Photo by Franscisco Martinelli
音楽情報サイト『JazzTokyo - Jazz and Far Beyond』最新号が更新された。カバー・ストーリーは「パット・マルティーノ」と「追悼ジョージ・ウィーン」。剛田武は以下の記事を寄稿した。
●Mujician /10 10 10
⇒#2127 『Mujician / 10 10 10』『ミュージシャン / 10 10 10』
英国ジャズの魔術的音楽家カルテットの遺作。
伝統的な英国の風土と自由で多面的な音楽経験に支えられた4人の“ミュージシャン≒マジシャン”の表現の前では、Free MusicやNon-Idiomatic Improvisationといった鹿爪らしいお題目は忘却の彼方へ消え去ってしまう。
Mujician - "10 10 10" [excerpt] from '10 10 10' (Cuneiform Records)
2013年と2015年にキース・ティペットの来日公演を観た。彼が「Mujician」として80年代に始めたソロ演奏の実演で、木製ブロックや玩具を使ったピアノ内部奏法による不思議な音響が面白かった。プリペアド・ピアノとも呼ばれる内部奏法は、今年6月28日に亡くなったジャズピアニスト、バートン・グリーンも得意としていた。二人の間に交流があったかどうかは分からないが、筆者が敬愛する英米2大即興ピアニストがどちらも異端プレイを世に問うたことは偶然ではない。そんな異端美学の実践者が二人も天に召されてしまったことは、浮世にとっては大きな損失だが、天上変態音楽愛好界では大いに祝福されているかもしれない。二人のコラボを聴きたければ、やはり霊媒師に頼むしかないのだろうか。
Burton Greene / Silke Röllig Duo: "Space Is Still the Place"
Keith Tippett - Mujician
キース&バートン
プリペアド・ピアノ・デュオ
イン・ヘヴン
A Celebration of Keith Tippett
レビュー掲載とシンクロしたのだろうか、10月1日・2日に生誕地であり、本作がレコーディングされた街ブリストルで、キース・ティペット追悼コンサートが開催された。本作に参加したPaul DunmallとPaul Rogersの他にKevin Figes, Julie Tippetts, Theo May, Matthew Bourneなど38人のミュージシャンが参加し10組のバンドが出演、ティペットの偉業を称えたという。
Keith Tippett Celebration Event October 2021
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