ほなさんの汗かき日記

かくれ肥満の解消に50歳を超えてはじめた健康徒歩ゴルフ。登場する個人名、会社名、内容はフィクションである。

40年同窓会(5)深層心理に叩き込め

2010年01月13日 | 日記
あれは、わが 夫、、、、。

他と比べようのない貧相さは、もう間違い
ありません。あれに見えるは、あなたの父
さんよ、といいたいのを恥ずかしさがさえ
ぎり、妻は押し黙ったのでありました。
とても口にはできません。
娘は父親だと気付かず、キッと男を睨みつ
つ、マンションの一室へと駆け込んだので
ありました。

夫がする、背筋を伸ばし、だらりとした両
手を前で組み、左右に揺さぶるこの光景だ
けならば、早々にわかったはずでありまし
たが、軸がしっかりできない夫は、悪いこ
とに、左右に腕を振るたびに、体がよろよ
ろとよろけ、信号機の下を、腕を振りつつ
ふらふらと泳いでいたのありました。

そうです、軸がしっかりしていたなら、ゴ
ルファーなら誰でもわかる行為、スイング
練習なのでした。
妻は、わが夫君の愚かさが情けなく、やがて
不憫になりました。夫の貧相な下半身と緊張
感の無いぐにゃぐにゃの背筋は、腕の少しの
振りにも耐えることができず、体全体が右へ
左へ2mも移動して、時々こけそうになってい
るではありませんか。娘が不審な酔っ払いと
思ったのも当たり前でありました。


そういえば夫は、正月の同窓会ゴルフを楽し
みに、持っていないはずのプレー代もどこか
らか都合してきているようでした。
そして、
「ドライバーが当たれば、、、」
と、こればかりぶつぶつと言っておりました。

課題のドライバーをなんとかしたい夫は、「
ふらふらスイング」をしつつ、駐車場からマ
ンションへと移動してきたのでしょう。
これが、還暦に近い一家の大黒柱のすること
でしょうか。

そこまでやってもなお、同窓会ゴルフの結果
は見えています。
夫はいつもと同じように、
「あーあ、あかなんだわ」
と言いつつ帰ってくるに決まっています。こ
こは知らないフリして、声をかけずに帰りま
しょう、それが娘と夫のため、と妻は考えそ
そくさと帰宅したのです。

早々に姿を消した妻と娘に気付かないほなさ
んは、信号機の向こうで、調子よくブンブン
腕を振り回し、さらにふらふらする巾を広げ
ながら、わが深層心理にスイングを叩き込ん
でいたのでありました。

月灯りも凍てつく、年末の一夜のできごとで
ありました。