今、教会に必要とされてることとは
昨今、大学で若者たちを見ていると、激しい競争社会のなかで、彼らの多くが傷つき自信をなくしていると感じます。神学者ヘンリ・ナウエンは、現代社会は「自己不信、低い自己像、自己否定、落胆という闇に、しつこく私たちを引きずり込もうとする」社会であり、その中で人々は傷を負い、引き裂かれていると述べています。
近年日本でうつ病等の精神疾患の患者数が増加している背景には、様々な心理社会的要因が考えられますが、ある精神科医は、そのうちのひとつは、家族・職場・地域など人を支えるコミュニティやネットワークが消失した結果、人に頼れず精神科クリニックに駆け込む人が増えたことにあると言います。
また、1950年代後半から始まった「国民性の研究全国調査」での「あなたにとって大切なものは何ですか?」という問いに、1970年代からは「家族」と答える人が増え続けていますが、現実には単身世帯・非婚の人が増加しています。2050年には女性の17.4% 男性の29.5%が生涯未婚になるとも言われます。マザー・テレサは、「孤独と人に必要とされていないという感覚は、究極の貧困である。」という有名な言葉を残しました。
今日の教会に期待されていることのひとつは、苦しみや悩みを否認するのではなく、意味あるものとして忍耐強く受けとめてくれる場所、ひとりひとりが安心して悩み、苦しむことができる場所を提供することではないでしょうか。
才藤千津子 協力牧師