楽しみにしていた『完全復刻版 新寶島』が、本日届いた。
通常版にするか限定版にするかをギリギリまで悩んだが、特典内容について調べているうちに『オヤヂの宝島』が読みたくなったので、結局限定版に決めた。
これが限定版の外箱。豪華な感じでなかなかいいが、このまま本棚に並べるわけにもいかないのは、ちょっと困ったところか。
こちらは箱の中身。
『新寶島』復刻版本体および、『オヤヂの宝島』『タカラジマ』『新寶島読本』、そして複製原画3枚が入っている。まずは、復刻版本体を手にとってみた。
「英語で書いてあるぞ!! カッコイイ!」
藤子ファンなら、このアングルでの写真は欠かせない。
今回の復刻版が出た事で、手軽に『まんが道』ごっこが出来るようになった。いつか、高岡の古城公園へ行って、満賀・才野と『新宝島』(あえてこの字で表記)との出会いの場面を再現してみたいものだ。もちろん、満賀・才野だけでなく、激河大介役の人も忘れずに。そうなると、最低三人は必要だな。
そして、本を開いてみた。折り込み口絵に総扉、目次、登場人物紹介と続き、いよいよ本編。
章題「冒険の海え」。「へ」じゃなくて「え」?
『まんが道』では「冒険の海へ」だったし、以前に出版された『手塚治虫の『新宝島』その伝説と真実』での部分的再録も確かめたが、やはり「冒険の海へ」になっている。
どういう事かと不思議に思ってしまったが、『手塚治虫の『新宝島』その伝説と真実』をよく読むと、図版は昭和22年7月の版より引用したと書いてある。一方、今回の復刻版は初版本(昭和22年1月刊行)を元にしている。
要するに、初版本は仮名遣いが一部違っていたのだろう。本編のセリフでも「それは名案ぢゃ」「ここえ枯草をおいて」など、いくつか散見される。初版ならではと言う事で、興味深い。
さて、本編を一通り読んだが、さすがに今となっては筋立ては単純だし、話にご都合主義的なところが多いのも気になる。
講談社「手塚治虫漫画全集」で刊行された改訂版『新宝島』では最後に夢落ちが付け足されて、全体の構成も変えられているが、これを原本と読み比べてみると、全集版の「いまどきそんな宝さがしは夢みたいな話じゃよ」「天井の電灯をいつのまにランプにかえたんですか」などのセリフは、原本での時代を無視した筋立てに対して突っ込みを入れているように思えてしまう。
全集の「改訂版刊行のいきさつ」によると、原本は250ページ描かれた原稿を出版社の都合で190ページに縮められたそうだが、その元の原稿を見たくなってしまった。おそらく、こちらには時代錯誤な展開に対するフォローもあったのだろう。
また、原本での異様におっさん臭いバロン(ターザン)の顔は酒井七馬氏が描き変えたそうだが、これも全集版の顔になじんでしまっているせいで、読んでいてやけに気になってしまった。常に笑顔を絶やさないのも、なんだか怖い。
と、色々と気になった部分はあったが、それはそれとして、今回この復刻版が出たのはやはり快挙だ。何しろ、手塚プロが認めた公式な商業出版物としては、初めての復刻なのだ。
これまでは、「ジュンマンガ」が比較的入手容易な復刻本だったが、これはトレス復刻の上にサイズが小さく、それでいて古書価は3,000円ほどは付いており、少なくとも個人的には不満のある本だった。それが、2,000円で原本の初版にかなり忠実な復刻本が手に入るようになったのだから素晴らしい。
思い返せば、私が初めて全集版を読んだ時は、改訂版だと知らずに本を開いてオリジナルでない事にがっかりした覚えがある。
『まんが道』の「あすなろ編」を読んで「『新宝島』とはそんなにすごい漫画なのか!」との印象があっただけに、作中の満賀・才野、すなわち少年時代の藤子両先生と同じ『新宝島』を読む事が出来なかったのが残念だったのだ。
だから、今回の復刻でオリジナルを読む事ができて本当に嬉しいし、1984年当時の手塚先生が原本通りの復刻を拒んだ事も納得できた。いや、これは納得せざるを得ないと言った方が正しいかもしれない。
手塚作品では単行本での描き直し・描き換えは「当たり前の事」であり、『新宝島』を全集に入れるにあたって本来の構想通りに直すのは、手塚先生にとってごく当然の行為だったのだろう。実際、『ロストワールド』や『地底国の怪人』など他の初期単行本も、後になって雑誌連載の形でリメイクが行われている。
ただ、『新寶島』だけは「手塚治虫」単独の作品ではなく、その点で他の初期作品とは事情が違い、これまでその扱いも異なってきたのだろう。だからこそ、今回の復刻は意義が大きい。
この後は、『オヤヂの宝島』を読むとしよう。
こちらはせいぜい小冊子程度の本かと思っていたら、立派な製本で300ページもあったので驚いた。これはなかなか読みでがありそうだ。
逆に、もう一つの限定版特典『タカラジマ』は幼児向けのペラペラな本で、さすがに他愛のない内容だ。まあ、こんな機会でもないと復刻の企画も出しにくいだろうから、オマケとしてはOKだ。
通常版にするか限定版にするかをギリギリまで悩んだが、特典内容について調べているうちに『オヤヂの宝島』が読みたくなったので、結局限定版に決めた。
これが限定版の外箱。豪華な感じでなかなかいいが、このまま本棚に並べるわけにもいかないのは、ちょっと困ったところか。
こちらは箱の中身。
『新寶島』復刻版本体および、『オヤヂの宝島』『タカラジマ』『新寶島読本』、そして複製原画3枚が入っている。まずは、復刻版本体を手にとってみた。
「英語で書いてあるぞ!! カッコイイ!」
藤子ファンなら、このアングルでの写真は欠かせない。
今回の復刻版が出た事で、手軽に『まんが道』ごっこが出来るようになった。いつか、高岡の古城公園へ行って、満賀・才野と『新宝島』(あえてこの字で表記)との出会いの場面を再現してみたいものだ。もちろん、満賀・才野だけでなく、激河大介役の人も忘れずに。そうなると、最低三人は必要だな。
そして、本を開いてみた。折り込み口絵に総扉、目次、登場人物紹介と続き、いよいよ本編。
章題「冒険の海え」。「へ」じゃなくて「え」?
『まんが道』では「冒険の海へ」だったし、以前に出版された『手塚治虫の『新宝島』その伝説と真実』での部分的再録も確かめたが、やはり「冒険の海へ」になっている。
どういう事かと不思議に思ってしまったが、『手塚治虫の『新宝島』その伝説と真実』をよく読むと、図版は昭和22年7月の版より引用したと書いてある。一方、今回の復刻版は初版本(昭和22年1月刊行)を元にしている。
要するに、初版本は仮名遣いが一部違っていたのだろう。本編のセリフでも「それは名案ぢゃ」「ここえ枯草をおいて」など、いくつか散見される。初版ならではと言う事で、興味深い。
さて、本編を一通り読んだが、さすがに今となっては筋立ては単純だし、話にご都合主義的なところが多いのも気になる。
講談社「手塚治虫漫画全集」で刊行された改訂版『新宝島』では最後に夢落ちが付け足されて、全体の構成も変えられているが、これを原本と読み比べてみると、全集版の「いまどきそんな宝さがしは夢みたいな話じゃよ」「天井の電灯をいつのまにランプにかえたんですか」などのセリフは、原本での時代を無視した筋立てに対して突っ込みを入れているように思えてしまう。
全集の「改訂版刊行のいきさつ」によると、原本は250ページ描かれた原稿を出版社の都合で190ページに縮められたそうだが、その元の原稿を見たくなってしまった。おそらく、こちらには時代錯誤な展開に対するフォローもあったのだろう。
また、原本での異様におっさん臭いバロン(ターザン)の顔は酒井七馬氏が描き変えたそうだが、これも全集版の顔になじんでしまっているせいで、読んでいてやけに気になってしまった。常に笑顔を絶やさないのも、なんだか怖い。
と、色々と気になった部分はあったが、それはそれとして、今回この復刻版が出たのはやはり快挙だ。何しろ、手塚プロが認めた公式な商業出版物としては、初めての復刻なのだ。
これまでは、「ジュンマンガ」が比較的入手容易な復刻本だったが、これはトレス復刻の上にサイズが小さく、それでいて古書価は3,000円ほどは付いており、少なくとも個人的には不満のある本だった。それが、2,000円で原本の初版にかなり忠実な復刻本が手に入るようになったのだから素晴らしい。
思い返せば、私が初めて全集版を読んだ時は、改訂版だと知らずに本を開いてオリジナルでない事にがっかりした覚えがある。
『まんが道』の「あすなろ編」を読んで「『新宝島』とはそんなにすごい漫画なのか!」との印象があっただけに、作中の満賀・才野、すなわち少年時代の藤子両先生と同じ『新宝島』を読む事が出来なかったのが残念だったのだ。
だから、今回の復刻でオリジナルを読む事ができて本当に嬉しいし、1984年当時の手塚先生が原本通りの復刻を拒んだ事も納得できた。いや、これは納得せざるを得ないと言った方が正しいかもしれない。
手塚作品では単行本での描き直し・描き換えは「当たり前の事」であり、『新宝島』を全集に入れるにあたって本来の構想通りに直すのは、手塚先生にとってごく当然の行為だったのだろう。実際、『ロストワールド』や『地底国の怪人』など他の初期単行本も、後になって雑誌連載の形でリメイクが行われている。
ただ、『新寶島』だけは「手塚治虫」単独の作品ではなく、その点で他の初期作品とは事情が違い、これまでその扱いも異なってきたのだろう。だからこそ、今回の復刻は意義が大きい。
この後は、『オヤヂの宝島』を読むとしよう。
こちらはせいぜい小冊子程度の本かと思っていたら、立派な製本で300ページもあったので驚いた。これはなかなか読みでがありそうだ。
逆に、もう一つの限定版特典『タカラジマ』は幼児向けのペラペラな本で、さすがに他愛のない内容だ。まあ、こんな機会でもないと復刻の企画も出しにくいだろうから、オマケとしてはOKだ。