A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

不失者 Fushitsusha@高円寺ShowBoat 2019.12.30 mon

2020年01月02日 01時22分13秒 | 灰野敬二さんのこと


灰野敬二 Keiji Haino-2019年最終公演
不失者 -Fushitsusha-


2019年12月30日(月)東京・高円寺ShowBoat
開場 18:00/開演 19:00
前売¥4,300/当日¥4,800(税込・別途ドリンク代¥600)

【出演】不失者 -Fushitsusha-
灰野敬二 : vo, g, hardygurdy, perc, etc.
ナスノミツル : b, perc
Ryosuke Kiyasu : da, perc



2019年不失者のライヴは3回開催された。
5月3日(金・祝) 東京 渋谷WWW
不失者の日
LINE UP
不失者

10月18日(土) 福岡UTERO
GOUACHE fukuoka mens & meld presents 『不失者ライブ』
不失者(灰野敬二、ナスノミツル、RyosukeKiyasu)
ドンマツオ(ズボンズ)
Nyantora(ナカコー)+duenn

また5月3日WWW公演に先立ってドミューンで不失者特集が放送された。

4月17日(水)東京 西麻布DOMMUNE
「20190503 1800 WWW 不失者の日」記念4時間番組!
不失者「在り続けること」
出演:不失者(灰野敬二、ナスノミツル、Ryosuke Kiyasu)


2019.5.3 Shibuya WWW / Photo by 船木和倖

バンドとしての活動回数は多くはないが、ひとつひとつの活動の密度が途轍もなく濃い。4時間超えのライヴは他のアーティストでもあるが、曲の構成や形態が毎回全く異なる演奏は不失者以外に知らない。「即興」を掲げる演奏家は数多いが、不失者の場合はすべて綿密なリハーサルを重ねて披露される。その意味では各パートの演奏をすべて楽譜に書き起こして8ヶ月のリハーサルによりアヴァンギャルドロックの名作『トラウト・マスク・レプリカ』を産み出したというキャプテン・ビーフハートの方法論を受け継いでいるのかもしれない。ここ数年ライヴの度に演奏の難易度が高まっている印象があるが、それが難解・晦渋に陥ることなく、逆に歌詞や曲のイメージを明快に表している事実は、灰野とメンバーが共通の意識で創造活動を共にしている証拠だろう。


2019.5.3 Shibuya WWW / Photo by 船木和倖

2019年の最後を飾る高円寺ShowBoatでの不失者ワンマンライヴは立見スペースも身動きでいないほどの動員の中、例年よりもスムーズに15分押しでスタート。ベースとドラムが重たい打撃音を放射する中、灰野が鋭いギターで切り裂く。深いリバーヴにもかかわらず歌詞がはっきり聴き取れる。水の中を泳ぐようなスローな曲調だが、発する音が観客の耳まで届くスピードは光よりも早く感じされる。灰野が曾て語った「自分の出す音に対する覚悟」が貫かれているからだろう。第一部の最後に演奏された子守唄のように甘いメロディーの静謐なナンバーも、夢みるような酩酊感ではなく、意識を覚醒するメッセージが感じられる。「暗号」「おまえ」「いみくずし」といった定番曲が、歌詞を聴いて初めて曲名がわかるほど解体&再構築された演奏で披露され、聴いたことがあるのか初めてなのか頭が混乱するパラドックスに眩惑される。印象に残ったのは第1部の後半で3人全員パーカッションをランダムに叩いているように見えたパート。そのまま楽器で演奏した曲に繋がった、つまりドラムやべースやギターを使わずパーカッションだけで不失者の曲を演奏したのである。音程やメロディなんてなくても音楽に「魂」があれば聴き手に伝えられるわけである。


2019.5.3 Shibuya WWW / Photo by 船木和倖

曲調や演奏が常に変化するのは目的や手段ではなく、音楽の「魂」を少しも失われることなく表現し伝えようとする行為の結果に他ならない。それこそが40年に亘って貫かれてきた不失者の在るべき姿である。次にどんな形に変化するかはわからない。だからこそ私は不失者(灰野敬二)を18年間追い続けてきた。そのモチベーションは年々深まるばかりである。


2019.5.3 Shibuya WWW / Photo by 船木和倖

2020年
音の形は
どう変わる

▼ヘンリー・ロリンズ氏が来場。不失者を観るためにロサンゼルスから飛んで来たという。



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