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浅川マキ「あの男がピアノを弾いた」 taken from the album『ONE』(80)
あの夜は
あの男がピアノを弾いたの
あの男が
ピアノを弾くなんて知らなかった
あの男の
指が早く早く動いて行く
ほんとよ
ペテン師みたいで
とてもじゃないが
あの男がいったわ
「ね、
どうして
ね、あんた
唄わないの」ってね
あの男の好きなうたをはじめて知った
あの夜をわたしはわすれない
そう
最后のチャンスだったのに
⇒試聴サイト
●阿部薫
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70年代を流星のように駆け抜けた前衛ジャズ演奏家・阿部薫は、アルトサックス、バスクラリネット、ハーモニカ、ギターの他に、極稀にピアノを演奏することがあった。音源は残っていないが、阿部の名言集には以下のような記載がある。
「お詫びの演奏をただで聴かせる、あなたたちは幸運だ」
明田川荘之の「アケタの店」に阿部が出演。ピアノ演奏後、ピアノをドライバーで破壊。明田川は電話で抗議し、阿部は申し訳ないと再び来店。阿部は店のピアノの消音機を再びドライバーでダメにし、鍵盤を肘打ちで折っていった。
そんな破壊的なパフォーマンスだけではなく、浅川マキが山下洋輔のピアノや近藤等則のトランペットと共に唄ったように、スピード感のある指使いでうたうようなメロディーを紡ぎ出すこともあったらしい。
●大友良英
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即興演奏家としてはギターとターンテーブルを主に演奏する大友は、これまで何度か「フィードバックピアノ」の試みをしている。グランドピアノのボディにピックアップマイクを取り付けて振動を増幅し、ピアノ線をフィードバックさせ、エフェクターやPCで変調してドローンノイズを発生させる演奏装置・演奏方法である。音響・ノイズ・即興と音楽の領域を開拓していく大友が、西欧大音楽の象徴であるグランドピアノに立ち向かう姿は一見の価値がある。
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▼大友良英『Piano Solo』
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大友良英が2009年3月、ロンドンのクラブ、Cafe OTO でおこなったピアノ・ソロ演奏を、LPサイズ・レコードに45回転で収録。両面それぞれ12分33秒。時に荒々しく、時に静的に進行する圧巻のフィードバッック・ドローン。
●坂田明
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山下洋輔トリオでドシャメシャのフリージャズを吹き捲くり、現在も世界のガイキチ音楽シーンのトップに君臨する坂田は、タモリと並ぶハナモゲラ語のエキスパートにして宴会芸の達人。メチャクチャなフリージャズピアノに乗せて、誰でも知ってる童謡を悉く音程を外して歌う名人芸は「新童謡」と呼ばれ80年代お茶の間をカオスな笑いに巻き込んだ。近年は滅多にやらないので、観れた人はラッキーなのか一生の運を使い果たして屍と化すのか。
▼坂田明『20人格』
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ジャズ・ミュージシャンであると同時にミジンコ博士としても名高い坂田明による、80年に発表された代表作のひとつ。ヴォーカルをはじめ、ピアノ、サックスなどを駆使、さまざまな楽器で多彩な表現に挑んでいる。
●吉田達也
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超絶変拍子ドラマーにして、コバイア語オペラ歌唱の第一人者・吉田達也は、アルトー・ビーツのユミ・ハラに唆されて、2013年12月初ピアノに挑戦。ドラム同様に鍵盤を叩きまくる神風奏法に、痙攣ファルセットヴォイスで歌いまくる有様は、マグマのクリスチャン・ヴァンデによる『トリスタンとイゾルデ」のサントラ盤を彷彿させた。
⇒坂田明+吉田達也+ユミ・ハラ@荻窪ルースター 2013.12.19(thu)
●灰野敬二
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ピアノ嫌いで知られていた灰野敬二は、安井豊作監督のドキュメンタリー映画『Rocks Off 』に於いて宿敵の鍵盤と対峙した。この映画は法政大学学生会館の末期――解体時の映像と灰野のピアノ演奏によって構成されている。前者は人の息吹きさえ感じず、がらんどうの廃墟となってべったりと大学に張りついているホール棟。後者は法政学館音楽文化の象徴である灰野が、これまた西洋音楽の象徴であるピアノを即興によって解体していく。がらんどうの学館にピアノの痛切な(決して哀切ではない)音が響きわたる。灰野の演奏自体が、法政学館のアバンギャルドな音楽性を代弁しているかのようでもある。
⇒僕は“音の触媒"なんだよ――灰野敬二、驚愕の“DJ"ミックス“experimental mixture"第2弾
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