「やっとかめ探偵団」第1話感想

 昨日から、テレビ愛知ローカルアニメ「やっとかめ探偵団」の放映がついに始まった。


 さっそく観てみたが、期待通りにテレビアニメ史上初と言える程のリアルな名古屋弁を聞くことが出来て、これだけでお腹いっぱいになりそうだった。
 これまで、アニメの名古屋弁と言えば、語尾に「だぎゃー」「だがや」などを付けるだけの安直なものが多かった。いい加減な関西弁が多い事については以前に書いたが、名古屋弁はアニメに登場する頻度こそ関西弁より少ないものの、いい加減さは関西弁以上かもしれない。それだけに、ようやくテレビアニメでまともな名古屋弁を聞くことが出来て嬉しかった。

 一口に名古屋弁と言っても、老人から子供まで世代によってかなりの違いがある。
 本作ではそれにもこだわっており、主人公のマツばあちゃんをはじめとする老人世代はコテコテの名古屋弁だが、マツばあちゃんの孫で小学六年生の舞は、イントネーションは名古屋訛りで言葉自体は語尾に特徴がある程度にとどめるなど、きちんと現代の名古屋における世代別の名古屋弁を使い分けている。
 これも、出演者を愛知県(特に尾張地方)出身者で固めた上で、さらに方言担当のスタッフを置いているからこそ出来たことだろう。方言は、やはり地元出身者が喋るのが一番自然に聞こえるに決まっている。


 名古屋弁の話ばかりになってしまったが、本編はしっかり殺人事件が起こる本格的な推理物になっており、さらに、第一被害者の老人のスケベっぷり(風呂覗き等)や嫁との確執などがリアルに描かれており、日曜朝7時の時間帯にしては重い話でびっくりした。
 おそらく、最初から放映枠が決まっていたわけでなく、結果的にこの枠しか見つからなかったのではないだろうか。なにしろ、本来なら昨年秋に放映されていたはずの作品なのだ。
 初回から「次回に続く」で終わったので、ストーリー等の評価はまだ難しいが、第1話らしく登場人物はしっかり紹介されており、作品世界には入りやすかったし、何より全編名古屋弁と言うことで自然に視聴できるので、とりあえず次回以降も観続けたい。
 期待していた後藤邑子の名古屋弁がたっぷり聞けたのも嬉しかった。本編を観るまで気付かなかったが、杉山佳寿子&後藤邑子のコンビは、言われてみれば「ふしぎ星の☆ふたご姫」のキャメロットとレインだ。実際、後藤さんの舞の演技は、ほぼレインが名古屋弁になった感じと言って間違いないと思う。


 それにしても、本編を観て、これが他の地域で放映できなかった事に納得してしまった。これだけ名古屋弁が飛び交っていては、東京のテレビ局が放映に二の足を踏むのもわかる気がする。私は関西出身だが、20年以上名古屋に住んでいるので、すんなりと聞く事が出来たが、普段名古屋弁に接していない人が観たら引いてしまいそうだ。
 しかし、できれば本作のような正しい名古屋弁が聞ける作品こそ、愛知県以外の地域でも放映して欲しい。今後、放映局が増える事を期待している。
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2007年9-10月終了アニメ感想

 10月に入って、続々とアニメ新番組がはじまっているが、第1週スタートの作品をざっと観た限りでは、今期は視聴作品がかなり減りそうだ。
 何度も書いているが、アニメ鑑賞以外にもやりたい事・しなければならない事はたくさんあるので、「観たい」と思う番組がそれほど多くないのは、現状では有りがたい事だ。キー局・U局ともに4月期に比べて新番組の作品数自体が減っているし、そろそろテレビアニメも落ち着いて観られる時代の到来を期待している。


 その一方で、終わった作品もたくさんある。
 7月改編では終了番組の感想を書かなかったが、今回は一通り書いておきたい。最終話まで観ての感想という性質上、結末までのネタを割ってしまわざるを得ないので、未見の方はご注意を。




・ドージンワーク(テレビ愛知・9/18終了)

 楽しい「声優バラエティー番組」でした。
 はっきり言って完全にBパートメインで観ており、Aパートのアニメ(本来、こちらが本編のはず)は、ほとんど印象に残っていない。アニメパートは30分番組換算で6話分しかないのでエピソード自体少ないし、何と言っても実写パートが強烈すぎた。

 実写パートでちょっと惜しいと思ったのは、B最終話どころか第11話の放映前に「同人誌は完成するのか、それともお詫び回になるのか」と言うオチが割れてしまっていた点だ。いっその事、即売会を最終話の放映日に合わせて開催すればよかったのだろうが、U局深夜アニメという放映形態では、難しいのだろう。
 ともかく、Bパートでの斎藤桃子・こやまきみこの暴挙の数々が面白かった。ネタとしては、オチは「お詫び会」にして、「恥ずかしい格好」をして欲しかったところだ。




・らき☆すた(テレビ愛知・9/19終了)

 監督交代や露骨な角川の宣伝など、気になる部分は散見されたが、全体としては楽しめた作品だった。
 ハルヒネタの多さはちょっとやりすぎかと思ったが、原作を無視しているわけではなく上手く話に組み込まれていたので、ネタとして観ている分には面白かった。もっとも、私がアニメの「ハルヒ」も観て、今年3月の「激奏」にも行っているからこそ、そう感じるのであり、「ハルヒ」に興味のない視聴者にとっては、邪魔な要素だっただろう。
 本編の色々なネタはよかったのだが、第13話以降の白石稔EDだけは未だにどんな意図で企画されたのか理解できない。あれは「白石稔劇場」とでもタイトルを付けた別番組にして欲しかった。前半のED集「ある日のカラオケボックス」はCDを買ったが、白石EDのCDはとても買う気にはなれない。実際、どの程度売れるのかが興味深い。




・さよなら絶望先生(テレビ愛知・9/24終了)

 3月まで放送していた「ネギま!?」と制作会社・スタッフがほぼ同一だが、オリジナル展開だった「ネギま!?」とが違って、こちらは意外なほど「原作通り」だった。第11話のネタをやるために、あえてそうしたのだろうか。それは冗談としても、本作は原作とアニメスタッフとの親和性がピッタリだったと思う。
 とは言え、頻繁なOP変更や黒板ネタ、実写(顔写真)使用など、新房監督らしい演出は随所に観られて、漫画「さよなら絶望先生」のアニメとしても、新房昭之監督のアニメとしても楽しめた作品だった。
 しかし、久米田作品の特徴である「ネタの羅列」は、漫画では自分のペースで読めるが、アニメでやられるといちいち一時停止して画面を読まなければいけないから、ちょっと面倒くさかった。漫画とアニメの表現媒体としての違いがはっきりあらわれた部分だろう。




・ケンコー全裸系水泳部 ウミショー(テレビ愛知・9/25終了)

 7月スタートの作品では、一番気に入って観ていた。
 原作はほぼ未読でアニメから入ったのだが、話の構成もキャラクターデザインも原作の味を上手く活かして作られており、原作を後から読んでも違和感なく楽しむ事が出来て、アニメの序盤を観たところで原作も気に入って、既刊全巻を揃えてしまった。

 1クール全13話と言う話数制約のせいかアニメ化されなかったエピソードも多いし、イカマサ弟のように存在すら消されたキャラもいるのはもったいないが、そのお陰できちんと完結しており、テレビシリーズの1作品としては綺麗にまとまっていた。
 特に、最終話は原作のインターハイで描かれたエピソードを関東大会に置き換えているが、クライマックスにふさわしい盛り上がりになっていた。しかも、Bパートでは、原作でもまだ明らかにされていない「要の子供時代に出会った人魚」の正体まではっきり描かれたのは驚きだった。人魚の正体は、ほとんどの読者の想像通りに子供時代のあむろだった訳だが、それでもこの部分は原作に配慮してぼかしたまま終わると思っていたので、意外だった。
 まあ、最終話ED後に流れたCパートはもっと思い切った展開だった訳だが。あれは、二期の予告なのか原作の販促なのか判断に困るが、少なくとも原作未読者にとっては気になるシーン満載だった事だろう。

 短いながらも密度の濃い全13話だったが、唯一残念だった点を挙げるとすれば、揉乳同盟に亀裂が入った後、オチがつけられないまま終わってしまった点くらいだろうか。「牛の写真」はぜひ入れて欲しかった。




・ロミオ×ジュリエット(CBC・9/26終了)

 最初はかなり期待していたのだが、結果的には「残念な作品」に終わってしまった。

 ロミオとジュリエットの恋、モンタギュー大公の独裁への革命、浮遊大陸とエスカラスの運命と、作品の根幹となる要素がそれぞれバラバラに進行してしまい、特に浮遊大陸とエスカラスの設定は、結末を原案通りの「二人の死」で終わらせるためだけに延々と引っ張ったように見えてしまい、全体の構成に問題があったと思う。
 また、第16話が作画崩壊した時にも少し触れたが、登場人物の行動に無理を感じる箇所が多く見受けられて、「そんなに都合よく話が進むわけがないだろう」と突っ込みたい部分が多々あった。
 何より、ジュリエットの行動の一貫性の無さが、最も気になったところだ。たとえば、終盤の「赤い旋風」復活は人心をつかむための展開として描かれているが、一歩間違えれば医者の犠牲が無駄になってしまっていたところであり、あえてジュリエットが「赤い旋風」として登場した行動には疑問を感じざるを得なかった。

 こうやって作品を見返すと、丁寧に作れば傑作とは言わないまでも佳作には十分なり得た素材だけに、残念だと言わざるを得ない。




・ぼくらの(テレビ愛知・9/27終了)

 第10話の時点ではこのように書いた通り、監督がどんな考えで制作しているかどうかはともかく、アニメ作品としては面白いと思っていたのだが、全24話を見終えた感想としては「1クール目に騙された」気分だ。

 私は今のところ原作未読だが、それでも1クール目と2クール目が別物と言っていいほど乖離しており、それが2クール目でアニメオリジナル展開に入ったためだと容易に想像が付く。
 1クール目は、あくまで少年少女達が主人公で、文字通り命をかけて戦う姿が丁寧に描かれていたのに、2クール目は極道や財界の黒幕など大人の描写がメインになってしまい、ジアースのパイロット達は大人の都合に振り回されているようにしか見えなかった。
 オリジナル展開でも話が面白ければ文句はないが、大人中心に進んだあげく、第19話のようにヤクザの過去話で丸々1話を使って、しかもそれが本当に「過去を語るだけ」で本筋とは関係ないエピソードでは、困る。
 ジアースの動力や戦闘の引き継ぎなど作品の核となる謎も、最終話でジアースを解体することで曖昧なままにされてしまったし、2クール目の展開そのものがスタッフの「大人の都合」だったとしか思えない。

 全体として、ストーリーはちぐはぐで、伏線の回収も不完全で残念な作品だ。
 ただ、1クール目は面白かったので、いずれ原作を読もうと思っているし、石川智晶による主題歌はOP・EDともに名曲だった。これらに出会うきっかけとなっただけでも、よしとしよう。




・瀬戸の花嫁(テレビ愛知・10/1終了)

 放映開始前は、期待していなかった作品。
 監督が「ギャラクシーエンジェる~ん」の岸誠二氏で、しかも放映枠まで「GAる~ん」と同じなので、「GAる~ん」の二の舞の、寒い作品になってしまうのではと思っていた。

 実際に、「勢いだけで突っ走る」タイプの演出自体は「GAる~ん」とあまり変わらない印象だったが、この作品には演出の方向性がうまくマッチしていて、ギャグのテンポもよく、単純に観ていて楽しめる作品だった。
 本作に関しては、声優陣の演技もノリノリで楽しかった。岸監督が以前に手がけた「マジカノ」にも出ていた人が多いので、信頼できる人を集めたのだろう。その点でも、最初からキャストが決まっていた「GAる~ん」とは条件が違う。
 「絶望先生」の項でも少し触れたが、原作とアニメスタッフとの相性は大切な事だと、あらためて思った作品だった。



・怪物王女(CBC・10/3終了)

 こちらも放映開始前はあまり期待していなかったのだが、4月開始の2クール作品の中では一番楽しめた。
 あまりに直球過ぎる「萌え版「怪物くん」」設定は、ちょっとやりすぎではないかと思ったが、観続けているうちに、姫の「ふふん」やフランドルの「ふが」が頭から離れなくなってしまい、いつのまにか作品にすっかり馴染んでしまっていた。リザや令裡も含めて、メインキャラの個性が作品を引っ張っていた印象がある。

 ストーリーは原作と比べるとヌルく改変されていたエピソードが多いが、アニメ版はアニメ版で独立した作品として観れば面白い。そう言えば、終盤の第23話「死霊王女」、第24話「決闘王女」あたりはアニメ開始時にまだ原作が描かれていなかったが、最初から全体のシリーズ構成が出来ていたわけではないのか。
 しかし、第25話が地上波ではTBSのみで、CBCとKBS京都では第24話で終了というのは納得できない。なんという地域格差だろう。まあ、第25話は番外編だし、さらに第26話が完全未放映話としてDVDに収録されるようなので、DVDリリースを待つとしよう。

 それにしても、第1話と第24話をくらべると、「ふふん」がかなり進化している。第1話など、ほとんど棒読みだからなあ。川澄さんも、姫の役作りには苦労していたことが伺える。
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