ほぼ週刊イケヤ新聞ブログ版

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大みそかにNHK教育でスティーブ・ライヒのディファレントトレインという曲を聴いて感動したのだった

2009年01月02日 23時54分10秒 | CD&コンサートレビュー
Reich: Different Trains, Electric Counterpoint / Kronos Quartet, Pat Metheny

Nonesuch

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珍しく年末に、テレビを見たのだった。それは紅白歌合戦ぐらいみておこうと思ったからで、テレビが見れない我が家なので、テレビを見るにはラップトップパソコンのワンセグチューナーで見るしかないのであった。

が、久々にテレビを見ると、知らないバンドがいっぱい出ているのであった。一番良かったのはPerfumeかな、素晴らしいよね、あのヌケの良さ。ナカタヤスタカ、グレートである。

さて、紅白だが、ずっと見ているのは辛くて、演歌のときなどは、NHK教育のチャンネルで前半は第九合唱付きを見ていて、流石だと唸ったり、トランペットのあたりに佛坂さんを見つけたりしていた。が、後半のNHK教育では、クラシックベストセレクションというものになって、今年の名演奏の数々をダイジェストで流すのであった。

いろいろ素晴らしいものがあった。紅白と交互なのでとびとびで見ていたんだが、結局最後まで見てしまうほど実は感服したのが、現代曲であるスティーブ・ライヒ作曲のDifferent Trainsという曲であった。

ライヒはまさに現代曲、特に、ミニマルミュージックの作家であって、モワレのような反復の美しさが身上だが、この曲はチェロのソリストとして有名な古川展生を含むストリングスカルテットARCOによる演奏だったが、テレビスタジオには電車を連想されるセットがあり、そこで緊張感あふれるミニマルな演奏がおこなれていて、本当に引き込まれた。凄かった。
アウシュビッツと思われる体験が、録音による体験者のセリフの音声と、列車の音、そして演奏のバックに用意されたスクリーンにテキストとして映し出される、この相乗効果がとても凄かった。緊張感あるストリングスカルテットの演奏に、列車の音がコラージュされたり、人の話し声、ナレーションのようなものの、コラージュ、そしてテキストによるスクリーンでのインスタレーションである。いや、すごいし、かっこいいこと。

正直言って、今までまともにライヒの演奏を聴いたことがなかったわけだが、今回はほんとに衝撃を受けた。すごい音楽であって、これがクラシックなのかどうなのかはどうでもいいんだが、非常に現代的で、クールで、しかし音楽史に連なるものを感じた。

それにしても、こういうもので表現されるものを見てもアウシュビッツをはじめとするホロコースト(大量殺戮)には身の毛がよだつ思いだ。どうして人間はあんなに恐ろしいことが行えるのだろうか。信じがたい、人類の闇の部分である。しかしこれを見なかったことにしてはいけないだろう。

ところで、この different trainsは、調べてみると冒頭のフォトのようにかのクロノスカルテットが演奏してモノがあり、しかもパット・メセニーまで入っているようだ。これは非常にすばらしそうなのでぜひ買って聞いてみようと思います。皆さんもいかがでしょうか。一聴の価値はあるのでは。