桜
桜がほころび始めた。他の国へ行ったことがないから、日本の桜がどれほど美しいかは知らない。桜の季節、日本は、他の国には見られないような美しさの中にあるという。否、きっと四季折々に、日本は美しいのだろう。
その豊かさを満喫できるのは、何という恵みであることか。戦争を体験するということもなく、とても幸せな時代に私たちの世代は生きてきた。戦後まもなくできた日本国憲法が、この国の平和を守ってきた。
日本国憲法の前文には、「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」とあり、それに基づいて、憲法9条の戦争放棄、軍備及び交戦権の否認となっていると理解している。
しかし、時代の流れは、いつしか、それらの精神をなし崩しにしてきた。待ったを言わねばならない国は、どこの国よりも早く、米国のイラク攻撃に賛成した。そして、気がつけば、日の丸をつけた軍服姿の日本人が、武器を手にして、焦土と化したイラクの国に立っていた。
10年前、いったい誰がこのような情景を予想しただろうか。「平和を実現する人々は、幸いである。その人たちは神の子と呼ばれる」。私たちは、神の子と呼ばれたい。
私の父は、特攻隊の生き残りで、酒を飲むと決まって「同期の桜」を歌っていた。父は、戦後、散っていった桜を悲しんでいた。そして、平和を願っていた。なのに、酔うと天皇陛下バンザイと言った。平和を作る思想も実践も簡単ではない。
平良 師
桜がほころび始めた。他の国へ行ったことがないから、日本の桜がどれほど美しいかは知らない。桜の季節、日本は、他の国には見られないような美しさの中にあるという。否、きっと四季折々に、日本は美しいのだろう。
その豊かさを満喫できるのは、何という恵みであることか。戦争を体験するということもなく、とても幸せな時代に私たちの世代は生きてきた。戦後まもなくできた日本国憲法が、この国の平和を守ってきた。
日本国憲法の前文には、「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」とあり、それに基づいて、憲法9条の戦争放棄、軍備及び交戦権の否認となっていると理解している。
しかし、時代の流れは、いつしか、それらの精神をなし崩しにしてきた。待ったを言わねばならない国は、どこの国よりも早く、米国のイラク攻撃に賛成した。そして、気がつけば、日の丸をつけた軍服姿の日本人が、武器を手にして、焦土と化したイラクの国に立っていた。
10年前、いったい誰がこのような情景を予想しただろうか。「平和を実現する人々は、幸いである。その人たちは神の子と呼ばれる」。私たちは、神の子と呼ばれたい。
私の父は、特攻隊の生き残りで、酒を飲むと決まって「同期の桜」を歌っていた。父は、戦後、散っていった桜を悲しんでいた。そして、平和を願っていた。なのに、酔うと天皇陛下バンザイと言った。平和を作る思想も実践も簡単ではない。
平良 師