ほぼ週刊イケヤ新聞ブログ版

コピーライター・ミュージシャン池谷恵司の公式ブログです。
私的メールマガジン「ほぼ週刊イケヤ新聞」のブログ版です。

映画「万引き家族」を見た

2018年06月30日 12時17分35秒 | Movie Review

 

良い映画だった。今の日本の精神風景をよく映している。

俺自身、何十年か後に見ると

あの時代はこういう気分だったな、と思い出すと思う。

 

家族、ファミリーバリューというものは、人間にとって本質だが、

それは血縁的に家族であれば、成立、維持できるものではない。

それを逆説的に語れば、こうなるのだろう。

この万引き家族の中の唯一の血縁の二人は、

映画の終わりぐらいで、実は家族として成立していなかったのかもしれないという反証もでてくる。

 

私個人は弟を早くに亡くしてしまったこともあって、

他人だった子ども2人が、兄妹となっていくところ、

そして妹のために自分が犠牲になるところが泣けたし、

それが大きな物語としては、全ての虚構を暴いてしまうという構造が

実に良くできていると感じだ。

 

それと、役者が全員すばらしい。

子役は天才的だし、安藤さくらが特に良かった。

そして樹木希林は日本の宝だろうな。


3/27 横浜赤レンガのモーションブルーヨコハマで「まゆたま」のライブを見ました

2018年05月01日 17時57分35秒 | Movie Review

 

横浜赤レンガのモーションブルーヨコハマで「まゆたま」のライブを見ました。

実に素晴らしいライブでした。


「まゆたま」の素晴らしいところは、今日本のジャズのシーンで

最も野心的でクリエイティブなミュージシャンちゃんたちが、

ガチにポップスに取り組んでいるところ。

今回まゆたま(Vocal 繭仔・Piano 森田 珠美・Drums 坪井 洋のベースレスバンド)の3人に加えて、

ベースにカイドーユタカ、ギターに加藤一平、そしてサックスに津上研太を迎えてのライブだったが、

ここにピアニストの森田珠美(たまいけの私の相方)、坪井 洋のドラムとで充分、

ピットインの夜の部に出て大向こうのジャズファンたちを唸らせる演奏ができるような

素晴らしい、シリアスなジャズミュージシャンたちだ。


歌の繭仔ちゃんは素晴らしい歌声であり、それを支えるミュージシャンたちがガチでマジなジャズマンたち。

という組み合わせのポップスが、多くの人に愛され、支持され、

平日にもかかわらずモーションブルーの方が驚くほど多くの客様が集まったということは、

僕にも大変うれしい驚きだった。

このバンドがポップス界で大暴れするのが、待ち遠しくて仕方ない。

 


私の美しい友人が作った映画が上映されるということで見に行った。

2018年03月15日 18時12分25秒 | Movie Review



先日、私の美しい友人が作った映画が上映されるということで見に行った。
そして圧倒された。
私も仕事で、ウェブサイトを作ったり、映画よりははるかに短い動画を作ったり、カタログを作ったり、小冊子を作ったりしたことはある。
バンドでアルバムを一枚作ったこともある。(プロデューサーは佐久間正英さんだった)。
が、映画館でかかるような商業映画を1本作る、ということは、どれだけの仕事量と、熱量と、資金がいるのだろうと考えたら眩暈がしてきた。

90分の映像作品を完成させるための巨大なアーティスティックな感性、デモーニッシュな狂気。それと同時に膨大なバジェット(予算)を獲得し,管理するファイナンス能力、膨大な人数を動かすためのプロジェクトマネージメント能力、事前のものすごい労力がかかろうロケ、シナリオの推敲。撮影後の編集、音楽やセリフ、効果音を録音するポストプロダクションなど。

映画はまさにエンターテイメント、芸術の集大成なんだな、と痛感したし、劇場公開しるクオリティの映画を 2作品も作った美しい友人に、私は最大の賛辞を送りたい。

一作めの主演・監督の時の美しさと、音楽、効果音の使い方(無音を含めた)はものすごいセンスだった。
二作目のドキュメントは、誰もがスマホを持ち動画が撮れる時代になった今の、新しい表現の可能性があったと思う。

それにしても凄い人だ、玉井夕海。


億劫がらずに、ほいほい行こう

2018年02月17日 18時57分44秒 | Movie Review

f気がつけば、億劫に思うことが増えた。

年末から風邪+インフルエンザで寝込んで、いちおう回復したが

やはり超回復ではなく、80%充電な感じ。バッテリーが弱ってきたスマホみたいなイメージ。

年をとることはたぶん「億劫がる」ことなんだろう。

だから老け込まないでいるためには、

意図的に「億劫」を蹴飛ばして、気軽にほいほい行くことが必要だ。

 

ということで雪が降ってから道が危ないと封印していたバイクを

復活してみた。寒くて億劫だったのだ。

でも載ってみれば、やっぱりバイクは愉しい。

昨日帰りに通勤ラッシュに巻き込まれたとき

無性にエアロスミスが聴きたかったのは、

バイクに飢えていたからかもしれない。

これからは寒くても普通に乗ろう。

 


ロックバンドはめちゃくちゃかっこよくねーと。

2018年02月11日 17時11分30秒 | Movie Review

ロックフェスは今まで行ったことがなかったんだが、

去年は仕事で屋内のフェスに行った。

今流行のバンドがいっぱいでていて、

MAN WITH A MISSIONも、RADWIMPSも、ASIAN KUNG-FU GENERATIONも
みんなかっこいいし、演奏も上手いし、歌もいい。

これじゃなかなか差が付かないよなぁ、
今ロックをやるのって大変だと思った。どこで差を付けたらいいのかわからない。

ただひとついえるのは、Dragon Ashを観ておもったけど、
とにかくべらぼうにカッコイイ必要がある、ということだ。

そんじょそこらの役者やモデルよりもずっとかっこよくないとダメ。

その緊張感をちゃんと持っている、とDragon Ashのステージを観て思った。

同時にロック以外のジャンル(特にジャズだが)はもうちょっと、カッコよくねーとな、と思った。

あるジャンルの音楽が発展するためには若くて才能ある聴き手が必要だと思うんだが、
ジャズはいい演奏家がたくさんいるのに、いい聞き手はすくないなぁと、よく思うので
昼のピットインなんか、特に……。と独りごちる今日この頃です。

 


本日、小田急相模原のダイニングバーWAI WAIにてライブいたします。

2018年02月10日 10時32分05秒 | Movie Review

本日土曜、チャラロックさんのお誘いで
小田急相模原のダイニングバーWAI WAIに出演いたします。

http://r.10pre.jp/dining_bar_waiwai/

ジャズ・ブルース風ビートルズやスタンダード曲を中心に、
カルテット編成で演奏します。
本日は私、トランペットです。

ミュージックチャージ無料(要オーダー・テーブルチャージ)、
19時頃〜23時頃まで。
よかったら遊びにいらして下さい。

 


ブレード・ランナーの新しいのを見たのだった

2017年12月14日 16時18分24秒 | Movie Review

80年代に青少年だった人はまぁみないわけにはいかないだろう、という映画。

良くできた映像だし、世界感の作り方も素晴らしいとは思うんだが、

3時間近い上映時間は、 80年代に青少年だった、今は初老の人間にはキツイ。

まんなかあたりで気を失うようにうたた寝をしてしまったため、ストーリーの大切なキーをなくしたまま

最後最後まで見たのだった。したがってプロットは見失っている。

 

ただ、宇宙人だったり、ロボットだったりしても同じだが、

こういう映画って基本的には虐げられた民族が自立をし、

「人権」的な権利を獲得するというストーリーになっていて、

それが西欧にとっては黄金の泣けるストーリーなのだなと思う。

猿の惑星ですら、そうだったからな。

この映画も、途中で寝てしまったが、そんな展開だったように思える。

それは、ちょっと首を捻りたくなるところ。


とにかく、死ぬほどカッコ良くないとロックはだめだ

2017年12月06日 13時18分44秒 | Movie Review

11月23日(祝)さいたまスーパーアリーナでACIDMAN presents 「SAITAMA ROCK FESTIVAL “SAI”」に行った。

パラパラ感想を書こうと思う。

もともとフォーク出身、ロックバンド育ちの俺だが、いまは主にジャズのフィールドにいる。

それにしてもロックのこの集客力はすごい、と改めて思う。

なんでだろうか。

いろいろ難しいことも考えたが、一発でわかったことがひとつある。

ドラゴン・アッシュを見たときだ。

とにかく、死ぬほどカッコ良くないとロックはだめだ。

並外れて、死ぬほどカッコイイってこと。

あれはすごかったわ。これに気づくのに40年ぐらいかかったわ。

(高校の後輩でカッコイイバンドをやっていた)レイバンの渥美が言うことは正しかった。


不覚にも蓄音機の音に落涙するぐらいに感動してしまったのだった

2017年12月03日 11時43分04秒 | Movie Review



音楽・音響に関連している仕事から、最高級と言われるようなオーディオの音も日常的に耳にしているにもかかわらず、自分自身はHi-Fiと言われるオーディオには興味がなく、使っているスピーカーもアンプ内蔵型のデスクトップ用のものだったりする(ただし音はすごくいい)。

そんな私が、とある事情で明治時代に作られた蓄音機の音を聴いた。
川崎で行われた「レコードの日」というイベントだ。
もちろん期待はしていなかった。テレビや映画でよくみるあの機械から、いわゆるあの手の蓄音機の音が出てくるんだろうと思っていた。

 



電蓄ではなく、蓄音機はすべてバネ仕掛けであり、再生するためにはゼンマイのネジを回すのだった。そしてSP盤に針を落とす。きこえてくるのは、もちろんいわゆる蓄音機の音だ。

しかし、不覚にも落涙するぐらいに私は感動してしまったのだった。どうしてなのだろうか。たぶん、それはその音があまりにダイレクトだったから。

明治時代に一本のマイクで録音された音声が、セラックを素材とするSP盤で、複製はされこそすれ、ほとんど、そのまま。なんの加工もせず、セラックのSP盤の溝に刻まれた。それを平成17年に今、SP盤に針を落としゼンマイでSPを回すことで、再生させる。その全ての所為の中に、この音の本質はある。そして弾いた人、歌った人の音と気持ちは、一度も電気に変換されることなく、溝に閉じ込められた。それがまるで目の前でまざまざと浮き上がる。その音楽の魂の鮮明さ、時空を超えた近さに私は落涙してしまったのだった。

オーディオというと周波数特性、高音が上まで出る、重低音がでる、歪みが少ない、ハイレゾなどと喧しいが、再生能力のスペックうんぬんよりも大事なのは、音楽の実在性、演奏家のリアルがどこまで感じられるか、それが聴き手の魂とどこまで交歓できるのか、にあるように思う。


明治時代の演奏家や歌手の音と魂が、一度も電気に変換されることなく溝に刻まれ、その溝から電気を介することなく直接音になり、蓄音機のラッパから再生される(あのラッパは完全に楽器だ)。現代のオーディオからみれば、ひどく音の悪い電話機のような音響特性だが、この電気もミキサーもエフェクターも通さないプロセスでスポイルされるものは最小となったのかもしれない。

ちなみに電気を使わないゼンマイ仕掛けのこの蓄音機だが、驚くことに音はかなり大きい。商店街のノイズがはいる40人ぐらいのキャパの通り沿いの部屋で充分にきこえる音量。普通の家のリビングでは大きすぎるぐらいの音量だ。しかも電気ではないので音量調整はできない。そのくらい蓄音機はカッコイイのだよ。

お金と暇があったらSPや蓄音機を収集したいけど、音楽をやっているうちはまぁ無理かなとも思うのだった。


「奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール」を見た

2017年10月28日 13時48分11秒 | Movie Review

奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール

監督   大根仁
出演   妻夫木聡、水原希子、新井浩文、安藤サクラ、江口のりこ、天海祐希、リリー・フランキー、松尾スズキ

[奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール  上映時間:99分 ]


SNSでインプットばかりしててはダメ。アウトプットもしよう。

2017年10月17日 13時45分37秒 | Movie Review

SNSでインプットばかりしててはダメ。アウトプットもしよう。

自分に言い聞かせる。

SNSは動物的に反射すればいいから楽だけど、

流れて言ってしまうし、茶々入れてる感じで、
ちゃんと自分の言いたいことが言えている気がしない。

FBやインスタみてるだけじゃなく、

とりあえず自分のブログで

ちゃんとアウトプットもしていこうと思う。

 

ピスタチオのケーキ。幸せのカタチ。

 

 


「やすらぎの郷」はテレビのお葬式であった

2017年10月04日 13時33分14秒 | Movie Review

「やすらぎの郷」は、テレビ人による、テレビ人のための、

テレビのお葬式であった。

テレビを持っていないオレはそれをインターネットでみた。

そのこと自体が象徴的だ。

団塊の世代のちょっと上だろうか。

団塊の世代の方々が10代の頃、20代だったような方々が

テレビの創生期を支え、国民全体に笑いと勇気と

高度成長期のハードワークの憂さ晴らしを与え、

そして、今、いよいよ大衆のエンターテイメントの王様の座をゆっくり降りるのだ。

私だって、昔はテレビっ子だった。

傷だらけの天使とか、探偵物語とか、ドリフとかね。

大好きだった。

でももう終わりだ。お疲れさま、ありがとう、そしてさようなら。

やすらぎの里の最終回の、まるで「胡蝶の夢」だったかのような終わり方が、

実に粋で、大人で、去り際の美学を感じさせてくれた。