ガリバー通信

「自然・いのち・元気」をモットーに「ガリバー」が綴る、出逢い・自然・子ども・音楽・旅・料理・野球・政治・京田辺など。

身につまされた「明日の記憶」

2007年07月02日 | 感じたこと
 昨夜放映された、渡辺謙主演、樋口可南子助演の「明日の記憶」を久しぶりに家庭のテレビで観た。

 私は映画は映画館で観たい方で、なかなか家庭での映画の鑑賞は難しく、最初から最後までテレビの前で観るのは難しいのだが、今回の映画は身につまされる思いもして、最後まで見た。

 昨年5月に公開された時も、チャンスがあれば観たいと思っていた映画で、偶然にも夜9時の放映開始時間にテレビのチャンネルを合わせたので、これも「出会い」のひとつで、何かの縁だと思って観たのである。

 ご存知の様に、「明日の記憶」は、萩原浩の小説を基にした日本映画で、若年性痴呆症を突然発症した、仕事一図の中年男、渡辺謙演じる「佐伯雅行」とその妻、樋口可南子演ずる「枝実子」を中心としたドラマである。

 広告代理店の営業部長として仕事に生きる男が、家庭も省みず頑張っている最中に、突如「物忘れ」や「めまい・幻覚」などの不可解な体調不良が続くのである。

 妻、枝実子に促されて、しぶしぶ病院を訪れ診察を受け、若い医師から「若年性のアルツハイマー病」という診断結果を知らされる。

 知らないうちに自分の体内で起きた病気の発症に、彼は錯乱し自暴自棄となり、病院の屋上から飛び降りようとするが、医師と妻の説得に思い留まり、妻の介護の下で、病気と向き合う生活が始まる。

 しかし、会社人間として仕事を続けていても失敗を繰り返し、その内上司に病気が判明し、部長をはずされ窓際の仕事に追いやられる。

 娘の「できちゃった婚」で近々結婚式という大事な時期に、彼自身と妻は、葛藤しながら病気と付き合いながら、その日を迎えるのである。

 中年夫婦に突如訪れた「不幸」であるが、テレビを前にして、我が身もいつ何時、どんな病気に襲われて、家内や多くの人に迷惑をかけたり、介護される対象となるかもしれないと、身につまされた感じで、この映画を鑑賞したのである。

 この映画は中年夫婦に突如訪れた「不幸」である「病気」を乗り越えての「夫婦愛」が描かれているわけだけれど、進行する痴呆症の途上で、主人公は「陶芸教室」に通い、一生懸命創った「湯呑み」に、連れ合いである妻の名「枝実子」を「えみこ」と刻むのである。

 しかし、最後のシーンは感動であった。

 昔若い頃に、「枝実子」と出会った山奥の「陶芸の師匠」を訪ねた主人公が、一晩師匠と飲み明かして朝を迎え、駅への帰えり道で、心配して迎えに来た妻とすれ違うのだが、とうとう妻をも忘れてしまっているのである。

 妻、枝実子は、立ち止まって泣き出すが、すぐに気を取り直して、改めて覚悟を決めて、「一緒に駅まで」と歩き出すのである。

 長年連れ添った中年夫婦の愛が、そこにあり、何とも言えぬ「感動」であった。
 
コメント (1)
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