ほぼ週刊イケヤ新聞ブログ版

コピーライター・ミュージシャン池谷恵司の公式ブログです。
私的メールマガジン「ほぼ週刊イケヤ新聞」のブログ版です。

高橋悠治の『バッハ:ゴルトベルク変奏曲』は、ゆらぐバッハでした。

2007年04月28日 01時43分12秒 | CD&コンサートレビュー
『バッハ:ゴルトベルク変奏曲』
高橋悠治
エイベックス
AVCL-25026

今回めずらしくクラシックを取り上げますが、
私、実を申しますとクラシックは気ままにしか聴いておらず、
知識も脆弱でありまして、まるきり初心者であることを
まず最初に告白しておきます。
でもバッハは以前から、いいな、と思っておりました。
シンプルで実に美しい旋律で、人間が作ったとは思えない完成度。
まるで以前からあった自然の摂理をバッハという人間が発見しただけ、
とも思えるほどの音楽だと思います。

さて、今回取り上げたのは、以前このコーナーでもご紹介した
NHKの10分番組「ぴあのピア」
でも取り上げられていた、
バッハのゴルトベルク変奏曲です。

この曲で“名演"といわれているのが、
グレン・グールドというピアニストのもので、
以前から僕も気に入っており、たまに聴いていました。
私感ですが(いまさら断るのも変ですが)非常に硬質で、緊張感があり、
たぶんバロック時代のそれとは違った、
斬新で現代的な解釈の演奏なのだと思っています。

そのグレン・グールドのゴルトベルク変奏曲を聴き慣れた耳で
聴いてみて驚いたのが、日本を代表する作曲家でありピアニストであり、
コンピューターによる作曲やライブも行う、
「天才」高橋悠治氏の演奏でした。

その演奏は、ゆらぐバッハでした。
ゆらいで、ねじれて、よれて、……。
非常に人間的で、ある意味では現代曲のような味わいもあって、
まるで未知の音楽に触れているような驚きでした。
このCDのライナーノーツには高橋悠治本人による
短い文章が掲載されていますが、これが演奏と同じぐらい素晴らしい。
まるで音楽を読み解く詩のようです。
そのテキストには、おそらくこのCDで
高橋悠治がめざした方向性が示されています。

『均等な音符の流れで縫い取られた和声のしっかりとした
足取りをゆるめて 統合と分岐のあやういバランスの内部に息づく
自由なリズムをみつけ、組み込まれた小さなフレーズのひとつひとつを
固定されない音色のあそびにひらいていく
といっても スタイルや正統性にたやすく組み込まれるような
表面の装飾や即興ではなく 作曲と楽譜の一方的な支配から
多層空間と多次元の時間の出会う対話の場に変えるこころみ』

なるほど、この演奏を聴きながら読むと、よくわかる気がします。

そして何より凄まじいのは、バッハの旋律は、それがどう演奏されたとしても
その美しさと完成度はまったく揺るぎない、ということです。
本当に「数学の公理」のような、人知を超えた絶対的な美しさであって、
もはや天上の領域の音楽なのでしょう。バッハ。さすがに音楽の父です。
いや、音楽の神なのではないでしょうか。もちろん私感ですが……。

『バッハ:ゴルトベルク変奏曲』高橋悠治のアルバム紹介はこちらに。
試聴も行えます。


「おとなを、休む日」の「おとなのこだわりCD」では
ヤマハ銀座店の正岡さんがピアノの魅力が堪能できるCDを
紹介してくれています。そちらもぜひご覧ください。


ヤマハが提供する音楽ダウンロードサービス「マイサウンド」では、
バッハの楽曲のダウンロードが行えます。様々なアーティスト、楽器の
楽曲が揃っており、試聴も行えますので、ぜひこちらもご覧ください。




バッハ:ゴルトベルク変奏曲
高橋悠治
エイベックス・マーケティング・コミュニケーションズ

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バッハ:ゴルトベルク変奏曲(紙ジャケット仕様)
高橋悠治, バッハ
コロムビアミュージックエンタテインメント

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音の静寂静寂の音

平凡社

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覆面作家トレヴェニアンの「ワイオミングの惨劇」を読んだ。とても面白かった

2007年04月24日 22時53分04秒 | レバレッジリーディング
ワイオミングの惨劇
説明 2004
新潮社
トレヴェニアン, Trevanian, 雨沢 泰

特別読書好きなわけでないが、覆面作家トレヴェニアンの本は何故か良く読んでいる。最初は「シブミ」という本で、それは非常に読書好きな友人の下宿で(まるでハヤカワの本を集めた図書館のようだったが)貸してもらった。あれは本当に面白い小説だった。「ウッテガエ」とか「ツルノスゴモリ」などという囲碁の戦型が各章のタイトルが付けられている冒険?小説、いやスパイ小説? その後、トレヴェニアンを読み始め、アイガーサンクション、ルーサンクション、バスク夏の死、夢果つる街と読み継いできた。

今回はアメリカ開拓時代の物語であり、いわば西部劇という意表を突いた舞台で、伝統的な西部劇の登場人物やストーリーを踏襲しながら、実際には非常に内面的で現代的なアプローチがなされておりさすがだ。
とにかく読むことを強制するストーリーで、正直言って本を読むのが止められないという印象だ。さすがに異才、トレヴェニアンである。

すでに映画化されるような予感がしており、上手に映画化されれば最高に面白いだろう。たとえば極悪な脱獄囚人はアンソニー・ホプキンスで決まりだ。牧師はゲーリー・オールドマンだろう。ヒーローの男の子は誰かな。AIの男の子かな。娼婦達はチャーリーズ・エンジェルの3人を使いたいところだが、映画が変わってしまうので却下だな。(アイガーサンクションは、クリント・イーストウッド主演で映画化されているとか)

ワイオミングの惨劇

新潮社

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アイガー・サンクション

ソニー・ピクチャーズエンタテインメント

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トレヴェニアンの全著作はこちらにあります。

<iframe src="http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=ikeyashinbun-22&o=9&p=20&l=qs1&f=ifr" width="120" height="90" frameborder="0" scrolling="no">



飛行機の旅は読書に限る、米子行きではトレヴェニアンの「ワイオミングの惨劇」を読む

2007年04月24日 00時22分51秒 | Photo&エッセイ
前回の沖縄行きの飛行機の旅で「飛行機の旅は読書に限る、とみつけたり」だったわけです。
その話はこちらです。

さて、今回も米子行きの時は早めに羽田空港に着いて、今回の伴侶を物色。あまり買いたい本がないなと諦めかけたところで、ふと文庫のコーナーにトレヴェニアンの本を発見。彼の本は今までよく読んでますが、覆面作家といわれる冒険小説の作者で、「シブミ」という本がとても良かったのを覚えていた。これは新作だなと思って「ワイオミングの惨劇」を買ってみた。

本のレビューは明日にでもすることとしつつ、やっぱり狭い機内で、窓際の面光源を読書灯に約1時間とか2時間とか読書に没頭できるのは楽しい。ま、ほんとはどこでも読書はできるはずなのだが、他のことができるという状況が選択肢となる。僕の場合、電車に乗ったりするとすぐにiPodを聴いたり膝でPowerBookを開いたりしてしまうが、あいにく離着陸時にはiPodもPCもダメなので、潔くそれらの選択肢を諦めることができ、めでたくゆったりと本が読めるというわけだ。しかもいい頃合いで綺麗なお姉さんが席までコーヒーやゆずジュースを持ってきてくれるというサービス着き。しかも地上がどんなに曇っていても空の上は快晴ときたものだ。これは本当に楽しい。一年に一回あるかないか、の飛行機の旅だが、またまた次が楽しみだ。とはいえ、そう思っていると滅多にないのよねー。




ワイオミングの惨劇

新潮社

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トレヴェニアンの全著作はこちらにあります。


極上旅客機伝説!―旅客機発達の歴史がよくわかる

山海堂

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よく飛ぶ紙飛行機〈Vol.1〉―切りぬく本

誠文堂新光社

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境港のタクシーには、目玉のオヤジが乗っていたのだった。

2007年04月23日 09時28分42秒 | Photo&エッセイ
鳥取・米子の話、ちょっとしつこいですか?
最近あまり楽しいネタがないモノで……。ロッキー以外ではね。

ということで、小ネタですが、こんなんありました。目玉オヤジのタクシー。
米子の空港から乗ったら、このタクシーでした。



米子の隣町である境港が水木しげるさんの出身地だそうで、それにちなんで、鬼太郎関連のものが多いんですね。

水木しげる記念館はこちら
http://www.sakaiminato.net/mizuki/


お土産の目玉餅とか


相当面白いです。


完全版 水木しげる伝〈上〉戦前編

講談社コミッククリエイト

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水木しげるの作品はこちらに

ロッキー・ザ・ファイナルを見て、泣いて、泣いて。この映画は素晴らしすぎて評価できません。

2007年04月21日 22時35分27秒 | 映画レビュー
誰がなんと言おうと。

僕にとって最高の映画はロッキーであって、ロッキーこそが、映画の扉を開けてくれた。そしてそれだけでなく、生きる指標を与えてくれた。人生を変えた、いや、人生を始めさせてくれた映画がロッキーだ。あんなに感動した映画はなかった。たぶん僕にとってはもうないだろう。

第二作目までは見た。第三作目以降は、失望するのが怖くて見ることができなかった。

そして、これは第六作。ファイナル。1976年の最初の作品から、31年だ。
なぜ今回は観たいと思ったのか、自分でも分からない。
でも、今回は初日にどうしても観たい、と思った。たぶん何か、運命的なものだろう。導きなのか。

筋は言わない。正直言って映画として素晴らしいかどうかも、わからない。

ただ、僕にとっては、ロッキーはあれから31年、生きていた。そのことが嬉しかったし、エイドリアンと幸せに暮らし、エイドリアンを失ったロッキーの悲痛な哀しみは、激しく僕の胸を打った。僕は僕自身の非常に親しい誰かを本当に失ったような気持ちになった。それだけで僕は映画の前半を泣いて過ごした。

いろいろあってロッキーは、あり得ない話だが、もう一度リングに立った。その理由は、映画ではハッキリと描かれていない。しかし僕はエイドリアンを失った事への理不尽な苛立ちと怒り(それは人は必ず死ぬ、ということへの理不尽な怒りだ、神をも恐れぬ怒りだ)、そして常にファイターであり続けようとする無自覚な意思だろう。(多分映画評論家達は、もう一度闘う理由がわかりにくい、そこがこのプロットの弱さだ、と非難するだろうが、そんなモノは豚に喰わしてしまえ!)

リングで闘うロッキーは、もはや滑稽かも知れない。でも滑稽さを怖れずに、滑稽であってもいいという勇気を持って、この映画は作られた。そこが素晴らしい。
これは最初のロッキーから30年以上たった僕(僕たち)への、メッセージだろう。かっこ悪くても、負けが分かっていても、僕たちはやりたいことをやるべきなのだ、年相応に余裕をカマして生きている場合ではない。だから、僕はこの映画の後半、声を出して泣いていた。

それから音楽でも泣いたな。葛藤するシーン。トレーニングを開始するシーン。試合が始まるときにファンファーレからロッキーのテーマが始まるところ。意識的かどうか分からないが、音楽もすべて最初のロッキーで使った音楽だった(音源そのものは変わっているが)。何故それが分かるのかというと、僕はサントラ盤を買って、すり切れるほど聴いたからだ。

ロッキーは、生きている。ありがとう。

ポーリー。エイドリアンの兄貴。良かったよ。本当にいい役者さんだ。この映画の影の主役はポーリーだ。

ああ、もうやめましょう。キャストがどうとか、ストーリーがいいとか、よく寝られた脚本とか、カメラワークがどうだとか、そんなことは、どうでもいい。

明日から生きる力をもらったよ、ロッキー。

ありがとう。

俺はまだまだ、走り続けるぜ。




ロッキー〈特別編〉

20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン

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ロッキー(1)
サントラ
東芝EMI

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征服者~ロッキーのテーマ
メイナード・ファーガソン
ソニーミュージックエンタテインメント

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君が代のさざれ石って、これだったのかと。出雲大社で見たんですよ。

2007年04月20日 23時53分36秒 | Photo&エッセイ
さざれ石のいわおをなりて。
呪文のようなモノかな、と思っていたわけですが、さざれ石ってあるんですね、ほんとに。
先日松江に出張した帰り道に、出雲大社にいってきました。出雲そばを食べて出雲大社(正式には いずもおおやしろ だそうです)に入ったらいきなりあったのが、君が代にでてくる「さざれ石」。ほんとうにあるものなんやって。驚きました。なんとなく感慨深い。なぜ此処にあるのだろうか? それはわかりません。
でもカタチも立派だし、近くで見ると小さな石があつまって石になっていて不思議です。

さて、中にはいるとさすがに、古くて立派。ぶっとい七五三縄もすごい。本殿ではただごとでない空気が流れている。

実は私、歴史がぜんぜん分からない大馬鹿なので、出雲大社がどういうところかよく知らなかったのですが、天皇の命でつくられた、鎮魂というか、慰霊のものだそうですね。天満宮などとならぶもので、これは本来神社ではないそうです。同行のカメラマンによると、神社とはすべからく参道の方向が伊勢神宮の方向に向いているそうですが、此処と天満宮は違うそうです。
しかも初期においては、天空に浮いた(48メートル)構造物だったそうです、いやー本当は、日本の古来も面白いそうです。これからちょっと勉強したいと思います。

出雲大社
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
出雲大社
主祭神 大国主大神
社格等 式内社(名神大)・出雲国一宮・官幣大社・勅祭社・別表神社
創建 神代とされる
本殿の様式 大社造

出雲大社(いずもおおやしろ、いずもたいしゃ)は島根県出雲市にある神社である。式内社(名神大)、出雲国一宮で、旧社格は官幣大社。近代社格制度下において唯一「大社」を名乗る神社であった。神祇の神を祀る中心=神宮に対して、祇の神を祀る中心=出雲大社である。大国主大神(おおくにぬしのおおかみ)を祀る。縁結びの神様として知られ、神在月(神無月)には全国から八百万の神々が集まり神議が行われる(神在祭 旧暦10月11日~17日)。正式名称は「いずもおおやしろ」であるが、一般には「いずもたいしゃ」と読まれる。











出雲大社と阿国さんのまち

山陰中央新報社

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やがて、一人で歩き出すときがくるわけです。ちょっと寂しいけど。

2007年04月19日 11時26分37秒 | Photo&エッセイ
子どもがこの4月から、小学校に通い始めた。つまり、子どもはついに、一人で歩き始めた。

思えば、乳児の頃から、つい最近の保育園まで、この子どもは、常に親だったり、保母さんだったり、祖母や祖父など、大人の目の届くところにいたわけで、保護を必要とする小さな存在だったんだと思う。家の中で一人にすることも、あまりなかった。保育園は送り迎えつきだったしね。

が、小学校となると、あたりまえだが、一人で出かけて、一人で帰ってくることになる。(実際にはマンションの子ども達が集まって集団登校するが)。

その当たり前のことがこの4月から始まり、目の前で親を置いて一人で歩き始める子どもを見るのは、なんというか感慨深い。嬉しいのはもちろんだが、ちょっと寂しい。

人間だって、他の動物のようにいろんなプロセスを踏みながら親離れをし、最終的には親と同格(かそれ以上)の存在として、世の中に存在することになる。
イタリアの巨匠、ジュゼッペ・トルナーレ監督の「ニューシネマパラダイス」という映画は、大好きな映画だが、大人になる、と言うことについて、僕はあの映画に深く感銘を受けた。子どもの時は親や地域で充分愛情を込めて育まれるべきだし、大人になる時には、子どもは遠くへ旅立つべきだと思う。

ウチの子どもがどういうプロセスで、大人になっていくのかは分からないし、どういう大人になるのかも分からない。でもこれから15年か20年か、親離れ、子離れのプロセスを少し寂しいと思いながら、楽しんでいこう。
そして、僕自身ももう一度、故郷で一人暮らしをしている(闘病中の)母親に、親孝行できるぶんだけはしたいと思う。

ウチの子どもについてのブログがありますので、そちらもぜひご覧ください。響けブログというタイトルです。
http://blog.goo.ne.jp/hibikeblog/


ニュー・シネマ・パラダイス

角川エンタテインメント

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限りなくピュアな声とサウンド「大貫妙子ブックル ドレイユ」

2007年04月18日 05時59分21秒 | CD&コンサートレビュー
今回は春にふさわしい、柔らかくて澄んだ歌声が魅力の
大貫妙子さんのニューアルバム「ブックル ドレイユ」を
編集長の池谷がリコメンドします。



ブックル・ドレイユ/大貫妙子

MHCL-1030
東芝EMI

東京ではもう、桜が散ってしまいましたが、
様々な花が色とりどりに咲き始め、新緑も陽光の中で輝いているようです。
子どもは新しい学期がはじまり、大人は忙しい期末を終え、
新鮮な気持ちになっている今日この頃、いかがお過ごしでしょうか。
今日は、春にふさわしい、透明感あるピュアな歌声が魅力の
大貫妙子さんのニューアルバム「ブックル・ドレイユ」をご紹介しましょう。

大貫妙子といえば、山下達郎と伝説のバンド「シュガー・ベイブ」で
キャリアをスタートし、すでに30年以上も日本の音楽シーンで、
独自の地位を築いている女性ボーカリストです。
「ピーターラビットとわたし」や役所広司主演の同名映画主題歌
「Shall We Dance?」でその声をご存じの方も多いかも知れません。
今回のアルバムはなんと26作目のソロアルバム。
そして驚くべきは、いまも少女のような歌声を保っているところ。
歌が上手いとか、高音が出るとか、そういうものは
ある程度技巧や修練で保てるのでしょうが、
声の初々しさや透明感、というものは技巧ではカバーできません。
たぶん人間性や音楽へのスタンス、と言う精神の部分で、
いつまでもピュアな方なのではないでしょうか。素晴らしいです。

このアルバムの特徴は、全曲を通じてピアノとウッドベース、
弦楽四重奏をバックに歌っているところで、
大貫妙子の歌声が実に映える美しいアコースティックサウンドです。
同じ編成でレコーディングした1996年発表の
「ピュア・アコースティック」というアルバムの続編にあたるようです。
そのアルバムも名盤の誉れ高い作品ですが、
今回の「ブックル・ドレイユ」もそれに負けないような名盤ですね。
特に一曲目の「Shall We Dance?」は素晴らしいです。
また「ピュア・アコースティック」に収録された曲も5曲ほど
再録されていますので、「ピュア・アコースティック」を
お持ちでない方は、二度美味しいと言ってもいいでしょう。

再録の方の曲ではありますが、「突然の贈りもの」という曲は
僕は当時から大好きで、その曲ではサックスの名手、清水靖晃が
とても短く、しかしとても印象的で素晴らしいソロを披露しています。
聴く度に「恐れ入りました」と言いたくなってしまいます。
それを聴くだけでも充分価値あるアルバムです。
ぜひ、新緑の中、ゆったりとした気分で
聴いていただきたいと思います。

「ブックル・ドレイユ」のアルバム紹介はこちら。試聴も行えます。
http://www.sonymusicshop.jp/detail.asp?associate=SMO&goods=MHCL-1030


Boucles d`oreilles (ブックル ドレイユ)
大貫妙子
Sony Music Direct

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ヤマハが提供する音楽ダウンロードサービス「マイサウンド」では
大貫妙子のアルバムのダウンロードが行えます。試聴も行えますので
ぜひ他のアルバムもチェックしてみてください。
http://mysound.jp/artist_detail/index.php?artist_id=a58BN




出雲そばを、出雲大社にある「八雲」で食す。もちろん小泉八雲にちなんだ名だろう。

2007年04月17日 08時32分21秒 | 一食入魂&つけ麺ジャンキーズ
米子から、松江市内で撮影とインタビューの仕事。米子楽器という楽器屋さんは素晴らしい楽器屋さんだが、その新店舗と教室が取材目的。

おもえば、僕が中学・高校時代、家と学校に次いで長い時間を過ごしたのが楽器屋さんだった。平たく言えば入り浸っていた。そこには音楽に詳しくギターがとても上手な兄貴のような店員が居て、同じようにギターが死ぬほど好きな仲間がいて、いつもギターを教えてもらったり、音楽の話をし、そこでバンドを組んだり、ライバルを見つけたり、レコードを貸し借りしたり、していた。昔は楽器屋さんは、音楽好きの若者たちのサロンだったのだ。そこでいろんな夢と友情が育まれた。いいミュージシャンのタマゴの孵化器。

いまはそんな楽器屋さんはなかなか見かけないが、今でもその良さを引き継いでいるいくつかの楽器屋さんがあって、米子楽器はその代表の1つだろう。八戸にも、新潟にも、そんな楽器屋さんはあるなー。

さて、松江から出雲へと足を伸ばし、出雲大社へ。出雲大社にある「八雲」というそば屋で出雲そばを食す。蕎麦は灰色でどうやら蕎麦の甘皮もいっしょに打っているようで、野趣溢れ食感もコシがある。僕は5段の割子を食べたが、温かい蕎麦もさぞ美味しかろう。

この割子蕎麦はざるそばのようにつけ汁に浸けて食べるのではなく、割子の椀に汁を直接かけて食べるのが特徴的。しかもかける汁は関東の蕎麦に比べるとかなり甘い。赤坂の「砂場」も濃くて甘かったが、松江蕎麦の甘さは、醤油がたまり醤油ベースなのではないかと思われる。蕎麦の横の蕎麦猪口は、汁を入れるのではない、そば湯を飲むためのモノで、最初からそば湯が入って出てくるのも、面白いしきたりだ。

ワサビは添えられず、辛みは紅葉おろしか一味唐辛子である。なるほど、これはまた関東の蕎麦とは違う風味であって、なかなかに旨い逸品だった。

おいしい出雲そばの本―端麗にして美味パワフル伝統食

ワンライン

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米子の魚は旨い、サバの刺身に感動した春の夜であった

2007年04月15日 12時34分47秒 | 一食入魂&つけ麺ジャンキーズ
出張で米子入り。昨年東京のストーンズ公演でお会いしたSさんとO女史(どちらもミュージシャンです)と再開。忙しい中時間を割いてもらったことに感謝しつつ、美味しいものを食べに出かけました。いい鯖が入ったと言うことでS氏行きつけの店でサバの刺身を。これがまた、濃厚でまったりとした味。いつはサバに関しては以前酷い目に遭っていたので(自業自得です)あまり食べていなかったが、これは本当に美味しい。やっぱり日本海は魚の宝庫です。

さて、以下の写真はサバのしゃぶしゃぶです。
刺身は厚切りでごろりとしていたのですが、薄くそいだサバを、タマネギを入れた出汁にくぐらせて、ポン酢でいただきます。これも実に美味。だいたい刺身でいけるわけですから、超レアでOK。

さらに、鰺のタタキ。鮮度抜群で悶絶しそう。旨い。酒もってこーい。

最後は店のオススメで、オニエビの刺身。
プリプリのピチピチで、頭蓋の海老味噌まで啜る残虐な獣になる。ガオー。

ほんとうにありがとうございました。米子のSさん、O嬢。再会を楽しみにしています。米子最高でーす。







美味礼賛

白水社

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完璧な美を目指した「ドリームガールズ」<★★★★☆>よりジェニファー・ハドソンの歌声が勝った

2007年04月11日 08時39分33秒 | 映画レビュー
ドリームガールズ

[監][脚]ビル・コンドン
[出]ビヨンセ・ノウルズ  ジェイミー・フォックス
エディ・マーフィ ジェニファー・ハドソン ダニー・グローバー
アニカ・ノニ・ローズ
[制作データ] 2006米/UIP


いきなり余談ですが、この映画は実は試写会と劇場で二回見ました。
というのも試写会の時は直前まで非常にシリアスな会議をしており、
その残像が消えないうちに映画を見たので、あまり集中できず、
気が散ってしまってストーリーを堪能できなかったからです。
やっぱり、映画は「見たいなー」と思ったときに、
万難を排して劇場に駆けつけて見るのが一番。
自戒を込めて告白しておきます。

さて、この映画はアカデミー賞の有力候補だった作品で、
本年度の最多ノミネートを受けた作品。
大ヒットしたミュージカルを満を持して映画化しただけあって、
ストーリーは完璧。非常によくできた秀作です
全編モータウンサウンドで彩られており、
劇中の音楽は、どれも素晴らしい。
見てい間ずっと映画館のシートの上で
身体が揺れ続けてしまいます。
音楽に詳しい方なら、劇中歌がモータウンのどの歌を
ベースにしているかもおわかりになるでしょう。
さらに音楽マニアなら、バックバンドのミュージシャンにも
ピンとくるかもしれません。実は有名なミュージシャンも
登場しているようで、僕は一人だけしか分かりませんでしたが、
現在ストーンズでベースを弾いている
ダリル・ジョーンズが出ているのに気づきました。

まだ劇場公開中ですし、ぜひ見ていただきたいので
ストーリーは省きますが、モデルはシュープリームス
であることは間違いなく、ビヨンセが演じているのは、
ダイアナ・ロスでしょう。仕草も歌い方も
非常に似ていると思いました。かなり研究したんでしょうね。

この映画はキャストが抜群で、現在最高の歌姫であるビヨンセ、
そしてあの、エディ・マーフィー、さらに「レイ」で
レイ・チャールズが乗り移ったかの迫真の演技を披露した
ジェイミー・フォックス。もう、全員めちゃくちゃに歌が
上手いわけですが、その中でも驚異的なのが
最優秀助演女優賞を獲得した新人のジェニファー・ハドソンです。
映画という虚構を突き抜けて、見るものの心に直接響いてくる歌。
そのソウルフルな歌声こそが、実はこの映画の主人公かもしれません。
登場人物が全員で口論するシーンがあるのですが、
この喧嘩そのものが、すべて歌になっていて、本当にスゴイ。
その時のジェニファー・ハドソンは、まさに見モノ(聞きモノ?)。
圧倒的な声の力を見せつけます。

そう思うと、この非常によく練られたストーリーと豪華絢爛なキャスティング、
さらにビヨンセの類い希なる美貌を巧みに配し、
本年度最多のノミネートをうけたこの作品が、
結局のところ最優秀助演女優賞と最優秀録音賞の二冠に終わった理由も
分かる気がしてきました。
やっぱりいかに素晴らしくても秀才は、天才には勝てないのです。
本当の才能の起爆力は計算を凌駕してしまう。
ジェニファー・ハドソンの歌声は、
それを実証していたように思いました。

できれば大きな映画館で、なるべく大きな音で、
最高にご機嫌なサウンドを体感しつつ
堪能していただきたい作品です。


ドリームガールズの公式ホームページは以下です。
各画面でかっこいい音楽がきけますので、ぜひお楽しみに。
http://www.dreamgirls-movie.jp


「おとなを、休む日」では盲目の天才ピアノスト「レイ・チャールズ」を
ジェイミー・フォックスが演じた「レイ」をご紹介しています。ぜひそちらもご覧ください。
http://www.holiday.yamaha.co.jp/concierge/cinema/037/index.html


ドリームガールズ オリジナルサウンドトラック
サントラ, ジェニファー・ハドソン, ビヨンセ・ノウルズ, アニカ・ノニ・ローズ, エディ・マーフィ, ローラ・ベル・バンディ, ロリー・オマリー, アン・ウォーレン, ヒントン・バトル, ジェイミー・フォックス
ソニーミュージックエンタテインメント

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小学校の入学式で、校長先生が言ったこと。

2007年04月09日 05時18分12秒 | Photo&エッセイ
子どもが小学校に入学した。
会社に休みをもらって出席した。
少子化が進んでいるせいか、中野区の小学校でも
一学年で1クラスか2クラスしか組成できないことが多いようだった。
家の子どもが通う小学校は、結局1クラスだった。

小学校全体でも俺の頃から比べると、結構少ない人数だ。
なんか入学式や卒業式のイメージがちがうな。
でも校長先生がいいことを言っていて、式に出席して良かったと思う。

校長先生は、新一年生に向かって優しい声でこういった。

「一年生になっても、できないこと、いっぱいあるよね。
 でも、できなくていいんだよ。
 できなかったら、おともだちにそうだんしたり
 先生にそうだんしたりして
 できるまでなんどもやってみればいいんだ。
 何回失敗しても、いいよ。ここは何回失敗してもいい。
 それが、学校なんだ。」

あー、学校って、本来そういうところだよな、と思っているうちに
ちょっと、泣きそうになった。いいこというなー。
学校だけじゃなくて、きっと世の中だってそうなんだ。

ボクも実は近々ある理由で一年生になりそうだが(学校ではないです)
校長先生の話を胸に刻んでおこうと思う。ありがとう。



テレビのプラグが妻に抜かれて久しいのですが、
テレビのプラグたを見ていた幸福だった時代に好きだったのが、NHKの「ようこそ先輩」でした。以下の外科医の先生の回は見ていましたが、とても面白かった。小学生に顕微鏡越しに木綿糸をピンセットで縛ることをやらせていました。

須磨久善 心臓外科医―課外授業ようこそ先輩別冊

KTC中央出版

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妹と妻の著書「ようこそ量子」が出ました。みなさま、よろしくお願いします。

2007年04月08日 09時21分55秒 | Photo&エッセイ
量子物理学者である義理の妹・根本香絵と、ライターで妻の池谷瑠絵共著で、今月ついに本が出版されました。「ようこそ量子」という本です。いやーかなり長いことやってましたね。大変そうでしたがとてもいい出来だと思います。一般向けに書かれた量子物理学の入門書ですので、ぜひお近くのお店でお手にとってご覧ください。

根本香絵 × 池谷瑠絵 著
丸善ライブラリー(新書)2006年12月刊
※全国有名書店、大学生協等でもお求めになれます。

ようこそ量子 量子コンピュータはなぜ注目されているのか

丸善

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いやーかなり長いことやってましたね。本を書くのは大変そうでしたが(特に難しいことを簡単に書くのはとても難しそうでしたが)とてもいい出来だと思います。一般向けに書かれた量子物理学の入門書ですので、ぜひお近くのお店でお手にとってご覧ください。

僕も読みましたが、この本は量子物理学をわかりやすく説明した新書です。いま量子物理、特に情報処理にかかわる、つまりコンピューティングに関わる分野は非常にホットです。というのも、次世代のコンピュータとして期待されている有力な候補だからです。

いまのコンピュータは心臓部にシリコンの半導体を使っています。いわゆるCPUというヤツですね。PCの処理速度が年々向上しているのは(一年半で倍になっているといいます)CPUの小型化によるわけですが、これが近々物理的な限界に達します。そうなったとき、次に期待できるのが量子コンピューティングという量子の「ふるまい」をもとにした新しいものだそうです。ただ量子は我々の常識から考えると信じられないほど奇矯なふるまいをするので、それをどう制御するか、が問題となるわけですが……。とこんなことが書かれています。香絵さんは理論物理で、しかも最先端にいる人ですが、素人にもわかりやすくかみ砕いて書いてくれているので、そのあたりよく分かります。量子山手線とか、量子的オフィスなど、面白いたとえが随所にあります。この本のホームページ<根本香絵公式ホームページ http://www.ryosi.com">もありますが、そこにもこの本のエッセンスがとても面白く書かれています。(カエルと香絵さんの対談になってます)。そちらもぜひご覧ください。

以下が本の目次です。


以下が根本香絵公式ホームページです。
ここからアマゾンへリンクがありますので、ここから買っていただけると幸甚です、と妻が言っております。よろしくお願いします。

ドゥービー・ブラザースのシークレットライブが新宿厚生年金であった。

2007年04月06日 08時20分00秒 | CD&コンサートレビュー
信じがたい光景だった。「地球温暖化を感じるイベント」という、ベタなネーミングをされた、しょぼいイベント、それが実はドゥービー・ブラザースのシークレットライブだとは。

前半は海洋学者の発表。素朴なパワポによる学会風のものだ。それが2組あって、終わって、何故か休憩、そしてその後、控えめに言っても「ガラガラ」の新宿厚生年金のステージに、彼らは出てきた。

照明が当たるまでは本当に信じられなかったのだが、そこにはトムジョンストンも、パトリック・シモンズもいて、いやー、俺なんて前から3列目ですよ、そこで1時間半、ドゥービーを堪能することになる。

凄かった。アメリカなら、スタジアムクラスでしか演奏してないのではないの? そういう人たちが、シチュエーション的には厚生年金で客の入りがガラガラというわけだから、手抜きをしたり、やたら短いコンサートだったりするかと思いきや、これが見事な熱演であり、むしろ力を出し切ったと言っていい、手抜き無しのパフォーマンス。これには、ちょっと感度した。大物になるバンドは、たぶんこういう時のスタンスが違うのだ。

ギターは三者三様に巧い。ベースのスカイラークというひとは、ベースもすばらしいがとにかく大きくて驚いた。ツインドラムの完成度は流石。そしてなんといってもボーカル(曲ごとに違うが)とコーラスは天下一品であって、これはライブでも微動だにしない。恐れ入ったとしか言いようがありません! 凄かったですよ。

アンコールで、Listen to the Musicをやって、矢沢のえーちゃんが飛び入り参加して驚いた。トム・ジョンストンが投げたピックがボクの身体に当たった。もらって帰りました。それが本日の写真であります。







Minute by Minute
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寒い雨の夜、夜桜を愛でるというのもひとつの風流である。

2007年04月04日 20時38分36秒 | Photo&エッセイ
今年の東京の満開の桜は、雨に蹂躙された。
桜の木々はその残忍な仕打ち悲嘆することのなく、
むしろ贅沢な舞を舞っているようですらある。
花びらは、風に翻弄されて、湿った大地に降りしきる淡い雪のようだ。

夜の桜は昼の清楚で晴れやかな姿とはうって変わって、
妖艶であり、美しい狂気をはらんでいる。
死体が埋まっていると喝破したのは坂口安吾だっただろうか。

この写真はリコーのGRデジタルで撮影した。
長時間露光(30秒程度)の夜間撮影だ。
それまで使っていたデジカメは基本的にオート専用だったが、
このカメラではマニュアルが簡単に使えるので、
まるでフィルム時代に戻ったように、
絞りとシャッタースピードが選べて楽しい。
それだけで、写真を撮ることへの主体性を
キカイから奪還できるように思える。
もちろん、写りも素晴らしい。







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