十七音のアンソロジー★。・.:・゜'☆,。.:・゜'★

虚と実のあはひに遊ぶ  Since 2008 by Midori♡ H

2018-11-05 | Weblog
逝きし空より雁の来りけり      岩岡中正

同じ「空」でありながら、人逝きし「空」であり、また雁の来る「空」であるという。対照的な感慨は、ひとつの諦観であり、死生観でもあるのだろうか。

かりがねの数ほど人を逝かせけり     〃

続いて掲載されている句だが、「人を逝かせけり」には、前者の「人逝きし」とは違って、人知の及ばない天の采配が感じられる。「生」と「死」が等価値に置かれて、余韻のある一句である。この秋、義父が亡くなって、はやひと月。私にとって感慨深い連作となった。「阿蘇」11月号より抄出。(Midori)