A Challenge To Fate

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百鬼夜行の回想録~80'sインディーズ特集 第9回:普段着の脱臼ロック女子サボテン

2013年01月06日 02時03分50秒 | ガールズ・アーティストの華麗な世界


数年ぶりにアナログ盤を聴ける環境になり昔のLPやシングル盤を引っ張り出して聴き狂っている。日本のインディーズ盤ばかり。CD化されiPodの定番になっているものもアナログ盤のジャケットやインサートを眺めながらくるくる回るのを聴くのは格別だ。愛聴していたヴァイナルに命を吹き込むと30年前の記憶が色々蘇ってくる。この感慨はCDでは味わえないアナログ独特のものだろう。

女の子3人組サボテンは当時よく聴いていた。1981年10月結成、12月25日原宿クロコダイルでライヴ・デビュー。対バンはS-Ken、突然段ボール、すきすきスイッチ、Pablo Picasso他とある。S-Ken以外は日本のニューウェイヴ第2世代のバンドである。翌1982年精力的にライヴ活動を行い10月蔦木栄一プロデュースで1stアルバム「サボテン」をリリース。突段主宰のフロアレコードのアナログ盤第1弾(リリース第1弾はFRED FRITH&突然段ボールのカセット)ということもあり注目され多くの雑誌で紹介され自主盤取り扱いレコード店でも基準在庫として幅広く販売された。当時の評価は「突段の女性版」「ズレたリズムがユニーク」「シュールなロック」といった感じでくせ者揃いのインディーズ界でも際立つ個性が評価された。その割にはバンド自身のインタビューやグラビア記事を見た覚えはない。メディア的には目を惹くルックスや過激な言動・ファッションのバンドに興味が行ってしまい普段着の街中の女子大生といった風情のサボテンは取り上げるのが難しかったのだろう。突段もバンドとしてのメディア露出は少なかった。

1stは貸しレコで借りて聴いてスカスカのサウンドが面白く同時期にデビューした少年ナイフと共に愛聴していたが、自分で買ったのは1984年のEP「いつもある」だった。発売日は2月1日、購入したのは下北沢五番街で2月8日となっている(私はレコードに購入日・店名のメモを入れている。後々記憶を辿るのに役立つ)。自主制作盤は発売日が前後するのが当たり前なので実質発売日に購入したといえる。それほど楽しみにしていたのだろう。小遣いが少なく新品LPを月に何枚も買えないので代わりに7"やソノシートを購入することが多かった。「いつもある」は4曲入で\1000。ポスタースリーヴでお得感があった。LP以上に自由度の増したサウンドと覚え易いメロディーと哲学問答のような歌詞が好きだった。特に2曲収録されたインストが不思議なシュールさを醸し出していて無邪気な狂気を感じた。この2曲がエリック・サティ作曲と知ってクラシック好きの父のレコード棚を探したら「ジムノペティ」のLPがあり甘いピアノの調べに酔った。同じLPにプーランクやミヨー等フランス現代曲が収録されていてエスプリに満ちた世界に惹かれた。同じ頃にブリジット・フォンテーヌを始めとするサラヴァレーベルの再発、Fool's Mate誌でのフレンチメタ特集がありフランス語を履修してよかったと思った。かといって授業には出なかったが。



80年代の音源が「ノン・ポジション」としてCD再発されている。数年前に買って聴いてはいたが改めてブックレットの年表を読んで驚いた。大好きだったサボテンを当時観なかったことを後悔していたのだが、年表にこうある:"1983/12/28吉祥寺GATTY"NOISE"83東京JAPAN Coming from unknown age 霜田誠二、赤木電気、アザールーム、吉川洋一郎、凶悪インテンション"。このブログの長年の読者の方なら覚えていると思うがアザールームとは当時私がやっていたユニットである。全く記憶にないし録音も残っていないが、この時代にぎゃていでOTHER ROOMを名乗って活動していたのは私のユニット以外には考えられない。何と対バンしていたとは!クリビッテンギョー(超死語)である。



▼1st+シングル+未発表曲集「ノン・ポジション」いぬん堂/WC-023/2002/CD


サボテンはマイペースで散発的に活動を続け1992年に2ndアルバム「目覚める」、2002年に3rd「つづく夢」をリリース。10年毎のリリースなので昨年4thが出るかと思ったが出なかった。同名のパンクバンドがいるので困難な検索の末探し当てたオフィシャルサイトからメンバーの松本里美とミヤガワイヅミの個人サイトにリンク出来る。それぞれ健在で活動しているようである。松本のサイトでは2003年FM豊橋での全8回に亘る【STEP ACROSS THE BORDER サボテン特集】のサウンドファイルが聴ける。突段の日本カセットテープ・レコーヂングから「レッツ・サティー!」というロル・コクスヒルとの共演を含むサティー曲集CDRもリリースされている。

▼2nd「目覚める」SABOT/SOBO-002/1992/CD


▼3rd「つづく夢」いぬん堂/WC-024/2002/CD


サボテンとしての活動再開の可能性もありそうなので期待するとしよう。

サボテンは
トゲがあるけど
痛くない

2ndからグンジョーガクレヨンのドラマー宮川篤志が参加しているのも興味深い。ミヤガワイズミと同姓だが両者の関係は?
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2 コメント

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ない、ない… (下衆野郎)
2013-01-06 22:02:02
サボテン! 既存の音楽にとらわれず、楽器を手に、デッサンするように自由に創作してる感じがよかったですな! 今は亡き池袋の「スタジオ200」でライブも観ましたがな~。
1984年にバルコニーレコードからリリースされた、「くっついて安心」に2曲収録されてて、愛聴版だったのですが、ない、ない…? どこ行っちゃったんだろ?
レコードプレイヤーを捨てたときにいっしょに捨てちゃったのかな?
なんちゅうことを!このレコードに収録されてたコクシネルのリズムボックス版「夜の歌」なんかも、再リリースされてないし、痛恨の極みであります!
ウヲ~ッ、ヲレの馬鹿~ッ!
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くっついて安心 (miro)
2013-01-09 06:57:26
くっついて安心のサボテンとD-DAYの曲はそれぞれCD化されていますが、コクシネルは再発されていないですね~。少年ナイフはどうなんだろう?
プロデューサーの板倉文はこの時代の隠れたキーパーソンですね。
カゲロウ・ZEROからの「AURA MUSIC」も名盤でしたね!
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