ミスター・ピーノの見るが勝ち通信 その22
イケヤの知人のピーノさんが
いつも私を含めたご友人の方に送られているメルマガのお裾分けシリーズ。
『ミスター・ピーノの【見るが勝ち通信】』です。
海外滞在が長く、外国語にもご堪能な方です(日本人です)が、
一週間程度で物凄い量のものを見る、読む、聴く。とにかく私もビックリ。
というわけで読者の皆様、感想等ございましたら、
私が責任を持ってお伝えしますので
ぜひコメント欄にお願いします。
では、レッツゴー。
◇行きつけのBarで「モヒート」(Mojito:ヘミングウェイが好んだラム・ベースのカクテル)を注文した際、Bartender兼オーナーから、今年の夏は猛暑で「ミントの葉」が“2、3日でダメになった”と言われました。冷蔵庫に入れておけば例年だと一週間は大丈夫だったのに、今年は暑さの影響で日持ちせず、葉に黒い斑点がすぐ出てしまったとのこと。 値段も上がったそうで、ハーブなども同様だとか。一時、キャベツなど野菜の値段が高騰しました。熱帯夜続きが“ボディーブロー”のように、ミントの葉にも影響したんですね。
◇ハバナの旧市街にあるバー「Bodeguita del medio」は、ヘミングウェイが常連だった店で、そこを訪れるほとんどの観光客が「モヒート」を注文します。そういえばマドリッドに「ヘミングウェイが通ったステーキ・レストラン」があり、その隣のレストランの看板コピーは、“ヘミングウェイが来なかった店”(笑)市内に何店か彼のなじみのレストランがありますが「まぁ普通の味」で特にアメリカ人の彼が食通やグルメだったかというと「?」ですね。 かなりの量の赤ワインやビール、ウイスキーを飲み“アル中”だったことは確かですが。
◇先週、小泉武夫氏(食文化論者)の「農産物の6次産業化と地域の活性」のテーマ講演を聴きました。日本の食料自給率が50年前の英国と正反対(1961年:日78%、英42% ⇒ 2009年:日40%、英72%)である点を指摘。なぜ、日本が英国と同じことができないのか?政府(自民⇒民主)の危機管理の問題でしょうか? 全国各地の農産物の活性化事例が楽しく、ものを作るだけではなく「加工」⇒「販売」まで、九州、三重、青森、北海道でさまざまな試みが行われ、県立高校生が年商2億円売上という話はスゴイです。
【落語】
■立川志の輔 「志の輔落語」(Act City中ホール、10/09/10 ★★★★☆)
前座(四番弟子:志の彦)と長唄三味線(松永鉄九郎)をはさみ、志の輔は新作「こぶとり爺さん」(鬼の話)と「買い物ぶぎ」(クレーマーと店員応対)、約1時間に及んだ古典「徂徠(そらい)豆腐<出世豆腐>」が圧巻でした!あえて「赤穂浪士」の討ち入りの話をいれず、小さな豆腐屋を開いた夫婦と貧しい学者(荻生徂徠)の人情噺に絞り、四角四面の徂徠と自由な発想をする庶民の七兵衛を対比させ、奥さんとの口喧嘩、やり取りで笑わせます。携帯電話マナーの悪さ、ノンアルコールビールのまずさ、どん帳が下りない中ホールの使いにくさと残響空間はボロクソで辛らつな皮肉が絶好調(笑)
ご参考URL ⇒ http://www.shinosuke.com/index.php
【映画】
■悪人 (★★★★)吉田修一の原作(小説)を映画化。 祖母(樹木希林)に育てられ、建物の解体をする土木作業員(妻夫木聡)と紳士服量販店の店員(深津絵里)が知り合い、逃避行をする話。徹底的にジコチューのOLを演じる満島ひかりと父親役の柄本明が好演しており、孤独と愛、嘘と真実、加害者と被害者、家族とマスコミ取材を描き、果たして「悪人」は誰なのか? ちょっと救いのないテーマで行き着く先の大瀬崎灯台(長崎県五島市)は地の果てです。モントリオール映画祭で最優秀女優賞を受賞した深津絵里が輝いてます。
⇒ http://www.akunin.jp/index.html
■BECK (★★★☆)ハロルド作石のコミックが原作。 若手の人気俳優が出演しているせいか、10代半ばの女の子(中高校生)が観客の7、8割を占拠。米国帰りの竜介(水嶋ヒロ)が、ベースの平(向井理)とボーカル千葉(桐谷健太)を誘ってバンドを結成。高校生コユキ(佐藤健)とサク(中村蒼)がメンバーに加わり野外フェスティヴァルに出演するまでの物語。銃弾を受けたギターの秘密が裏テーマですが、最後までコユキの○○を想像してね!というのは(笑)
⇒ http://www.beck-movie.jp/
【Book、新書】
■岡部明子 「バルセロナ」(中公新書、10/08/25 ★★★★☆)
バルセロナの人と話すと、彼らは自分たちを「スペイン人」とは呼ばずに、「メディテラネオ、mediterraneo」(地中海人)と言います。著者は東大の建築学科を卒業、10年(1985~95)磯崎新アトリエ<バルセロナ>に勤務、地中海都市バルセロナを「都市計画・市街地開発」の視点から語ります。ガウディ、ピカソ、ミロ、カザルスに触れ、バルサ(FCバルセロナ)や1992年のオリンピックを経て、工業都市からサービス産業都市に転換、金融から水ビジネスまで。 料理人カバウと市場の話は感動的なエピソード。
⇒ http://www.chuko.co.jp/shinsho/2010/08/102071.html
△ご参考:吉村有司
「地中海ブログ」 ⇒ http://blog.archiphoto.info/
<愛知県出身の建築家で、カタルーニャ州先進交通センター勤務>
■福江誠 「日本人が知らない世界のすし」(日経プレミア、10/08/09★★★☆)
巻頭のカラー写真が色鮮やかで、海外で人気のロール寿司(巻き寿司)を紹介しています。この写真がないと本文の説明だけでは、一体どんな形と色なのか想像できません(笑) 第3章:女性寿司職人が面白く、米・仏・ポルトガル・スウェーデン・豪・シンガポール等で活躍する女性たちは皆たくましく、ビジネス感覚(機転と決断)を備えており、成功にいたるチャンスの活かし方は千差万別ですね。食べ物を売るだけではなく、周辺の文化や楽しさも含めて、アレンジして提供する大切さを提言。
⇒ http://www.nikkeibook.com/book_detail/26088/
【オマケ、今週の気になった言葉】
■人はなぜ家をつくるのか-そのなかに住むためである。人はなぜ都市をつくるのか-家から外へ出るため、そしてそうした人たちがお互いに会うためである。 (by ホセ・オルテガ・イ・ガセット <哲学者 1883-1955>)La gente construye la casa para vivir en ella y la gente funda la ciudadpara salir de la casa y encontrarse con otros que tambien han salidode la suya. (por Jose Ortega y Gasset)
上記掲載本「バルセロナ」で引用されている言葉。「街は出会いの場」という考えは、スペイン人が生まれたときから「DNA」として持っていますよ。セントロのCafe/Barは、平日、週末を問わず朝早くから夜遅くまで、老若男女、友人、知人や同僚たちがコーヒーとクロワッサン、ビールやワインを飲みながら、タパス(酒の肴)をつまむ姿が見られます。 日本の地方都市の「シャッター通り」や、「中心市街地活性化」問題がうまくいかないのは、“ひとびとが出会う場”という根本的な考えが行政側にないからで、お店や区画、建物中心の開発よりも、“ひととのつながり”をまず第一に。
では。