『バッハ:ゴルトベルク変奏曲』
高橋悠治
エイベックス
AVCL-25026
今回めずらしくクラシックを取り上げますが、
私、実を申しますとクラシックは気ままにしか聴いておらず、
知識も脆弱でありまして、まるきり初心者であることを
まず最初に告白しておきます。
でもバッハは以前から、いいな、と思っておりました。
シンプルで実に美しい旋律で、人間が作ったとは思えない完成度。
まるで以前からあった自然の摂理をバッハという人間が発見しただけ、
とも思えるほどの音楽だと思います。
さて、今回取り上げたのは、以前このコーナーでもご紹介した
NHKの10分番組「ぴあのピア」
でも取り上げられていた、
バッハのゴルトベルク変奏曲です。
この曲で“名演"といわれているのが、
グレン・グールドというピアニストのもので、
以前から僕も気に入っており、たまに聴いていました。
私感ですが(いまさら断るのも変ですが)非常に硬質で、緊張感があり、
たぶんバロック時代のそれとは違った、
斬新で現代的な解釈の演奏なのだと思っています。
そのグレン・グールドのゴルトベルク変奏曲を聴き慣れた耳で
聴いてみて驚いたのが、日本を代表する作曲家でありピアニストであり、
コンピューターによる作曲やライブも行う、
「天才」高橋悠治氏の演奏でした。
その演奏は、ゆらぐバッハでした。
ゆらいで、ねじれて、よれて、……。
非常に人間的で、ある意味では現代曲のような味わいもあって、
まるで未知の音楽に触れているような驚きでした。
このCDのライナーノーツには高橋悠治本人による
短い文章が掲載されていますが、これが演奏と同じぐらい素晴らしい。
まるで音楽を読み解く詩のようです。
そのテキストには、おそらくこのCDで
高橋悠治がめざした方向性が示されています。
『均等な音符の流れで縫い取られた和声のしっかりとした
足取りをゆるめて 統合と分岐のあやういバランスの内部に息づく
自由なリズムをみつけ、組み込まれた小さなフレーズのひとつひとつを
固定されない音色のあそびにひらいていく
といっても スタイルや正統性にたやすく組み込まれるような
表面の装飾や即興ではなく 作曲と楽譜の一方的な支配から
多層空間と多次元の時間の出会う対話の場に変えるこころみ』
なるほど、この演奏を聴きながら読むと、よくわかる気がします。
そして何より凄まじいのは、バッハの旋律は、それがどう演奏されたとしても
その美しさと完成度はまったく揺るぎない、ということです。
本当に「数学の公理」のような、人知を超えた絶対的な美しさであって、
もはや天上の領域の音楽なのでしょう。バッハ。さすがに音楽の父です。
いや、音楽の神なのではないでしょうか。もちろん私感ですが……。
『バッハ:ゴルトベルク変奏曲』高橋悠治のアルバム紹介はこちらに。
試聴も行えます。
「おとなを、休む日」の「おとなのこだわりCD」では
ヤマハ銀座店の正岡さんがピアノの魅力が堪能できるCDを
紹介してくれています。そちらもぜひご覧ください。
ヤマハが提供する音楽ダウンロードサービス「マイサウンド」では、
バッハの楽曲のダウンロードが行えます。様々なアーティスト、楽器の
楽曲が揃っており、試聴も行えますので、ぜひこちらもご覧ください。
高橋悠治
エイベックス
AVCL-25026
今回めずらしくクラシックを取り上げますが、
私、実を申しますとクラシックは気ままにしか聴いておらず、
知識も脆弱でありまして、まるきり初心者であることを
まず最初に告白しておきます。
でもバッハは以前から、いいな、と思っておりました。
シンプルで実に美しい旋律で、人間が作ったとは思えない完成度。
まるで以前からあった自然の摂理をバッハという人間が発見しただけ、
とも思えるほどの音楽だと思います。
さて、今回取り上げたのは、以前このコーナーでもご紹介した
NHKの10分番組「ぴあのピア」
でも取り上げられていた、
バッハのゴルトベルク変奏曲です。
この曲で“名演"といわれているのが、
グレン・グールドというピアニストのもので、
以前から僕も気に入っており、たまに聴いていました。
私感ですが(いまさら断るのも変ですが)非常に硬質で、緊張感があり、
たぶんバロック時代のそれとは違った、
斬新で現代的な解釈の演奏なのだと思っています。
そのグレン・グールドのゴルトベルク変奏曲を聴き慣れた耳で
聴いてみて驚いたのが、日本を代表する作曲家でありピアニストであり、
コンピューターによる作曲やライブも行う、
「天才」高橋悠治氏の演奏でした。
その演奏は、ゆらぐバッハでした。
ゆらいで、ねじれて、よれて、……。
非常に人間的で、ある意味では現代曲のような味わいもあって、
まるで未知の音楽に触れているような驚きでした。
このCDのライナーノーツには高橋悠治本人による
短い文章が掲載されていますが、これが演奏と同じぐらい素晴らしい。
まるで音楽を読み解く詩のようです。
そのテキストには、おそらくこのCDで
高橋悠治がめざした方向性が示されています。
『均等な音符の流れで縫い取られた和声のしっかりとした
足取りをゆるめて 統合と分岐のあやういバランスの内部に息づく
自由なリズムをみつけ、組み込まれた小さなフレーズのひとつひとつを
固定されない音色のあそびにひらいていく
といっても スタイルや正統性にたやすく組み込まれるような
表面の装飾や即興ではなく 作曲と楽譜の一方的な支配から
多層空間と多次元の時間の出会う対話の場に変えるこころみ』
なるほど、この演奏を聴きながら読むと、よくわかる気がします。
そして何より凄まじいのは、バッハの旋律は、それがどう演奏されたとしても
その美しさと完成度はまったく揺るぎない、ということです。
本当に「数学の公理」のような、人知を超えた絶対的な美しさであって、
もはや天上の領域の音楽なのでしょう。バッハ。さすがに音楽の父です。
いや、音楽の神なのではないでしょうか。もちろん私感ですが……。
『バッハ:ゴルトベルク変奏曲』高橋悠治のアルバム紹介はこちらに。
試聴も行えます。
「おとなを、休む日」の「おとなのこだわりCD」では
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