はなバルーンblog

藤子不二雄や、好きな漫画・アニメの話がメイン(ネタバレもあるので要注意)

桶谷顕氏、死去

2007-06-24 23:51:30 | マンガ・アニメ
 末期がんで闘病中だった脚本家の桶谷顕氏が、本日亡くなられた。
 ネット上の情報源は、今のところmixiのご本人の日記での友人の方の書き込みだけのようだ。mixiは会員制なので、ここでリンクは張らない。mixi会員の方は、名前欄「桶谷顕」で検索して下さい。


 私が最初に桶谷氏の名前を意識したのは、「エスパー魔美」の再放送だった。当時は中学生で、声優・スタッフを意識してチェックすると言うアニメファンの多くがたどる道を歩き始めており、「魔美」に関しては、特にシリーズ後半のアニメオリジナル話は誰が脚本を担当したのか気になりチェックしていたので、自然と桶谷氏の名前を覚えた。
 桶谷氏が担当した「魔美」のオリジナル脚本で一番印象の強い回となると、どうしても最終話「動き出した時間」を挙げざるを得ないが、最終話以外では「最終バスジャック」や「ターニングポイント」、原作付きの話では前後編にボリュームアップさせた「学園暗黒地帯」と、その後日談「舞い戻った赤太郎」などが特に心に残っている。

 桶谷氏は、「魔美」以外でも「ドラえもん」「パーマン」「オバケのQ太郎」「チンプイ」「21エモン」と、シンエイ藤子・Fアニメの多くを手がけているが、私にとっては最近まで毎日観ていた「パーマン」の印象が、今は一番強い。
 ちなみに、脚本デビューは「ドラえもん」の「10円なんでもストア」(1983年7月29日放送)だが、「ドラえもん」で他に担当した回は「本の味の友」「エネルギー節約熱気球」の2本のみ。おそらく、文芸担当の「パーマン」がメインの仕事となっていたためだろう。


 シンエイ藤子アニメ以外の仕事では、シリーズ構成・脚本を手がけた「Cosmic Baton Girl コメットさん☆」は特に好きな作品だ。「魔美」にも言える事だが、作品全体に「暖かさ」が広がっており、観ていて心地よかった。この「コメットさん」では、桶谷氏が全話の脚本を担当していた点も特筆すべきだろう。

 その一方で、「機動戦士Vガンダム」や「機動武闘伝Gガンダム」にも参加しているのだから、そのギャップが凄い。「Gガンダム」では、特にチボデー絡みの回を重点的に担当しているので、チボデーのキャラ作りに桶谷氏の脚本が寄与していたのだろう。
 他に、これまで桶谷氏が関わった作品を調べてみると、キャリアの割には作品タイトル数は少なく、ちょっと意外だった。参加した作品に集中して取り組むタイプだったのだろう。また、遺作となった「デルトラクエスト」を含めて、「チンプイ」「女神候補生」「キョロちゃん」と、本郷みつる監督作品への参加が多い。「魔美」からの縁がずっと続いていた訳で、ぜひこのお二人でもっと多くの作品を作って欲しかった。


 ここ2,3年は桶谷氏の名前を見かける機会が少なくなり、久々に「デルトラクエスト」で名前を見た時には嬉しかったのだが、それからしばらく経って末期がんだと聞いてショックを受けた。
 末期がんの事を知ったきっかけは、詩集「ボクがもらった幸せ」の出版だったが、私はまだこの本を読んでおらず、本日訃報を知ってからあわててAmazonで注文した。

 「ボクがもらった幸せ」は、本が届いたらじっくりと読ませていただくとして、まずは藤子アニメをはじめとしてたくさんの作品で楽しませていただいた事に感謝して、心から桶谷氏のご冥福をお祈りします。

(6/25 一部加筆・改訂しました)