ガリバー通信

「自然・いのち・元気」をモットーに「ガリバー」が綴る、出逢い・自然・子ども・音楽・旅・料理・野球・政治・京田辺など。

「救心」を買いに走る

2007年01月24日 | 地域の話題
 市議会議員としての個人の議会報告を、やっと編集し終えて、B4の再生紙に裏表印刷し、刷り上った「ガリバー通信」を家人に手伝ってもらって二つ折りにして、いざ配布へと出かけたのである。

 今回は9000部刷って、市内の住宅へポスティングしていくわけだが、外はまだまだ寒いが、配り出して15分もすると、汗をかき出すくらいで、いい運動にもなるし、それぞれの地域の現状の一端を垣間見ることも出来るので、結構愉しいものである。

 玄関先でお家の方と出会って挨拶を交わしたり、少しでも知っている方の場合は、あれこれと話込むこともあって、予定通りに配布数が伸びない場合もあるが、いつもは聞けない行政への不満や感じられている問題などを指摘されたりして、ありがたいと思ったりもする。

 そんな中のお一人暮らしの80歳を超えた女性が、いつも私の議会通信を50部ほど近くに配って下さっているので、今回もお願いに伺った時のことである。

 夕食後の夜分に伺ったところ、インターホーンから弱弱しい返事が返ってきたので、ちょっと風邪でも引かれているのかと思ってお尋ねすると、昨今の殺人事件の続発をテレビで観ていて、気分が悪くなって、ちょっとしんどいので「救心」を買いたいとのこと。

 一緒に車で買いに連れて行って下さいと頼まれた。それなら僕がお金を預かって薬屋さんに行って買って来ましょうと車を走らせて近くの薬屋さんへ。

 二千円預かったのだが、60錠入りの箱しかなく3800円で、30錠入りの小さな箱がない。自分の手持ちもなかったので、別のスーパーの薬局へ行くと、小さな箱が1780円であった。

 釣銭と「救心」の小箱をビニール袋に入れて、20分ほどで彼女の家に戻って、玄関先で話し込んでしまった。

 テレビで報道されている、殺人事件やいじめによる自殺など、他人事ではあるが、人間の生き死にの話題が多くて、胸が苦しくなっておられた彼女だが、小さい時から女学校、そして結婚して子どもさんが大きくなった頃と、何度も死にかけたことが自分にもあったと話されたのである。

 私の母よりも少しお若いが、人生の大先輩の彼女の人生にも、いろんな苦悩と事件があったし、自殺も考えたこともあると言う。

 能登半島のある断崖絶壁で、死のうと思って荒波に向かって自分の日記帳をまず捨てたところ、白波にページがばらばらになった日記が打ち上げられて返ってきたと言う。

 それで、ここでは死ねないと諦めたと淡々と語られたのである。

 しばらく話しているうちに、「だいぶ元気になった。ありがとう」とおっしゃって笑顔を見せられたので、「救心」は必要ないかもしれないが、ちよっと安心して別れを告げることが出来たのである。

 人を救うのは「救心」だけではなく、お喋りの場合もあるのではないかと思ったのである。

 
コメント (1)
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