『オヤジ坊太郎』作品リストを作成

 ある日、ふとアニメ『ビリ犬』の放映リストを作ろうと思い立った。
 『ビリ犬』のリストは、Wikipediaをはじめとしていくつか公開されているが、いずれにも若干のミスが見受けられ、以前から気になっていたのだ。また、なんとなく「なんらかのリストを作りたい」という欲求がわき上がっていた時期でもあった。
 都合よく、手元には本放送と同じ内容と思われるテレ朝チャンネルの録画があったので、そのオープニング・クレジットを元にしてリストを作成したのだ。

 話は、それで終わらない。アニメのリストを作ったら、今度は漫画のリストだと言うことで、藤子不二雄先生のなんらかの漫画作品のリストを作ろうと思ったのだ。
 藤子先生と言っても、F先生の作品については、すでに大全集が出ており、一通り作品情報は調べられたあとだ。リストを作るなら、A先生の作品であろう。と、言うことで、『オヤジ坊太郎』のリストを作ることに決めた。
 なぜ『オヤジ坊太郎』かと言うと、これが初出情報のはっきりしていない作品だったからだ。一応、藤子不二雄ランドで刊行されているが、それは単行本2巻分にとどまり、作品全体の半分以上は初出がわからない状態のままだったのだ。
 また、はたして単行本未収録エピソードが存在するかというのも気になるところだった。と言うのも、連載回数81回に対して、単行本に収録されているエピソードの合計は76話であり、連載途中での再録や休載がない限り、単純計算で5話の未収録話があるはずだからだ。
 ともかく、これらの全てを明らかにするために、『オヤジ坊太郎』の全初出誌をチェックすることにしたのだ。

 まず調査の最初は、地元・大阪に存在する国際児童文学館からだ。
 国際児童文学館は、昔は吹田の万博公園の中にあったが、現在は大阪府立中央図書館の中に存在している。それに伴い、資料の貸し出しが事前の予約制になるなど、はっきり言って手続きがやや面倒になった。
 それはともかく、まずはここで連載期間中の「週刊少年キング」をあるだけ全て借り出したのだが、23冊しかチェックできなかった。これでは、3分の1にもならない。そこで、他の図書館での所蔵状況を調べたのだが、まず関西の図書館にはまるで無いことが分かった。そうなると、次は関東だが、これも無料で借りられるところは全滅だった。国会図書館・多摩図書館など『オヤジ坊太郎』連載期間中の「週刊少年キング」に関しては、ほとんど所蔵がないのだ。

 と、言うわけで最終手段として、現代マンガ図書館を利用することにした。
 ここは、利用料が貸し出し一冊に付き100円かかるので、できればあまり使いたくはなかったのだが、他においていないのなら仕方が無い。意を決して、先日行ってきたというわけだ。
 現代マンガ図書館は初めて利用したのだが、想像していたよりはこぢんまりとした施設だった。現在は明治大学の施設だが、元々は個人運営だったのだから、考えてみればそんなに大がかりなわけはないのだが。
 ともかく、ここでの調査ははかどった。国際児童文学館でチェックできなかった分を46冊も読むことができたのだ。おかげで、入館料300円+閲覧料4,600円=合計4,900円もかかってしまったが。

 そんなわけで、とりあえず作成したリストがこれだ。
 このリストを見るとわかるが、結局単行本未収録話は3話だった。初出時に2話だったエピソードが、単行本で1話にまとめられているケースが2つあったからだ。未収録は「キョーレツ! フトンたたきゲーム」「フトンたたき大ブーム!!」「おれたちゃ自転車暴走族」の3本。
 前2話は藤子作品でおなじみである「フトンたたきゲーム」を題材にしたもの。『ドラえもん』『新オバケのQ太郎』『ウルトラB』と、両先生の作品でネタにされていることからも、藤子先生にとって特別な思い入れのある遊びであることはわかる。そんな話が、なぜ未収録になったのだろう。
 「おれたちゃ自転車暴走族」も、別に内容的に問題のある話ではない。むしろ「ナチスをたおせ!!」(タイトルで察して下さい)や「サルマネコング大暴れ!」(人食い人種が登場)などの方がやばそうな気がするのだが、これらは普通に単行本に入っているのだから、実にふしぎだ。
 もう一つ、特筆すべきなのは、単行本『新オヤジ坊太郎』で最終話として収録されていた「10億円犯人を追え!!」が、実は最終話ではなく連載一周年記念として発表されたオールスター登場の前後編だったことだ。坊太郎の秘密の一端が明かされており、最終回らしいと言える話なので、これは意外だった。そうなると、真の最終回は一体どの話なのか、まだ最終回の初出誌が確認できていないので、実に気になるところだ。

 ともかく、未調査の残りは11話。これについては、全国各地の図書館を探すとともに、古書で売られていれば購入するなどして、今後も調査を進めたい。
 今回は、単行本未収録話が確定しただけでも、成果はあったと言えよう。需要がどれだけあるのかは、はなはだ疑問だが。
コメント ( 4 ) | Trackback ( 0 )
« 『どろろ』新... 『映画ドラえ... »
 
コメント
 
 
 
有難うございます!! (キャル)
2019-03-16 11:51:39
はじめまして。
「オヤジ坊太郎」のリストをこちらで発見しまして、感動のあまり長文コメントさせていただきます。というのも長年オヤジ坊太郎のリストを探しておりましたが、どこにも無いんですよね。(この事は他の方のブログにもコメントしておりました)他のA先生のこの時期?のギャグマンガ「ビリ犬」「マボロシ変太夫」「仮面太郎」等はネットで調べて何とか未収録話がわかるのですが(無名くんですら?分かりました。但しこちらは未収録話の収録雑誌をみつけるのが困難ですが…)「オヤジ坊太郎」は仰られているとおり連載話数が多いのと、全国のネットで検索できる図書館にもこの時期のキング所蔵が何故か無いんですよね。地方に住む私などにとっては自分でリストをつくるのは不可能に近く、未収録話を集めるには最難関になっている作品で、中場諦めている所でした。(それでも何とかネット調べて「キョーレツ!フトンたたきゲーム」「おれたちゃ自転車暴走族」掲載のキングは入手していましたが…)おかげさまで未収録話があと一本ということが分かり、大変感謝です!!是非とも完全版リストを完成させてください。そして最終話は何なのか謎を解き明かしてください!まあ、いつの日かF全集のような完全版のA全集が出れば良いのですが…せめて「フータくん」〜「オヤジ坊太郎」時期前後の黄金期?の作品だけでも、初出バージョンで全話収録したものが出ませんかね?
 
 
 
はじめまして (おおはた)
2019-03-24 22:20:49
 どうも、コメントありがとうございます。リストがお役に立てたようで、嬉しく思います。
 今回のリストにつきましては、「ないなら自分で作ってやろう」の精神でとりかかってしまいました。まだ、全国にはあたっていない図書館もたくさんありますので、何とかそちらで閲覧できればと思っています。本文にも書いたとおり、それでも見つからなければ古書を入手するしかありませんが。
 最終回の謎は、大きいですね。残っている初出不明のエピソードに最終回らしい話がないだけに、一体どれなんだろうと不思議に思っています。
 また、最終回を迎えて藤子先生や編集部から何らかのコメントはあったのか、なども気になりますので、ぜひ初出誌を確認したいです。
 いつになるかわかりませんが、リスト完成を目指して、今後も調査は続けていきます。
 
 
 
Unknown (親父ブー太郎)
2020-07-11 15:33:01
リスト制作お疲れ様です。少年キング1976 36号の最終回が手に入ったので、お伝えします。

最終回は、「燃えよ!坊太郎」です。扉絵に「さよなら〜〜〜〜!バイバ〜〜〜〜イ!」《最終回》と有ります。

藤子先生のコメントで「残念ですが、ここらで坊太郎を一休みしまーす!また会う日まで元気でいてね〜〜。ア〜〜、ゼブラホテルが見える、西日のあたるオンボロスタジオにて。ミ〜〜ン、ミ〜〜ン。(藤子不二雄)

と有り、スタッフのコメントも10件書いて有ります。
また、最後のページで「藤子不二雄先生は、構想をねるためにお休みをいただきます。また、次の作品で会いましょう。」と書いてあります。

少しでもお役に立てば、と思いコメントさせて頂きました。
 
 
 
最終回 (おおはた)
2020-08-02 19:36:45
 初出時の最終回は「燃えよ!坊太郎」でしたか。
 全然最終回らしくない話なので意外ですが、パワアコミックスの単行本では最終話の直前に収録されていますね。「ここらで坊太郎を一休み」と言うことであれば、最終回らしくないのも納得です。
 ともかく、貴重な情報を、ありがとうございます。データは、近いうちにリストに反映させていただきます。
 
コメントを投稿する
ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません
 
名前
タイトル
URL
コメント
コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。