或る「享楽的日記」伝

ごく普通の中年サラリーマンが、起業に向けた資格受験や、音楽、絵画などの趣味の日々を淡々と綴ります。

ピカソ(6)[分析的キュビスム]

2005-07-31 08:18:07 | 300 絵画
今日は分析的キュビスムの時代(1907年~1912年)の紹介です。正直言って最初の頃はキュビスムとか聞くと、あの幾何学的な色気のない絵なんて思ってました。まあそれは本質的には変わってないのですが、最近では、まあこれもありかな、なんて思ってます。(笑)

このキュビスムっていうのは、ピカソの当時の仲間のジョルジュ・ブラックが始めた手法。セザンヌとピカソに触発されて考案した独自のスタイル。キュビスムという名前の命名者はマティスとか。

特徴は、日本語訳である“立法派”、“立方体派”に代表される四角いモジュール。技術的に言えば、対象物を一つの視点でなく、複数の視点で見た上で、それらを抽象化し、同一平面に再構成するという画法。

原始回帰からキュビスムに至る過程が下の絵の流れで分かります。サンクト・ペテルブルグのエルミタージュ美術館にある「ヴェールの踊り(La danse aux voiles)」(1907年)、「庭の中の小さな家(Maisonnette dans un jardin)」(1908年)、そしてこの時代を代表する、パリの国立近代美術館にある「ギター弾き(Le joueur de guitare)」(1910年)。

お気に入りとして「壷とワイングラスと本(Por, verre et livre)」(1908年)を紹介しておきます。この時代の他の作品にはない、まったり感がいいですね。調べてみると、この絵や上の2点を含めて、エルミタージュ美術館にはこの時代のものが相当数あります。やはり第2次世界大戦のドサクサで、当時の旧ソ連がどっさり押収したのかなあ。

そうそう、この時代のブラックとピカソは、その芸術の急進性によって世間から完全に孤立していたらしいです。もうアウトサイダーの極み。芸術家としてカッコイイですね。

全絵画写真の引用元:「ON-LINE PICASSO PROJECT」(http://csdll.cs.tamu.edu:8080/picasso/)

ヴェールの踊り庭の中の小さな家ギター弾き