A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

非常階段/BiS/QP-CRAZY/_ _ _ _*(テイヘン)etc.@四谷アウトブレイク 2012.11.18 (sun)

2012年11月20日 00時42分01秒 | 素晴らしき変態音楽


自家発電 vol.00 
【第1部】JOJO広重のノイズ大学 四ツ谷分校 ACT:非常階段/山本精一/大友良英
【第2部】ライブとショウ ACT:BiS/非常階段/QP-CRAZY/_ _ _ _*(テイヘン)/谷桃子・古崎瞳/ギュウゾウ(電撃ネットワーク)/ザ ショッキング/師範 勝村筑蟇/DJオッチー

8月末の発表の時から楽しみにしていた非常階段絡みのイベント「自家発電 vol.00」が遂に開催。発表当初マル秘だった新世代アイドル・グループBiSの出演が10月に公表されるや否やアッと言う間にチケットはソールド・アウト。アウトブレイクはキャパ200人くらいなのでBiS以外の面子でも動員的には問題なかったかもしれない。しかしイベントの意義としては異分子の注入のがあるなしで大きな違いがある。BiSの出演、および非常階段との合体「BiS階段」の実現があったからこそ「自家発電」というイベントが重要な意味を持つのだと思う。

開催前日に主催者から発表された【ご来場のお客様へ*注意事項一覧】に下記の文章が掲載されていた。

観覧のご注意点>>演目によっては、お客様の衣類や持ち物が汚れたり、野菜炒め的なにおい他が立ちこめる可能性があり ます。怖い、汚い、ことは一切ありませんが、念のため、心臓の弱い方、逃げ足の遅い方は中後方でのご観覧をオススメします。※衣類等の汚れ、怪我、盗難に ついては、主催者、演者、会場も一切責任を負いませんので、ご自身での管理を宜しくお願い致します。

「野菜炒め的なにおい」って妙に具体的だが、ライヴハウス内で野菜を炒めるのだろうか?
「怖い、汚い」ことはないと言いながら「逃げ足の遅い方」とは逃げる必要が生じるってこと?それは危険で怖いってことでは?
突っ込みどころ満載の注意点に心がウキウキしてくる。

第1部は大阪本校で2回、渋谷分校で8回開催されてきた「JOJO広重のノイズ大学」。四谷分校となる今回は非常階段のT.美川さんとJUNKOさんに山本精一さん、大友良英さんを迎えた豪華版。客席の前半分の椅子席は勿論、後方の立ち見席も満員となる盛況ぶり。計10回のトークでノイズについては語りつくしたと広重さんが言って、特にテーマを絞らずフリートークになったが、それ故にこの場でしか話せないヤバい話の連発。「絶対ツイッターやブログに書いちゃダメだよ」と念を押されるまでもなく、とても外には聞かせられません。主な話題は尖閣列島/福島/車掌/ストーカー/内閣であったことだけ記しておく。

1時間強のトークの後この5人でセッション。精一さんはフライングVベース(お店にあったものか?)を弾く。フェスティバル福島でのノイズ温泉に精一さんが加わった編成で、ベテラン同士の激しい演奏は渾然一体となり出口のないノイズトンネルを形作るドローンの渦を産み出し、その真ん中をJUNKOさんのスクリームが突き抜ける。25分の演奏。



入替制なので第1部が終わると観客は追い出される。1階のカフェで30分ほど時間を潰す。開場時間になると若者たちが列をなす。黒のBiS Tシャツと黒地に「殺」の殺害Tシャツが目立つ。私の前に並んだ青年は黒い殺害マスクの暴走族風の強面だが話しかけたら礼儀正しい反応だったので心和んだ。入場時に受付でマスクが配られる。野菜炒め対策かな?と思いワクワク感倍増。会場を埋めた若者たちの大半がマスク着用なのでまるで伝染病患者の集会のような雰囲気。気がつくと第1部に来ていた顔見知りの客が殆どいない。非常階段ファンの大半は第1部だけで帰ってしまった模様。これからがお楽しみなのにな~、もったいない。

主催者からは繰り返しドリンクとフードと物販の案内に加え、何かあったらピンクのTシャツのスタッフまで、というアナウンス。確かにライヴハウスにしてはスタッフの人数が多い。DJオッチーがテクノ・ナンバーをプレイするうち開演時間に。ステージ前のスクリーンにビデオが投射される。何と田原総一郎さんが登場、自家発電の開催宣言をする。こりゃまた面白い。

トップ・バッターは_ _ _ _*(テイヘン)。何の予備知識もなかった。ドラムがモヒカンなのでパンクかと思ったらフラメンコ風のドレスの女性ヴォーカルが登場、スージー&ザ・バンシーズを想わせるポジパンで「時の葬列」系統のバンドかと思ったら2曲目からはハードパンクで髪振り乱して歌い客席に乱入してくる。初めは大人しかった観客も煽られ熱くなってきたが、ノリ方が頭上で手拍子のアイドルノリなのが可笑しい。あとでググるとアウトブレイク一押しの過激なパフォーマンスで知られるトランス&ロール・バンドとのこと。ビデオにもその過激さが伺える。この日の演奏は比較的おとなしめだったか。



「皆さん、マスクを使うのは今です」とのアナウンスでQP-CRAZYが登場。ゲテモノ専門レーベル殺害塩化ビニールの「バカ社長」ことTHE CRAZY SKB率いるハードコア・バンドである。このイベントのことをノイズ好きの友人に話したら、QP-CRAZYは危ないから気をつけろ、と言われた。殺害ファンとおぼしきイキのいい若者が前方に集結。「地獄行き特急列車のスタートだ!」との掛け声でバンドが演奏を始めると激しいモッシュが起こる。そこに釘付きバットの先から火花を発射しながら”パンク版デーモン小暮閣下”=THE CRAZY SKBが登場、モッシュの波が広がる。殺害系バンドを観るのは初めてだがただのゲテモノだと思ったら大間違い、80’sジャパニーズ・ハードコアの伝統を継承するタイトなサウンドと豪快なヴォーカルは極めて質が高い。90年代以降のハードコアがミクスチャーやスカコアへ走り忘れられたHC本来のストレートな衝動をそのままに体現している彼らは素晴らしいというしかない。最後の曲で火炎放射攻撃。フロアの前方の客が雲の子を散らすように非難する。焦げ臭い煙にマスクが役立った。プロレスラーでもあるTHE CRAZY SKBならではのサービス精神旺盛でエキサイティングなステージは最高だった。



続いて谷桃子feat.古崎瞳のエンターテイメントショー。グラビアアイドル&テレビタレントの二人の爆裂コント。カラオケで歌う桃子嬢の隣で瞳嬢がお好み焼きを調理するというシュールなパフォーマンス。観客の男性をステージに上げ出来あがったお好み焼きを食べさせる。何の意味があるのか分からないが普通じゃないことは確か。観客も楽しんでいる。


(*このパフォーマンスは撮影OKでした)

次は本イベント最大の謎、勝村筑蟇師範による筑波山ガマの油売り口上。幕が開くとそこには羽織袴のおじさんと昔ながらの街頭屋台。普通なら白けるかもしれないが、師範の名調子に座り込んだ観客全員が魅了されている。繰り出す語りや刀による実演に大きな拍手と歓声が起こり大道芸そのものの一体感が生まれる。もしガマ油が物販にあったら買ってしまいそうな魅力的なパフォーマンスだった。貴重なものを見せていただき主催者に感謝。


続いてギュウゾウ&ザ・ショッキングによる【電撃ネットワークの公開実験室・四谷特別編】。電撃ネットワークのサソリ芸や花火芸はテレビで観たことがある。しかし生とテレビでは大違い。ステージ前列の客の上にビニールシートをかける。ギュウゾウ氏得意のサソリを使った芸「サソリ男」、グラインダーの火花でタバコに火をつける「火花大好きサンダー野郎」、クラッカーを口で受け止める「クラッカー口内爆裂」と披露し、BiSのメンバーをステージに呼び込む。BiSのミッチーちゃんとザ・ショッキングのハプニングの「布団圧縮袋即身仏」には観客も他のBiSメンバーも大喜び。過激な体当たりパフォーマンスは凄い迫力。素晴らしいエンターテイメントだった。終了後立ちこめる煙を換気するため暫し休憩。

(*この場面は撮影OKでした)

続いて非常階段。第1部には出なかったドラムの岡野太氏が参加した4人での演奏である。激烈ノイズにパワー・ドラム。ここまでの盛り上がりから3年前のHMV渋谷閉店ライヴのような混乱を期待したが、始まってみると意外にも観客は佇んで眺めるのみ。もしかしたら観客の大半は非常階段およびノイズのライヴ初体験なのか!と気がついた。興味はあるようだがどう対応してよいのか戸惑っているのかも。それでも広重さんがギターを頭上に振りかざすと歓声が上がるし、痙攣する美川さんに興奮して腕が挙がる。演奏自体はドラムがある分第1部よりずっと輪郭がハッキリしてパワフルで素晴らしかった。25分の演奏が終わると大きな拍手と「ジョジョさーん!」というコールが起る。初めて観るノイズ・アーティストとして非常階段は最適である。この若者たちにノイズの魅力を少しでも伝えられれば大成功。



BiS Tシャツが前列に集まって来た。いよいよお待ちかねBiSのステージである。PAから重低音のテクノビートが響きメンバー登場。メンバーの動きに合わせ一斉にしゃがみ込むヲタたち。観客の6割がBiSファンだったことが判明。さっきQP-CRAZYでダイヴしていたファンが交じっているのが面白い。イマイチ締まりがないメンバー紹介、先日同様メンバーがひとり欠席だったが関係なしのパフォーマンスと歓声、Oi! Oi!という掛け声、一斉にステージへ押し寄せる人の波、「オナニー」「うんち」「おしっこ」と口にする非アイドルなMC、ラストのデスメタル・ナンバー「IDOL」では気の狂ったようなモッシュ大会、と新生アイドルのライヴならではのヲタノリが最高に面白い。一見の価値あり!



そのまま続けてイベントの目玉BiS階段に雪崩れ込む。BiSがオケに合わせて歌い踊る横で広重さんと美川さんが激しいノイズを鳴らしJUNKOさんの高周波スクリームが響くという何とも言えない違和感がたっぷり。「アイドル界のラリーズ」の爆音とヲタの方々の滅茶苦茶な大熱狂には流石の非常階段も歯が立たないという印象。そのうちBiSの娘たちが何かを客席に投げ始めた。後で見ると生麺や鶏肉や臓物だった。アイドル界のスターリンでもあったとは!会場中に興奮の渦を巻き起こして2曲で終了。始終嬉しそうな広重さんの笑顔が目に焼き付いた。

▼イメージ映像を作ってみた。全然違うけど雰囲気が少しでも伝われば幸いである。









(*ブログ「プー・ルイの絵日記帳~アイドルグループの作り方~」より無断転載)

6時間に亘るイベントの締めは田原総一郎さんが再登場。終わってみると確かに注意書きにあったように観客に被害はなかったがかなりアブナい場面もあった。こんな楽しいイベントは滅多にない。次回「自家発電 vol.1」は来年6月の予定だとのこと。今回を超えるサプライズとハプニングが産み出せるか成り行きが楽しみ。

自家発電
してばっかりでは
身体がもたぬ

このイベントの模様は12/25 23:00~24:00スペースシャワーDAXで放映予定。ノイズ/ハードコア/アイドル他すべての音楽ファン必見である。

BiS階段を成功させた非常階段の次のプロジェクトは何と初音階段。コラボCDとレコ発ライヴが予定されている。
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4 コメント

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Unknown (一読者)
2012-11-20 23:00:44
せっかく四谷でやったんだから、イベントタイトルを「四谷階段」にすればよかったのに、と思ってしまったのは私だけでしょうか。。。
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Unknown (フクチ)
2012-11-22 00:53:54
後にも先のもアイドルのライブを見ることはないと
思うがとても貴重な経験をさせてもらったイベントでした。
QP、非常階段とアイドルの普段では見られない異種混合
ライブでしたがブログで書かれていたように客層の違いが
わかりにくくステージ前の入れ替えがあまりないことが
非常に興味深かったです。最後のパフォーマンスは
美川さんのブログによるとBIS側からの仕掛けだったそうです。
返信する
Unknown (フクチ)
2012-11-22 00:54:44
後にも先のもアイドルのライブを見ることはないと
思うがとても貴重な経験をさせてもらったイベントでした。
QP、非常階段とアイドルの普段では見られない異種混合
ライブでしたがブログで書かれていたように客層の違いが
わかりにくくステージ前の入れ替えがあまりないことが
非常に興味深かったです。最後のパフォーマンスは
美川さんのブログによるとBIS側からの仕掛けだったそうです。
返信する
アイドル (miro)
2012-11-22 01:50:25
一読者さん
広重さんも美川さんもアウトブレイクを相当気に入ったようですので次にやる時は四谷階段でお願いしましょう。

フクチさん
以前ディアフーフで観たときに気が付いたのですが、アイドルヲタの方々はとても柔軟で勉強熱心です。今回も対バンのQPや非常階段について事前にみっちり予習してきたに違いありません。
アイドル自身もとにかく一生懸命です。ステージでうんちやおしっこをすることや、汚物を投げることは、きちんと下調べしてきたのでしょう。
今や「ロック<アイドル」という気がしています。
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