ミスター・ピーノの【見るが勝ち通信】その74
海外滞在が長く、外国語にもご堪能な方ですが、一週間程度で物凄い量のものを見る、読む、聴く。
とにかく私もビックリ。私も見習いたいと思っております。
読者の皆様、感想等ございましたら私が責任を持ってお伝えしますので
ぜひコメント欄にお願いします。
では、レッツゴー。
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パーク内に常設展示館とギャラリーの2つの建物があり、常設展示館は
筑紫ゆうなさん(故哲也氏の次女)や柳沢京子さんのモダンなデザイン、
百鬼丸さんの時代劇+立体飛び出す切り絵、第一人者関口コオさんや
光の当て方により別の絵が現れる酒井敦美さんなど、ひとくちに切り絵
といってもさまざまな作風と描き方があり、見て楽しくなる手工芸作品。
http://www.hyakkimaru.com/kouyuuroku.htm
◇今までで一番いい加減なバイトは?メキシコシティで3泊4日食事付き
の通訳のアルバイトでした。1980年春に、「日本文化週間」というイベント
があり、日本から鳶(トビ)職の人たちが約100名来て、期間中に獅子舞
やハシゴ乗り、火消しの舞を披露しました。その通訳を現地在住“3人の
日本人学生”が行ったという、なんとも無謀な話です(笑) 3台のバスに
分乗して、若い男衆の買物、食事、ナイトクラブまでお付き合いして連日
のどんちゃん騒ぎ。 修学旅行生を引率する先生の気持が分かった次第。
◇11日に発表されたムーンライダーズの「無期限活動休止」のお知らせ
は、デビュー35年目のバンドの1ファンとして、“感無量、ご苦労様”です。
2nd.アルバムからほぼリアル・タイムで彼らの音楽を聴き続けて、CDも
オフィシャル盤以外に編集・発掘盤を含めると30枚ほど所有しています。
彼らの音楽の魅力は常に“ポップ+アバンギャルド”なんです。 ライブも
東京、名古屋で10数回観ていますが、来月中野サンプラザで行われる
活動休止直前ライブ「Ciao! THE MOONRIDERS」も、しっかり見届けます。
http://ototoy.jp/feature/index.php/20111111
【演劇】
■「往転」 (シアタートラム、11/11/19 ★★★★)
脚本:桑原裕子(カクタ)、演出:青木豪。 福島行きの夜行バスの物語。
4組の男女による4つの話が、事故前と事故後の時間軸を往復しながら
並行して語られます。 母親の遺言に従って父親が異なる兄弟に遺灰を
届けようとする女(高田聖子)、婚約者を連れて田舎に帰ろうとする双子
の兄、寝たきりとなったバスの運転手など、それぞれの生活や個人的な
事情を抱えた乗客、乗務員の姿が段々明らかにされます。 救いのない
悲しい結末ですが、たまたま助かった生存者のその後にかすかな光が。
http://setagaya-pt.jp/theater_info/2011/11/post_249.html
■「江戸の青空 弐」 (世田谷パブリックシアター、11/11/19 ★★★☆)
いつの時代でも男と女の微妙な恋心は不変のテーマで、今回の舞台も
前回に引き続き、いくつかの落語:「おせつ徳三郎」「宮戸川」「紙入れ」
から、新たな男と女の物語を創作。 千葉雅子(猫のホテル)による脚本
とG2の演出。主演の二代目坂東巳之助は父三津五郎に似てきました。
常連の松尾貴史と柳家花緑が笑わせ、松永玲子(Nylon100℃)の長屋
の女房ぶりも可笑しく、肩の力を抜いて気軽に笑って楽しめる喜劇です。
http://www.g2produce.com/other/edosora2/
■イキウメ 「太陽」(青山円形劇場、11/11/20 ★★★★)
作・演出:前川知大によるSF。 地方の集落で起きた殺人事件が発端と
なり、10年の歳月を経て和解することになった人間と、太陽の下で生活
することのできない夜行性の年を取らない新人類たちとの葛藤。 若さと
長寿を手に入れることの代償として、昼と夜を逆転させ人間らしさを放棄
して利便性だけを追求する新しい種族。家族とは、血縁とは、差別とは、
土着とは、喜怒哀楽の感情を持ち続ける人間が絶滅品種になる矛盾と
皮肉が強烈です。 いくつもの深読み可能な考えさせられる脚本でした。
http://www.ikiume.jp/kouengaiyou.html
【映画】
■コンテイジョン <原題 CONTAGION>(★★★★)
豪華キャスト(M・デイモン、K・ウィンスレット、J・ロウ、G・パルトロウ他)
が出演する、新種ウィルスの感染とその対応を扱ったパンデミック映画。
通常のパニック映画と違うのは、ソダーバーグ監督が日にちにより場所
と登場人物を変え、世界中で拡散していく様子を丁寧に撮影・編集して
いるからです。妻と息子を失った夫(M・デイモン)の視線から、ウィルス
の原因究明の調査に乗り出すスタッフやネット上で告発を続けるフリー
ジャーナリストの行動に移り、深刻度が増していく様子がとてもリアル。
http://www.cinematopics.com/cinema/works/output2.php?oid=12302
【Book】
■宮沢章夫 「ボブ・ディラン・グレーテスト・ヒット第三集」(新潮社、
11/08/30 ★★★☆) 2011年9月1日から11日まで西新宿の雑居ビル
の4階にある中古レコード店「万博レコード」周辺を舞台にした話。 店を
手伝う20歳のサトルと店主内田とで交わされる会話がすれ違っており、
新宿歌舞伎町の雑居ビル放火事件を背景に何か起きそうで起きない、
なんとも奇妙な世界です。 もうひとつの中篇『返却』も、30年以上前に
八王子の公立図書館から貸し出したままの書籍を返そうとする主人公
が、昔の思い出と現在を行ったりきたりする不思議な時空の迷路です。
http://www.shinchosha.co.jp/book/397404/
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ボブ・ディラン・グレーテスト・ヒット第三集 |
宮沢 章夫 | |
新潮社 |
■大友博 「エリック・クラプトン」(光文社新書、11/11/20 ★★★★)
この本の中でも「某とんかつ屋など行きつけの店もいくつかあるらしい」
と現在19回目の日本公演ツアーを行ってるエリック・クラプトンの伝記。
彼の生い立ちから現在までつき合いのあったミュージシャンと使われた
数々のギターを丁寧に紹介してます。 1992年に発表した『Unplugged』
以降、原点回帰ともいうべきブルース中心にB・B・キングやJ・J・ケイル
と一緒にアルバムを作り“我が道を行く”姿勢を貫いています。 著者も
指摘するように、彼の“自作曲”は全アルバムの3割程度なんですよね。
http://www.kobunsha.com/shelf/book/isbn/9784334036553
![]() |
エリック・クラプトン (光文社新書) |
大友博 | |
光文社 |
【オマケ、今週の気になった言葉】
■「ギターのうまい人お便りネ。 男女を問わず早く早く、お便りチョウ」 の
一節には、明らかに後年の椎名誠風文章が見てとれる。
(by 亀和田武、小学館PR冊子「本の窓」11月号より)
目黒孝二コラム(11/11付)⇒ http://www.webdoku.jp/column/meguro_n/
この話、少々込み入ってます。 ①亀和田武が『ポップス黄金時代』という
本の紹介で、シンコー・ミュージックが発行していた『ミュージック・ライフ』
の読者投稿欄から椎名誠の投稿を発見 ②友人の目黒孝二(北上次郎)
がその投稿内容(ウエスタン音楽)から、沢野ひとし(イラストレーター)が
椎名誠に代わり悪ふざけで投稿したと推測 ③椎名誠本人に確認を取り、
投稿は2人の共作(椎名+沢野)でお便りは一通も来なかったという結末。
このエピソードから何を思い出したかというと、1960~70年代後半?まで
雑誌投稿欄には、投稿者の住所や自宅電話番号が記載されて、一種の
“文通欄”だったんですね。 当時個人情報の漏洩とかの問題はなかった
ので、“文通”とか“ペンパル(pen pal)=ペンフレンド”とか、Eメール全盛
の今からは信じられないような時代でしたが、国内外で文通相手を作り、
手紙のやり取りをしていたんです。 今となっては年末のクリスマスカード、
元旦の年賀状が“習慣として”残っていますが、これもあと数10年したら、
“費用対効果”と生活のスピードから、【絶滅】してしまうかもしれません。
では。