ほぼ週刊イケヤ新聞ブログ版

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スパイク・リー監督の映画『アメリカン・ユートピア』を観た

2021年10月16日 10時55分01秒 | 映画レビュー
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スパイク・リー監督の映画『アメリカン・ユートピア』を観た

 

19の時、バンドがやりたくて京都の大学を辞め、東京の大学に入学した。左側バンド活動にいそしんだ。高校の仲間も東京にいたので合流した。そしてプロになるにはコピーとかやってる場合ではないのでオリジナルを作り続けた。

20歳の春休み頃だったろうか。自分が作る曲(普通のポップなロックだった)が、作る前から世の中に存在している(つまりありきたりのよくある曲ということ)ことが真底いやなってきた。具体的に言えば身体的に気持ちが悪くなって、吐いてしまったこともあった。

若者らしい他の悩みと相まって、もう音楽を辞めよう、と思った。(音楽そのものを辞めようと思ったのは人生でその時だけ)

そんな話を打ち明けに高校時代からのバンド仲間でその時も、そしてその後のプロのバンドもいっしょにやった佐藤の部屋(鷺ノ宮にあった)に行って、あらかた前述したようなことを言ったんだと思う。

で、その時佐藤の部屋で聴かせてもらったのがトーキングヘッズだった。それまではTOTOだの、ジミヘンだの、まぁ普通(といってももちろん偉大)なものをきいていたんだが、このRemain in Lightの曲の手触り、テクスチャー、リズム、そしてなにより変わった音作り、ぶっ飛んだ(最初はギターだとは思えなかった)エイドリアン・ブリューのギターに衝撃を受けた。

トーキングヘッズの衝撃、そしてその後貪るように聴き漁ったニューウェーブのの衝撃は大きくて、その後の僕の音楽人生、さらにはものづくりや発想、そしていまの物書きとしての基本的なスタンスが決まった。それは「いまこの世にないもの(しかも面白いもの)(しかも美しいもの)を作る」というものだった。そのコンセプトで「はる」というロックバンドが生まれ、メジャーデビューもするわけだが、まぁ自分の音楽の話はさておく。

トーキングヘッズは僕にとって、そういう恩人のような存在であって、バンド絶頂期に作った映画「ストップ・メイキング・センス」は、もう素晴らしいなんてもんじゃないのだ。(このころ残念ながらエイドリアン・ブリューはすでに脱退してキングクリムゾンのフロントマンになっていた)。

その後トーキングヘッズの話は聞かなくなっていたが、突然今年話題になったのがトーキングヘッズのフロントマンであるデイビッド・バーンのコンサートのドキュメンタリー映画だ。監督はDo the right thingのスパイク・リーだ。

コロナ禍の隙間を狙って吉祥寺に観に行った。実に素晴らしかった。

ストップ・メイキング・センスのころの「むき出しのニューウエイブ」が、年月を経ることで洗練され、機材のワイヤレス化や小型性能化が進むことでミニマムからさらに勧められたように思う。

ステージがそぎ落とされることでロックバンドのコンサートと言うよりも演劇もしくはミュージカルまたは1つのミニマルなパフォーマンスの様相を帯びており、デイヴィッド・バーンは一人でもう、そんな境地にまで至ってしまっているのだということを強く感じた。

ゆるふわ時の時代の検証ではなく表現の方向その表面だってデビットバーンは一歩も歩みを緩めることなく、表現を研鑽し続け、素晴らしいミュージシャンたちを集め、アンサンブルとパフォーマンスを磨き上げ、ついにタイムスクエアの名だたるミュージカルや演劇に匹敵するつまり音楽の中にとどまっては評価できないほどの高次元なパフォーマンスを実現したのである。

素晴らしいとしか、いいようがない。


「完璧な文章などといったものは存在しない。完璧な絶望というようなものが存在しないようにね。」

2019年11月28日 19時06分59秒 | 映画レビュー

「完璧な文章などといったものは存在しない。完璧な絶望というようなものが存在しないようにね。」

 
 
2019/11/28 19:05
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「完璧な文章などといったものは存在しない。完璧な絶望というようなものが存在しないようにね。」


旅先で映画館に行くのが好きだ。
以前ユナイテッドシネマの上映前のCMムービーで
英語のナレーションでアメリカのセールスマンが、セールスの長い旅に出ている時、映画館に行く、そこは慣れ親しんだ自分の家のようだから、というものがあって、それがとても素敵だった。

で、高崎に出張になったので、検索したら「ドリーミング村上春樹」というドキュメンタリー映画をやっていたので見たのだった。
村上春樹の小説は世界中で翻訳されているが、ポーランド語版は一人の女性によって訳されている。その訳者のドキュメンタリーだ。

良くできたドキュメンタリーかどうかはわからなかったが、映画中にカエルくんが出て来たり、月が2つあったりとさりげない上品なユーモアが素敵だった。短い映画だったが、出張中で仕事も詰まっていたので、それも良かった。

で、本論だが、翻訳の有用性と不可能性という相反することを強く感じさせられたのだった。

冒頭の「完璧な文章などといったものは存在しない。完璧な絶望というようなものが存在しないようにね。」を訳するのに、訳者は非常に苦労するが、その文章は英語で、センテンスなのか、リタラチャーなのかでずっと悩んでいる。映画の最後の文学、小説に相当するリタラチャーを採用するようだが、それはちょっと違うなと思った、ただし一文だけを意味するセンテンス、もフィットしない。つまり、やはり訳すことはできないのであって、これは賽の河原を積んでは倒されることによく似ている。

ポーランドの人にとって村上春樹の小説を読むには、ポーランド語に訳されることは非常に大きな有用性がある。
しかし、本質的には書かれた言語でしか、本質はつかむことができない。

私は下手なジャズボーカルを歌うが、やはり英語の歌詞は、英語でしか表現できない、心の中の歌、動き、感情も英語がネイティブになっている。
ちなみにこれが出来ていないジャズボーカルを聴くことが多々あるが、これはとてもきけない。
同時に、ポルトガル語で歌いたいボサノバがあるが、めくらめっぽうカタカナでおぼえて歌うのは、お経を暗記してただ言うだけの門前の小僧のようで、それもできない。せめて歌う歌詞の分だけではポルトガル語の意味を知りたいと思う。


映画「TOKYOデシベル」を見た)

2017年05月29日 23時00分54秒 | 映画レビュー

映画「TOKYOデシベル」を見た

私の数少ない趣味として「旅先で映画を見る」というのがある。
映画館を出たら、知らないところにいる、というクラっとする感じが好きだからだ。
先日博多に出張したとき、使える時間でちょうど見られる映画がないかと物色したところキャナルシティで、やっていたのがこの映画。

見た理由は
1)とにかくタイトルのTOKYOデシベルに痺れた。
2)本当にフィールドレコーディングをする映画っぽい

という二点だけ。

おまけでいえば
3)全国で5館しかやっていない。

という希少性。たまたま博多のキャナルシティでやってるんだったら見ておこうと。

ネガティブ要素は多く、
監督の辻仁成は、エコーズの頃に、対バンになったんだが、
オレのバンドがいわゆる前座になってしまって、客がどっちけだったという逆恨みで大嫌い。キャストには興味はないし。

が、まあ見てみたのだった。
傑作とは言えないが、悪くはなかったと思う。
東京の音の地図を作るという主人公の研究も面白いと思った。

特筆すべきは映画に使われている「街の音」で、
TOKYOデシベルなんだから、そのあたり、手を抜くわけにはいかないだろうし、
適当な映画のBGMもなく、音としては丁寧な作りで、それは気に入った。

最近、意味性の強い音楽より、素の音のほうがずっとオーガニックで味わい深い気がしている。特にパフォーマンスアートでないときは。
坂本龍一の「async」を聴いて深い共感を覚えた。

async
坂本龍一
https://www.amazon.co.jp/s/ref=nb_sb_noss?__mk_ja_JP=%E3%82%AB%E3%82%BF%E3%82%AB%E3%83%8A&url=search-alias%3Daps&field-keywords=%E5%9D%82%E6%9C%AC%E9%BE%8D%E4%B8%80


この映画、見られる人は少ないと思いますが、機会あればぜひ。


ラ・ラ・ランドを見たのだった。

2017年04月16日 23時39分54秒 | 映画レビュー



ラ・ラ・ランド
2016年 ‧ ドラマ/恋愛映画 ‧ 2時間 8分

確かに素敵なミュージカルだと思う。エマ・ストーンの可愛い、というかブサ可愛い感じ、歌も可愛いとは思う。

だけど、気に入らないのがさすが『セッション』の監督で、
主人公の1人の男がジャズピアニストなんだが、彼の演奏するジャズってのが、
あまりにジャズとしてクオリティが低すぎる点と、彼のジャズに対する頑迷な態度が酷い。

彼はなんだかんだで自分が理想とするジャズの店を開くのだが、
そこでの演奏は、なんつーかダメなジャズなんだな。
しかも彼自身がヒロインのために弾く曲は、
ジャズというよりリチャード・クレーダーマンばりのムードミュージックでジャズ的な深みはない。

なんつーか、やっぱり『セッション』の音楽性のなさは、偶然ではないのだなと思ったのだった。

ミュージカル的には悪くないし、バードマンのエマストーンは、この映画でもとても素晴らしいんだが。


「ホームレス NYと寝た男」を見た

2017年02月09日 23時14分19秒 | 映画レビュー

ホームレス NYと寝た男

http://homme-less.jp/


旅先で観た映画。
烏丸四条の京都シネマ。
小さい画面を一番前で見る映画もいいもんだ。

ミニマリストに憧れているので、
この映画を見る前はこう思っていた。

ミニマルな人生、常識に捕らわれない暮らしをするアーティスト。
禅の思想ですべてを捨てつつもスタイリッシュに生きるライフスタイル。

勝手にそんな映画だときめてかかって、
さぞかしカッコイイ人のドキュメンタリーなんだろうと思っていた。

しかし実際は違った。

才能もそこそこあって、ルックスもそこそこいいのに、
壮年にまでなったが、何かを専一に磨き上げることができず、才能も努力も中途半端で、
まぁ何もかも中途半端で、結局物価の高いNYでは
家を借りれない人なのだということがわかってくる。

なんだか、中島敦の山月記を思い起こすようなお話だ。
(ドキュメンタリーだが)

彼は52歳ということでご同輩なんだが、
この精神的な境遇が私にとって、そして多くのご同輩たちにとって
おそらくヒリヒリする話で、早い話「俺はまだ本気だしてないだけ」という気持ちのまま、
もっといろいろ楽しみたいと思ったり、
何事もまだ成していない、という思いに囚われつつ、
残りの人生が少なくなっていることに焦るわけだ。

もともとある才能を発揮しながら何かを専一に磨き、
何事かを成すことができた人生はさぞかし実り多いのだろう。

仕事も、音楽も中途半端だという自覚がある私、
そして多くのご同輩は、なかなかその境地には至れないだろう。
そんな私たちを象徴しているのが、この映画の主役である、ビルの屋上で寝る男、
端役の役者であり、自ら趣味程度というレベルのカメラマン、マーク・レイ。

美男子で気が弱い、愛すべき落伍者のドキュメンタリーを観たときの
このほろ苦さは、私、そしてご同輩のあなたでなければ味わえないだろう。
彼が、そして私が、そしてあなたも、
いつか笑って死ねますように。

この映画を紹介してくれた
旅行ライター、前原さんによる
この映画の記事はこちら。


http://ryokojintabicine.blogspot.jp/2017/02/blog-post.html

 

 


「ハドソン川の奇跡」<★★★☆☆>

2017年01月06日 11時38分35秒 | 映画レビュー

前に見た映画シリーズ

「ハドソン川の奇跡」<★★★☆☆>

まず事実として事件そのものが十分にドラマチックである。
あり得ない危機、全エンジンのバードストライクによるエンジン停止。
そして瞬時の判断でハドソン川に飛行機が着水する。
ありえないような奇跡。
そしてハドソン川で救助に当たった人たちの迅速で確実な作業。
ヒーローと呼ぶに相応しい機長。

この映画が端正なのは、決して過剰ではなく淡々と事実を描くことに徹していること。
トム・ハンクスをはじめとするキャスティングはもうしぶんがない。

マスコミが美談として称えた裏では、現実には事故調査委員会が「適切な判断であったのか」を問い詰めるという、保険会社や訴訟が頻発するアメリカらしい事情が背景にあったのだなと思った。ただ、事実を追うだけなので、驚きはあるものの、あまりにもストーリーがフラット過ぎるとも思った。

そてにしてもこの映画のためにボーイングを買ったという監督のクイントイーストウッドはすごいな。

http://wwws.warnerbros.co.jp/hudson-kiseki/

 


『シンゴジラ』あるいはシンゴジラに立ち向かわざるを得ない現在の我々日本人。

2016年09月20日 01時32分42秒 | 映画レビュー

敗戦と同じぐらい、
日本人の心に強い痕跡を残した
東日本大震災と、福島の原発事故。

深く刺さった棘のように、
抜けずに何年も共に暮らしていく。
それを象徴しているのがシンゴジラであり、
シンゴジラに立ち向かわざるを得ない
現在の我々日本人である。

という映画だった。

音楽ばかりやってきていままで気づかなかったが、
世の中を預かり、身を捧げてくださっている
官僚の方々は本当に大変だし責任がある仕事だなと
痛感した。震災はシンゴジラより大変だったはずだから。


映画「レッキング・クルー」を見た感想

2016年08月17日 00時35分58秒 | 映画レビュー

 

 

DVDになるらしい。映画で見たので感想をカンタンに書いておく。

たぶん元はモータウンのファンクブラザース
http://www.standingintheshadowsofmotown.com/film.htm
の映画があって、
さらにマッスルショーズの映画があって

それでこれ、ってかんじでしょうか。
アメリカのレコーディングスタジオにいた
ハウスバンドともいうべきバンドであって、
彼らはあらゆる曲を見事に演奏し、
アメリカンポップスを作ってきた。
その歴史がよくわかります。
そして腕の良さも。

この映画は西海岸のスタジオなので
ビーチボーイズ、The Mamas & The Papasなどが
良く出てくるが、どれも素晴らしいし当時の話も大変興味深い。

とはいえ、映画としてよくできてるか、というと
それほどではない。あまりよく構成もされていなかった。

そういった意味で映画としてのクオリティは前掲の2作品には及ばないが、
音楽的な価値、史料的価値は大きいし、音楽ファンなら前掲の2作品に加えて、
これも見ておくべきだと考えます。



映画「ルーシー」を見た

2014年09月13日 23時06分09秒 | 映画レビュー

 

この映画レビューはネタバレです。

 

 

 

 

 

 

「ルーシー」はスカーレットヨハンソンを堪能する映画だと思うんだが

「アルジャーノンに花束を」みたくなってるので、

素敵でセクシーで可愛らしいスカーレットは

この映画の最初の数分だけなのだった。

むしろ仇役のチェ・ミンシクの演技を楽しむべきだったのかもしれないが、

それは確かに良かった。

モーガン・フリーマンも筋としては重要な役だが、ギャラの関係か、

登場時間は妙に限定的だった。

結論としては、可愛らしいスカーレットはおらず、

私は寝不足が祟り、最後のクライマックス直前から、エンドロールも終わり、最後の一人になるまで爆睡、

しかも帰りがけに忘れ物をし、それた出てこなかった、と言う顛末につき、

今回映画の採点はナシとする。

そんな彼なら捨てちゃえば? [Blu-ray]
スカーレット・ヨハンソン,ジェニファー・アニストン,ジェニファー・コネリー,ベン・アフレック,ドリュー・バリモア
ワーナー・ホーム・ビデオ
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ジョナサン・リース・マイヤーズ,スカーレット・ヨハンソン,エミリー・モーティマー
角川書店

 


映画「それでも夜は明ける」を吉祥寺バウスシアターで見たのだった

2014年04月19日 10時04分05秒 | 映画レビュー

 

映画「それでも夜は明ける」を吉祥寺バウスシアターで見たのだった。

 

超久々の映画レビューであります。

 

以前は毎週映画を見ていたけど、
最近はほんと、ごくたまにしか見ていません。
いかんなー。
というわけでレビュー。

 

映画としては「巻き込まれもの」であり、
一夜明けたら信じられないほど過酷なシチュエーションに
放り込まれていたというものではある。

しかし、怖ろしいのはこれがアメリカの奴隷制の時代の実話であり、
しかも12年奴隷として過ごした後に生還したという、
数少ない例であることが、あまりに重い。

この映画でわかるのは、奴隷制度が存在していたのはさほど昔の話ではないということだ。
それがアンモラルではなく人身が売買され、家畜同様に扱われていたのがつい最近までのことなのだということを、
リアリティをもって思い知らされる。

奴隷制を是とする時代の、支配層側の人間としての高潔なあり方ってのは、
いったいどういうものだったのだろうか、ということについて、
つまり当時の黒人を奴隷として使っていた白人のモラルのあり方に関して、
少しだけ思いを馳せた。

ちなみに、ラブロマンスとか、人生訓は逆に特別含まれていないのだった。

吉祥寺バウスシアターは残念なことに今年6月で閉館となるそうだ。
本当に残念。できるだけ通うつもり。


映画「キャプテン・フィリップス」を見た。<★★★★☆>

2014年01月02日 17時14分38秒 | 映画レビュー

 

去年みた映画シリーズ。

 

トム・ハンクスの新作ということで見てみたんだが、この映画は
映画史に残るとか、人生が変わるということではないと思いました。
でも、映画の本当の機能である「追体験」というものは強烈に得ることができた。

それはソマリア沖を航行する貨物船に乗ったとして、
海賊に襲われるとはどういうことか、ということなのかということ。

すごいリアリティ。
特に恣意的な味付けはなく、ストーリーもへんなヒネリが無くてそのままに近く、
無理な教訓やらヒューマンドラマはない。この映画は、そこがいいと思う。

そしてその体験から何を感じたかというと、
それは冷戦終了後の非対称の戦いというのは、こういうものなのだ、という理解だ。
非常に貧しい人たちが、貧しい装備で海賊をする。それを止める手立てはない。
それに対抗するために、原子力空母や潜水かが投入され、
ハイテクを使って犯人をひとたまりもなく射殺する。

マッチによる密やかでランダムな放火に、
最新の消防車を出動させて大量の水を浴びせる。

非対称の戦いとは、そんなものだ。
これはもの凄く消耗する。

 

 


映画「謝罪の王様」を見た<★★★★☆>

2013年12月30日 21時51分06秒 | 映画レビュー

今年見た映画を忘れないうちにレビューしておくシリーズ。

 

謝罪の王様

面白かった。極端な演技が、これは面白かったと言える。
アベサダオは、相当いいね。
ただランダムにインサートされる短いシークエンスの中には
ドメスティックなものもあり(日本人にしかわからないもの、訳したとしても)
日本映画の元気さと、今後の問題の両方が感じられた
脚本もよく寝られていて、時系列がランダムになっており、
あとでその意味がわかるような、そんな微妙な絡み合いは、
なんとなくタランティーノを思い出したりした。

この映画は面白いことに幾つのもストーリーが輻輳するが、
メインのストーリーは、かなりのナンセンスぶりが面白いんだが、
これは何かに似てる、と思ったら、それは筒井康隆のそれである。
ある「意味」が別の所では全然別の「意味」になる。
それがとんでもない方向へ進んでいくというドタバタぶりが、
アフリカの爆弾とか、熊の木本線(?)とか?
いや、よく似てるなぁ。

 

http://www.king-of-gomennasai.com/index.html

筒井康隆全集〈16〉男たちのかいた絵・熊の木本線
筒井 康隆
新潮社
懲戒の部屋―自選ホラー傑作集〈1〉 (新潮文庫)
筒井 康隆
新潮社

映画『ヒッチ』を見たことを忘れていたので書いておく。

2013年07月06日 11時33分12秒 | 映画レビュー

 

ヒッチみたことを書き忘れていたのね。

 

<★★★☆☆>

 

秀作だと思うが、ま、伝記映画は似てるなーみたいなところで見てしまうので。

アンソニー・ホブキンスがヒッチコックに似せてるのは

どのくらいSFXなんだな、と思ったりしてしまって。

でも実際の主役は奥さんのヘレン・ミレンでしょ。

いい演技をして蒔いた。

スカーレット・ヨハンセンは、まさに花を添えるってやつ。

添えているだけだけど、キレイだからいいだろうと。

 

とはいえ、面白かった点もあり、

それは、以下にウレに売れている監督でも、

プロデューサーからダメだしされ、

絶頂期なのに、私費を投じて借金を背負って

「サイコ」を撮ったと言うところで、

これが物語の核となってるが、

実話だからすごいと思う。

 

ま、表現者で成功している人って、

実はお金が欲しいわけじゃないんだよね。

やりたいことをやって、それが評価されるのが楽しいので、

 

音楽も映像も、でっかいインフラが必要な時期がおわり、

だれでも気軽に制作して、手軽にネット配信できる時代になってきたから

そうとう面白いことができるはず。

僕もちょっと始めてみようかな、と思ってます。

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映画「舟を編む」を見ました。

2013年05月16日 23時41分23秒 | 映画レビュー

 

 

最近日本映画が面白いと思ってますが、

これ、なかなか面白かったです。

辞書を作るという地味なストーリーが映画になること自体、

いま日本の映画は面白いことになっているのだと思う。

宮崎あおいちゃんは、映画的には必要なヒロインだったけど

ちょっと辞書には関係なかった。

すばらしかったのは松田龍平で、

抑えた演技が、素晴らしい。

松田優作の「家族ゲーム」も素晴らしかったが、

その感じとまた、よく似ていて、

とてもいい役者さんになったと思います。

これからが楽しみだな。

 

「右」をどう説明するか、ってのは

とても面白かった。

あれは広告作りにも通じると思ったのでした。

 

ところで、私、バンド業界を辞めて広告業界に入る前、

実は辞書を作ろうとして、三省堂の入社試験を受けたりしていました。

もし入社していたら、今頃辞書作っていたかも。

いい映画でした。

ぜひ映画館で!

 

<★★★★☆>

 

映画「舟を編む」公式ホームページ

http://fune-amu.com/simple/index.html

舟を編む
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