド23ペンス(約1090円)であるのに対し、
日本では約300円とまだまだ安い。
広告、宣伝に関する13項目の規制についても、
英国では9項目をクリアしていたのに対し、
日本は『販売促進目的の値下げをしていない』という
1項目を満たしているのみだった。
…さて、医療費抑制策の一つとして
4月から導入が予定されている後期高齢者医療制度。
ターゲットは75歳以上の高齢者である。
複数の病気を持っていることが多く、
複数の医療機関にかかっている可能性が高いことから、
受診機関を限定しようとする狙いのようだ。
結果的に、後期高齢者の受診機会や
診療内容が大きく制限される可能性がある
(建前上は制限しないとなってるが…)。
これら高齢者は病気になりたくてなっているのではない。
健康に留意し、酒、たばこを控えてこられた方々も
多いことだろう。
どんなに気をつけていても
加齢とともに種々の疾患に罹るのは仕方のないことだ。
片や、以前より“悪のお墨付き”をいただいており、
その弊害を重々知りつつも自分の意志でたばこを
吸い続けてきた非高齢喫煙常習者の場合…
当然の報いによって健康を害することになったとしても
従前どおり制限なく手厚い保険診療が保証されるのである。
あまりに理不尽ではないか…間違っちょるよっ!(怒)
橋田壽賀子‐渡鬼風セリフをお借りするなら、まさに、
『そんな道理はないでしょう』(苦笑)…
理にかなった、効率のよい医療費削減を目指すなら、
真っ先に手をつけるべきところは
厳格な禁煙対策の徹底にあると思うのだが…
永田町でスパスパやってる愛煙家諸氏は
いかがお考えなのだろうか?
実は私、以前は吸っていました。風邪をひいて喉が痛いのに、本数を減らしたり、長めに吸い残したりして吸ってました。でも、そうまでして吸っているコトが急にバカらしくなって、きっぱり辞めちゃいました。禁煙本やら、パッチやら色んなグッズが出ていても、最終的には、本人の意思ですからね。たぶん手厚い診療を受けても、ほとんどが無駄でしょう。
本当に健康のことを考えるなら、売らなければいいのにと思うんですけどね。税収が大きいからできないのかしら?
ワタクシは最初っから吸わないので容赦ないです(誰にだよ)。
たばこを本気で止めさせようとしないのはyunppiさんの思われるとおりでしょう。根っこのことろは道路特定財源-暫定税率堅持と同じと思います。ただし、たばこ税が一体何に使われているのかは明らかにされてないようです。腐ってますね。