二年前、いや三年前か。
1年間で百日以上、自転車で通勤していたことがある。
当時は阿佐ヶ谷から千駄ヶ谷までであった。片道10km、往復20kmなので、なかなか良い運動である。が、諸事情有り、怠け心もあって、すっかりお休みとなっていた。
が、復活である。
理由は、妻の一言であって年末、いや年始だったか。
自転車、乗らないなら、ジャマだから捨てたら。。
冷たく言い放たれたのだった。
「馬鹿者、これは伊太利亜メイドのRossinという誉れ高い自転車であって、ロッシンは、レースに勝つための自転車しか作らないという気高い理想を持った人だ。しかも日本では品薄でほとんど観ない。ガッチガチのアルミ性だが、つまりこれも勝つためであって、快適さは二の次、というところが素晴らしいではないか、ええい、無礼者、下がれ、下がれ」と心の中で妻に叫んだ。
が、
気がついたら自分の口から出たのは「……。あ、乗るから。」という気弱な声であった。
しかし、こういう風に言っておきながら放っておけば捨て裸れる可能性はある。
言ったからには乗った、という事実を積み上げなくてはならない。
ということで久しぶりに、通勤を開始してみたら、これがやはり乗ってみれば楽しいのだった。速い自転車に乗っていると、知らず知らず笑顔になっているのが、自分でも不思議だ、よく晴れた朝は事に気持ちが清々しい。第一自転車に乗っていると寒くないのだ。(これが夏場だと暑くて汗まみれになって大変だ、自転車通勤に最高のシーズンは、今なのだ、冬の大寒の頃なのだよ、ワトソン君)。
ただ、久々に乗るに当たって、ちょっとだけパーツを換えた。正確に言うと機能をダウンさせたのだ、それがこの冒頭の赤いペダルである。実は自転車、特にロード車は、普通ペダルで運ばないのだった。ビンディング。つまり靴とペダルを一体化させたもの、それでコグのだ。ペダルが靴にベッタリとくっいている状態である。なぜか。実はこれを使うとペダルを漕ぐ効率が飛躍的に変わる。体感的には1.5倍ぐらい上がる。何故かというと、ペダルを後ろに回す時まで力を入れることができるからだ。こうなると両足のどこかが常にペダルに力を入れていることになり、常にタイヤにトルクを与えることができる。通常の踏むだけのペダルではトルクは均等ではないし、絶対量も小さい。
が、ビンディングは専用の靴を履かなくてはならないし、なんというか、飛ばすこと命というメンタリティを醸成する。まるでレースのように漕ぎたくなってしまうのである。
今思うと、これがちょっと乗るには精神的に負担であった。なので、普通のペダルにしてみた。しかもあえて赤いペダル。後で変えましたッ手感じが帰って出ていいかなと。
ま、ペダルにしてみると確かにどんな靴でも乗れるし、フツーに走ればいいかという気になるので、アリだと思います。ただし、ノロノロ走ってるので、ロード車にはもちろん、全く普通のフラットバーの自転車にもドンドン抜かれて、ちょっと情けないです、。
でも、今はリハビリ的に何度も乗ることのほうが、大事だから、少しこんな感じでノンビリと再び乗り始めよう、と思っています。