MrKのぼやき

煩悩を解脱した前期高齢者男のぼやき

根拠なき治療を提供してくれる国

2008-01-18 11:44:01 | 健康・病気

1月5日付 ワシントンポスト紙で次のような記事を見つけた。

http://s01.megalodon.jp/2008-0106-2255-52/www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2008/01/05/AR2008010501131.html?hpid=sec-health
(ウェブ魚拓、一部のみ)

2004年頃、中国で黄紅雲医師のもと、脊髄損傷の患者に

臍帯血幹細胞や胎児嗅神経鞘グリアを脊髄に注入する治療が

さかんに行われていることが話題になってから、

すでに4年が経過しようとしている。

一体、その治療成績はどうなっているのだろうか。

未だ明らかにされていないようだ。

この記事によれば、30,000ドルから40,000ドルの費用で

治療を受けることができるとあって、現在も米国をはじめ海外から

続々と中国に渡航してくるそうである。もちろん日本人も多い。

彼らは、自宅を抵当に入れてまで借金をし、

あるいは支援者によりかき集められた寄付により、

奇跡を期待して中国に渡る。

しかし、当地での治療は、日本を含め西洋医学の常識では

考えられない手順で行われているのが現状だ。

十分な動物実験や臨床試験による有効性や安全性の証明が

なされていない段階でのヒトへの治療であり、

また、現在も厳密な臨床試験が行われている様子もうかがえない。

さらに、倫理上の問題が指摘されている胎児細胞を用いている点にも

議論が多い。

この段階での臨床応用となると、極端に言えば、治療を受ける側は

モルモットの代わりにされているのも同じだとの警告もある。

学術的に有効性を証明する報告はなく、安全性も確立されているとは

言えない。

それにもかかわらず、実際に治療を受けた患者の多くが

治療の成功を語っているという。

その理由として、移植治療そのものの効果によるというより、

中国滞在中に併せて行っている集中的なリハビリテーションや

プラセボ(偽薬)効果の関与が考えられている。

また、支払った多額の資金や支援者達からの援助が

患者の心理に影響を及ぼしているのではないかとも言われる。

支援者達に『治療はうまくいかなかった』とは言えないだろうって?…

米国の医師達は、正規の手続きを踏んでいないこうした実験的治療に

飛びつかないよう患者を思いとどまらせようとしているという。

しかし、そうは言っても、

現状ではもはや有効な治療手段の残されていない、

脊髄損傷、重いパーキンソン病、視神経障害による失明、

原因不明の不治の神経疾患である筋萎縮性側索硬化症(ALS)、

などの患者たちは藁をもつかむ思いで、

中国での幹細胞治療を提供するウェブサイトにたどりつくのである。

わが国における脊髄再生医療の現状は、自身の鼻粘膜から採取した

基底細胞(神経幹細胞)を脊髄損傷部に移植する動物実験が

行われ、ようやく臨床試験が始まろうとしているところである。

(これとて40歳以下という年齢制限あり)

重い障害を抱えた患者、確実に死期が迫っているALSの患者には

臨床試験の完結を悠長に待っている余裕はない。

患者およびその家族は、

安全性が未確立であることや、効果が不確実であることは

十分承知の上であろう。

障害の回復にわずかでも光があれば、それを求めるのは当然だ。

彼らに治療を思いとどまらせるよう

強く説得できる言葉を我々は持ち合わせていない。

すでに何千人もの治療が行われたと推測される一方、

この先、何千人もの患者が治療を待っているに違いない。

これまでの治療成績と安全性の一刻も早い公表を望む。

新型インフルエンザのヒト‐ヒト感染の現状も

依然ベールに包まれているが、

かの国にはこうした医療の実態を明らかにしていただかなければ、

オリンピック開催国として確固たる信用を得るまでの道のりは、

はるかに遠いと言えそうだ。

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2 コメント

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かの国には、もちろん最先端の医療を提供する施設... (MrK)
2008-01-20 21:51:35
かの国には、もちろん最先端の医療を提供する施設もあり、優秀な医師も揃っています。が、なんせ13億人もいるわけですから、統制はとれないでしょうね(在大勢振舞唯我独尊基四千年歴史←意味不明)。段ボール肉まんのニュースも実はホントだったのかも?
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4千年の歴史に敵は無し、厚い顔の皮が立ちふさがる... (yunppi)
2008-01-19 20:14:00
4千年の歴史に敵は無し、厚い顔の皮が立ちふさがるのです!?
というのは冗談ですが、これだけ色んな方面で「偽」だらけのかの国、せめて医療だけはと思いたいのですが・・・やっぱり、怖いですね。
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