ミスター・ピーノの【見るが勝ち通信】その104
私の知り合いであるミスター・ピーノさんは 海外滞在が長く、
外国語にもご堪能な方ですが、 一週間程度で
物凄い量のものを 見る、読む、聴く。
私も見習いたいと思っております。
ピーノさんからいただいているメールマガジンを
ご本人の承諾を得てこのブログに転載しているものであります。
読者の皆様、感想等ございましたら
私が責任を持ってお伝えしますので
ぜひコメント欄にお願いします。
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◇「新宿バルト9(Wald9:独語で「森」)」という映画館で行われた山下達郎の
映画を観るために日曜朝 9時の回に出かけましたが、とにかく人・ひと・ヒト。
2日前にネットでチケットを入手しましたが、前売券を購入済みのひとは当日
券に交換する必要があり日曜は26時(月曜午前2時)の回以外「Sold out」。
ほとんどが50代のオジサン中心で、家内も含め女性はチラホラ。 そもそも、
1,300万人を超える人口の東京で、たった“1館上映”というのは無茶ですよ。
近い将来、特典映像付きの「Blue-ray/DVD版」が発売されると思いますが。
◇今月末、定年を迎えたDさんのラテン壮行会(女1、男17名)がありました。
1993年スペインに着任されたとき業務を引き継いだのが初めての出会いで、
その後は中南米ですれ違い、パナマに3度、スペイン、ブラジルと計20年間
海外駐在お疲れさまでした。登山家として「日本百名山」をすべて登頂制覇
したバリバリのアウトドア派で、ロスのホテルではギックリ腰になりながらも
はってドアの錠前をはずして、「ラ族」の名付け親でもあり、ウイットに富んだ
駄じゃれは、いつも周囲に笑いを提供していました。これから先もお元気で。
◇たまに、「そうか、あそこ閉店したのか」と、若干感慨深げに思う店があり、
特別に常連だったわけでも通いつめた店でもないんですが、なくなってみる
と「ウーン、残念」という店があります。 JR高円寺駅北口の商店街にあって、
今年3月に閉店してしまった『喫茶プログレ』って、まさにそんなお店でした。
キング・クリムゾンやジェネシス、CanやELP、PFM、YES他、プログレッシブ・
ロックを中心に聴けるバーで、11年の営業期間中、数回行っただけですが、
存在そのものがユニークなお店も、高円寺での維持は大変だったんですね。
http://shijimi-design.com/progrekissa/
◇先月の「“旬”を食べ尽くす会」で同席したYさんは、遠州地域のお祭りや
常民文化に詳しく県内あちこちのお祭りに行かれる彼からのお知らせです:
「みさくぼ祭り」が、今年は9月15、16日に開催されます。固まった中心街の
通りでパレードのように行われる仮装大会のパワーは半端なものではあり
ません。 ここが水窪とは思えないほどたくさんの人が集まります(若い人も
大勢!)。ぜひ一度お試しください。午前 9時前なら比較的近くの駐車場に
停められます。仮装は午前から昼過ぎまで、夕方からは屋台が出ます。
http://www.hamamatsu-inaka.com/event-misakubomatsuri.html
【演劇】
■大人計画 「ふくすけ」(シアターコクーン、12/08/25 ★★★★)
1991年初演、'98年に再演、今回3度目の舞台化。 作・演出:松尾スズキ。
薬剤被害で頭部が巨大化したフクスケ(阿部サダヲ)、中年男(古田新太)
と狂気の女(大竹しのぶ)が、歌舞伎町の風俗業界を背景に、都知事選に
出馬、対立する新興宗教団体の活動と並走して最終的にそれぞれが描く
「復讐」に向かって破滅の道を突き進みます。 下ネタ言葉が散りばめられ、
目の不自由な女や娼婦も、奇形化したフクスケの前ではぶっ飛んでしまい、
「最後の晩餐」を思わせるラスト近くの会食シーンは松尾の毒がてんこもり。
http://otonakeikaku.jp/fukusuke/fukusuke.html
■「鎌塚氏、すくい上げる」(本多劇場、12/08/25 ★★★★☆)
倉持裕:作・演出。完璧な執事をめざす鎌塚アカシ(三宅弘城:Nylon100℃)
が、豪華客船上で行われる予定の由利松家長男(田中圭)のお付きとして、
花房家令嬢(満島ひかり)とのお見合いに立ち会うドタバタ・コメディ第二弾。
わがままでじゃじゃ馬娘の配役に満島がピッタリで、真面目な執事役三宅
とのすれ違いの会話が面白く、彼女は歌とダンスも披露。掃除夫や船員や
バーテンダー他何役もこなす六角精児と広岡由里子の脇役陣も素晴らしく、
ステージを回転させることで、場面転換がスムーズに行われ緊迫感を維持。
http://www.morisk.com/plays/kama2/
【映画】
■プロメテウス <原題 PROMETHEUS>(★★★★☆)
人類の起源の謎を巡る宇宙の旅から、行き着く先は「やっぱりそこ!」という
R・スコット監督のSF大作。新たな「Aliens begin」ともいえ、H・R・ギーガーが
デザインした“あの独特な世界”が堪能でき、「エイリアン」のS・ウィーバーを
ここでは「ミレニアム」(スウェーデン版)で主役を演じたノオミ・ラパスが熱演。
人類の起源よりも、サバイバル(生き残り)がテーマとなり、男は次から次へ
と死んでいき生き残るのは、というお話。 腹部周辺を思わず押さえてしまう
痛い場面もあり、「プロメテウス2」「P3」と続編が作られていくのは確実です。
公式HP(音声注意) ⇒ http://www.foxmovies.jp/prometheus/
■山下達郎 PERFORMANCE 1984-2012 (★★★★★)
来月発売予定のベスト・アルバムと連動させる形で、彼のライブ映像を全国
13の映画館で限定上映。1984年から今年春まで全15曲、92分の映像です。
『希望という名の光』で語られるMCが感動的で、震災後、音楽家として何が
できるかを話したもの。「ガラパゴス」と自嘲しながらも、ステージで歌い続け
る28年間の映像は、達郎ファンのみならずとも、貴重な音楽の贈りものです。
衰えない声量とギター演奏に加え変わらない体型が彼の音楽に対するこだ
わりを強く表明しており、2月に観たライブ・コンサートに続きベスト映像です。
公式HP ⇒ http://wmg.jp/tatsuro/movie.html
【Book】
■三浦展 「東京は郊外から消えていく!」(光文社新書、12/08/20 ★★★☆)
首都圏郊外の住宅物件が値下がりしていく理由として、①女性の社会進出
②人口減少 ③高齢化 ④結婚しない団塊ジュニアを挙げ地域エリアを分析。
イメージのよい東急田園都市線沿線や横浜方面よりも、埼玉・千葉・湾岸と
都心に近いほうを選ぶ傾向がある団塊ジュニア以降の若い世代など、東京
都心は便利になったものの「つまらなくなった」と指摘しています。最終章で、
いかに郊外のオールドタウンをゴールドタウンにするか、空き地の活用方法
を具体的に述べ市民・企業・行政が互いに協力し合うことを提案しています。
http://www.kobunsha.com/shelf/book/isbn/9784334036980
東京は郊外から消えていく! 首都圏高齢化・未婚化・空き家地図 (光文社新書) | |
三浦 展 | |
光文社 |
■立川志らく 「雨ン中の、らくだ」(新潮文庫、12/06/01 ★★★★)
まえがき冒頭で「狂人宣言」をして、全18章にはそれぞれ落語のタイトルが
付けられ、師匠(立川談志)との出会いから、自身の落語人生を語った本。
兄弟子であり、ライバルでもある立川談春が書いた『赤めだか』を意識した
上で、そこには書かれていない“談志論”を展開。 前座修行期間中の失敗
の数々、入門半年後に師匠のお供でハワイに行った落語会のエピソードが
可笑しく、二つ目昇進披露の会、大学の先輩高田文夫とのつき合い、立川
ボーイズの裏話、シネマ落語誕生、映画製作の失敗など、文章が上手い!
http://www.shinchosha.co.jp/book/136721/
雨ン中の、らくだ (新潮文庫) | |
立川 志らく | |
新潮社 |
【オマケ、今週の気になった言葉】
■大きさって、「感じ」を含んでるんですよね。人それぞれが持っている「世界」
のイメージのなかに、ものすごく重要な要素として、「大きさ」がある。
(by 糸井重里 『夜は、待っている』 P27より)
http://www.1101.com/books/dawn/index.html
「ほぼ日刊イトイ新聞」で毎日発表されてきたコラムや文章のなかから糸井
重里さんの言葉が厳選され、毎年1冊の本になっています。 コピーライター
の仕事はもうずっと前から行っておらず、「ほぼ日」の会社社長、企画・運営、
プロデューサーの立場で活動を行ってますが、彼が書く文章は魅力的です。
例えば、あるモノの大きさを考えると、車といっても、ミニカーからダンプカー
まで、ひとそれぞれイメージには幅があり、ヒトの大きさも、単に見た目から
の身長・体重ではなく、つき合いを通して何度も会話するうちに、そのヒトの
頭のなかの大きさ(「何考えてるんだ、このヒトは」)が、段々明らかになって
きます。 何m、何g、何リットル、何歳、何回と数字で表すことが可能な測定
ができる世界とは別に、単位では計り知れない「大きさ」を、ひとそれぞれが
抱えていることを、すごく漠然とした話ですが妙に実感、納得してしまいます。