或る「享楽的日記」伝

ごく普通の中年サラリーマンが、起業に向けた資格受験や、音楽、絵画などの趣味の日々を淡々と綴ります。

からみ合い

2008-04-09 06:29:10 | 350 映画
カミさんも呆れる程いよいよ深く岸恵子にハマってしまっている自分に気づく今日この頃。嬉しいのは広島駅にあるレンタルビデオ屋にTSUTAYAとか他の店では絶対にないチョー古いビデオがどっさり置いてあること。この中から彼女のベストを探すというのがこのところの関心事。そのためにまずは出演している映画のリストを作ったりして。妙に楽しいんだな、これが。

自分的には前回の「黒い十人の女」(1961年)みたく男を惑わすセレブ系悪女役の彼女が好きなので、女として脂の乗った20代後半から40代前半までの作品に狙いをつけてリストを眺めていたら、ふと気づいたのが30代の作品が異常に少ないこと。調べると1956年の合作映画への出演がきっかけでフランス人映画監督のイヴ・シャンピと結婚しパリに移住。30代というのがちょうど娘を出産し離婚するまでに重なっていた。おそらく子育てに専念していたのでしょうね、もったいない気がするけど。

中でも強く魅かれたのが「からみ合い」(1962年)。レンタル屋の棚で見つけた時は飛び上がるぐらい嬉しかった。彼女が30歳の頃の作品で時代小説家として知られる南條範夫のミステリーが原作。ガンで死期が近い大企業の社長の莫大な財産の相続を巡って周囲の様々な人間の欲望と策略が”からみ合う”というストーリー。社長の秘書役で、いつしか関係を持ち物語の中心になっていくのだけど、いや素晴らしい、彼女の気品と匂うような色気が。役どころも自分のイメージにピッタリ。

この映画には他に渡辺美佐子や芳村真理も出演していて楽しめるのだけど、意外にも一番驚いたのは武満徹の音楽。当時のジャズ喫茶のシーンなんかもあったりして、全編を通して流れるのがモード系モダンジャズ。今聴いてもクールで全く古さを感じさせない。マイルスの「Kind of blue」が1959年だから、そのすぐ後。日本で本格化したのは1960年代の後半。それを考えると、この映画の音楽がいかに斬新だったか分かるというもの。いやあ、これにはぶっ飛んだなあ。

ということで、これからは武満の映画音楽にも注目してみようと思っています。

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