良い映画だった。今の日本の精神風景をよく映している。
俺自身、何十年か後に見ると
あの時代はこういう気分だったな、と思い出すと思う。
家族、ファミリーバリューというものは、人間にとって本質だが、
それは血縁的に家族であれば、成立、維持できるものではない。
それを逆説的に語れば、こうなるのだろう。
この万引き家族の中の唯一の血縁の二人は、
映画の終わりぐらいで、実は家族として成立していなかったのかもしれないという反証もでてくる。
私個人は弟を早くに亡くしてしまったこともあって、
他人だった子ども2人が、兄妹となっていくところ、
そして妹のために自分が犠牲になるところが泣けたし、
それが大きな物語としては、全ての虚構を暴いてしまうという構造が
実に良くできていると感じだ。
それと、役者が全員すばらしい。
子役は天才的だし、安藤さくらが特に良かった。
そして樹木希林は日本の宝だろうな。