『どろろ』新作アニメがスタート

『どろろ』原作および旧作アニメの展開と結末を明かしていますので、ご注意下さい

 当ブログ、新年一回目の更新だ。

 年が明けて、テレビアニメの新番組が次々と始まったが、その中の一つに手塚治虫原作『どろろ』がある。
 『どろろ』は、1969年にも虫プロダクションによって一度アニメ化されており、だから今回の新作は厳密に言えば「第2作」ということになる。

 その新作『どろろ』だが、今のところ放映された第2話までを観た限りでは、なかなかいい感じだ。
 本作の主人公の一人・百鬼丸は父・醍醐景光と魔物との契約によって体の四十八カ所を奪われた状態で生まれてきたという過酷な運命を背負っており、それ故に非常にインパクトがあるのだが、この設定は今の時代に再アニメ化は難しいのではないかと思っていた。
 しかし、本作では、醍醐景光と魔物との契約から百鬼丸の誕生までをしっかりと描いており、スタッフの本気度が伝わってくる第1話であった。もちろん、現代で『どろろ』をやる以上、多くの制約があろう事は容易に推察できるが、少なくとも観ている間はそういったことを感じさせないような話作りになっていたと思う。

 この『どろろ』という作品、主人公の一人は百鬼丸だが、もう一人の「どろろ」を忘れてはならない。
 百鬼丸とは違った意味で、どろろも過酷な人生を送っているが、これまで放映された第2話まででは、まだそれは語られてはいない。オープニングアニメではどろろの両親も登場しているので、いずれは触れられるのであろう。

 と、いった感じにいい具合に始まった『どろろ』だが、私が一番注目しているのは、締めくくりをはたしてどうするのかだ。

 『どろろ』は元々、週刊少年サンデーで連載された漫画だが、同誌では妖怪退治から宝探しに路線変更(伏線はあったが)したあげくに、宝は見つからず百鬼丸の体も完全には戻らないという中途半端な状態で連載終了してしまっている。
 その後、虫プロによる旧作アニメの放映に合わせて、「冒険王」で再び連載されることになるが、アニメとのタイアップ連載であるため、半年間で終了。現在、単行本で最終話として収録されているのはこの「冒険王」版の最終話である「ぬえの巻」と言うことになる。
 だが、この「ぬえの巻」でも、一揆は成功して醍醐景光は追放されるものの、百鬼丸の体は不完全なままでどろろとの別れを選ぶことになる。結局、『どろろ』は未完の作品なのだ。

 それに対して、旧作アニメは最終話のサブタイトルが「最後の妖怪」であり、四十八匹の魔物全てを最終話で倒したことになっている。
 「最後の妖怪」は、原作の「ぬえの巻」をベースに制作されたと思われる半アニメオリジナルのストーリーで、父・醍醐景光こそが最後の魔物となっていたという皮肉な展開となっている。
 いずれにしても最後は百鬼丸とどろろの別れで締めくくられるが、原作よりは旧作アニメの方がしっかり完結している。
 なお、旧作アニメは原作のうちで路線変更して宝探しがメインになった「週刊少年サンデー」掲載の後半分はアニメ化しておらず、最後まで妖怪退治メインの物語を貫いている。その点でも、一貫性のある作品と言えるだろう。
 と言っても、旧作アニメは第1クールはほぼ原作そのままのアニメ化(脚本なしで直接コンテを切る手法で制作)であったが、第2クールは『どろろと百鬼丸』とタイトルが変更されて1話完結となり、アニメオリジナルのストーリーも増えるなど、スタッフの苦労がうかがえる路線変更はあったのだが。

 ちなみに、「冒険王」掲載の最初の2回は「週刊少年サンデー」掲載文を改訂・再構成した内容であったが、そこでは「どろろは、百鬼丸から奪った体を使って作られた」という驚きの設定が追加されている。つまり、四十八匹の魔物をいちいち倒さなくても、どろろを殺せば百鬼丸の体は元に戻るのだ。
 これは、百鬼丸とどろろの関係に緊張感を持たせるための設定変更だと思われるが、単行本ではカットされているし、旧作アニメでも使われていない。今回の新作がどうするかは注目点だが、さすがにこんなマイナーなところからネタは拾わないだろう。第一、魔物を倒して百鬼丸の体の一部が元に戻っても、それでどろろの体がどうにかなるわけではないので、無理がありすぎる。

 今回、旧作アニメについて色々と言及したが、旧作アニメはDVD-BOXがリーズナブルな価格で発売されている(実売6,000円台くらい)ので、新作を観て興味を持たれた方は、ぜひご覧になるといいと思う。
 DVD-BOXだけでなく、各種アニメ配信でも観ることは出来るが、DVD-BOXは解説書が非常に充実しており、特にエンディング・クレジットはこれを読まないとわからないので、個人的にはDVD-BOXの方をお薦めしたい。

 さらに、せっかくだから原作についても言及しておこう。
 『どろろ』の原作はこれまで何度も単行本化されているが、初代の単行本である秋田書店のサンデーコミックス版がまだ現役だ。だから、そちらを読んでもいいのだが、サンデー・コミックスは一部のエピソードの順番が入れ替えられている(理由は不明)ので、初出順通りに読みたいのであれば、手塚治虫漫画全集か手塚治虫文庫全集(現在は、後者の方が手に入りやすいか)を選んだ方がいいだろう。
 原作を初出版で読みたい場合は、国書刊行会から「手塚治虫トレジャー・ボックス」と言うシリーズで『どろろ』も出ているが、気軽に手を出せるような価格ではない。せめて、セリフだけでも初出に近い状態で読みたい場合は、サンデーコミックスの古い版を探すといい。現在では「差別用語」とされて変更されているようなセリフが普通に載っている。こちらなら、古書価も初版でない限りはそんなに高くはなっていないはずだ。

 ともかく、新作アニメ『どろろ』は、まだ始まったばかりだ。
 これから、原作のどの要素が拾われて、どのように構成されるか。また、はたしてアニメオリジナルの妖怪は出てくるのか、など興味は尽きない。1クールで終わるのはもったいない気はするが、3ヶ月間注目して観ていきたい。
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