ガリバー通信

「自然・いのち・元気」をモットーに「ガリバー」が綴る、出逢い・自然・子ども・音楽・旅・料理・野球・政治・京田辺など。

古い辞書の一ページ

2007年01月23日 | 感じたこと
 辞書は三省堂と言われていた時代の英語の古い辞書が、私の書斎の机のパソコンの横に、他の辞典類と共に並んでいるのだが、ほとんど使わないSANSEIDO'S NEW CONCISE DICTIONARYが、何かを言いたかったのであろう。

 昭和34年10月発行と記された「最新コンサイス和英辞典」は、定価380円と記されていて、たぶん中学に入る少し前に買った、英和と和英の二冊の英語辞書の片割れなのだろう。
 
 もう一冊は、何故か友人の名前が最後のページにローマ字で書かれた、岩波書店1969年1月発行、定価800円の、総皮装特製品なのだが、裏表紙が破れて、今手元に持つと、ばらばらと表紙の皮の部分が小さなゴミとなって落ちる。

 私の本来の所有物である「三省堂の和英辞典」の一ページが、本体から破れて、くしゃくしゃになって、机の隅から出てきたのである。

 「辞書かく語り記」ではないが、何やら私と全世界に伝えたいことがあるらしく思えてならない。

 ページ数は25.26ページの一枚なのだが、その何かを読み取ろうと私は必死になって小さな文字を追っている。

 最初に「発見される」BE DISCOVERED とあったことに、まず驚いた。次に目に留まったのが、「あれっきり」SINCE(that time)であった。

 昔、父から聞いた話だが、戦時中は「煙草」を吸いたくても手に入らなかったため、刻み煙草やシケモクと言われた、一度吸われたタバコの残りなども大切に取っておいて、この英語の辞書の薄い紙を一枚、一枚ちぎって煙草の葉を巻き、ちょうどいい葉巻となったそうである。

 また、受験生が一生懸命に英語の単語を覚えようとして、どうしても頭に入らない時は、その言葉が書かれた「辞書」のページをちぎって口に入れたら覚えられたと言うのである。

 いずれにせよ、コンサイスの辞書に使われている薄い紙は、今では何処にでもある辞書用紙かもしれないが、戦前、戦中の時代には、貴重な紙として大切な辞書の内容よりも他用されたことがあるみたいだ。

 続けて小さな文字を読んでみると、「荒れる」RUN(be laid)、「アレルギー」、「あれやこれや」と続き、「有り余る」ときた。

 「有り余る」は、HAVE MORE THAN ENOUGH とある。
 
 裏のページには、「有り難い」があり、有り難い説教として、AN EDIFYING SERMON とある。

 「ありか」(所在)は、WHERE ABOUTS とあり、最後の言葉が「有り得る」、POSSIBLE であった。

 つまり、中学、高校時代、そして大学でもお世話になったはずの、英語の辞書が「あれっきり」使われなくて、「発見された」のである。

 その「在処か」は、自分の机であり、「有り難いお説教」の様な、「有り得ること」なのであった。何とも「荒れた」り、「アレルギー」だったりした英語だが、またゆっくりと付き合いたいものである。
コメント (1)
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