味園博之のブログ-文武両道「空手道と南洲翁遺訓」他古典から学ぼう

平成の今蘇る、現代版薩摩の郷中教育 
文武両道 「空手道」と『南洲翁遺訓』を紹介するブログ

拙著『礼節のすすめ』の紹介----6.

2010-09-08 12:45:45 | ブログ

タイトル---拙著『礼節のすすめ』の紹介---6.第582号 22.09.08(水)

 ブログ第571号に続きます。

 礼節の政治家像の最後に紹介する人が石橋湛山です。経済ジャーナリストから政治家に転向し、昭和三十一年総理大臣に就任した人物です。岸信介総理の直前の総理です。

 言論人から政治家に転向した石橋湛山は、明快にして豪快なリーダー、人物でした。政治家として、骨太な頼もしい洞察力のある、先を見通したビジョンに満ちた筋の通った言論人出身の政治家でした。

 昭和三十二年一月、総理大臣としての第一声がふるっています。「私は国民の皆さんのご機嫌取りはしない。とかく、ご機嫌とり政治が民主政治を滅ぼすのである」

 これが第一声です。自由主義者ではあったが、国家に背を向けた自由主義者ではなく、国家を念頭においた思想の持ち主でありました。

「なんでもかんでも人の言いなりにハイハイと言うことが、平和をもたらす方法ではない。理不尽な事を言われたら敢然とこれに立ち向かう。非人道的な処置に対しては、これを承知しない」

 気骨ある人間の、国を率いる人の覚悟、心意気です。昭和三十二年の発言です。その昔、粛軍演説をし正論の政治家といわれた斎藤隆夫と気骨・度量の面では甲乙付け難い精神力の持ち主でした。

 軍部が主導した日本の大陸進出による植民地政策に対しては批判的であり、「欧米列強の後を追って植民地を増やして行くのは間違いである。植民地は解放すべきである。小さな欲に囚われると、将来元も子もなくなる」と訴えたのです。

 融通無碍の構想力は石橋の本領、思想であり、必要にして有効な防衛力は持つべきだと論じ、文明と平和の先導者になろうではないか、という建設的思考の持ち主でありました。

 目の前のことも大事だが、理想の夢によって現実を忘れるものであってはならない、国際義務を果たすための必要にして有効な防衛力は堅持すべきだと説きました。