A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

グンジョーガクレヨン/K.K. NULL/陰猟腐厭/NORD@高円寺ShowBoat 2015.4.23(thu)

2015年04月25日 10時10分10秒 | 素晴らしき変態音楽


音の色彩
グンジョーガクレヨン/KK NULL/陰猟腐厭/NORD(片山智+長谷川洋+内田静男+α)


ともに80年代東京・横浜アンダーグラウンドミュージックシーンにおいて、その特異なシーンにあってさえもひときわ異彩を放っていたアーティストたちである。このメンツを見て「おおっ!」と思ってしまうのはおそらく40代以上の人たちかもしれない。
だがしかしこのイベントは決して懐古趣味のような類いのものではない。彼らは多少のブランクはあっても、今なお進行形で己の魂を具現化することに余念がない。
是非とも彼らの2015年4月23日時点での最新の音を聴きに来て欲しい。そしてきっとその音の向こう側からは彼らが築き上げてきたものだけではなく、彼らが指向そして試行している未来の音が聴こえて来るに違いない。(長谷川洋)



今週のハードコアなライヴの連続に感謝すべきか怨嗟すべきか嘆息していたが、地下音楽の異端者の奇跡の宴の今宵だけ無心で運命に甘んじるのみ、などと書くと長谷川の言う40代以上の典型パターンかもしれないが、音楽を聴くのにノスタルジアや先入観や思い入れがあるのは当然だし、自分の記憶や経験を反映することで、さらに深く理解できることは間違いない。演奏者が現在進行形であるのと同様に、聴き手も現在進行形の人生(LIFE)を生きている。両者が一堂に会してリアルタイムで交歓するライヴ(LIVE)とは、単なる記憶の巻き戻しに終わることは無い。それが"LIVE IS MY LIFE"と嘯(うそぶ)く音楽愛好家の信念である。
*アーティストのプロフィールはリンク先の過去ブログを参照のこと/写真の撮影・掲載については出演者の許可を得ています。

●NORD(片山智+長谷川洋+内田静男+α)

百鬼夜行の回想録~80'sインディーズ特集 第1回「ピナコテカ・レコード編」

オリジナルメンバーの片山智とその次の世代の音楽家によるノール最新型。暗闇の中から立ちのぼる煙のような電子音が、明滅するフラッシュに同調して立ち籠める濃霧となる。空気を満たす濃厚な音の靄を吸い込んで、意識は朦朧となり異次元に漂う。言葉にすればアンビエントだろうが、四人の演奏家が放つ邪悪な「気」は、なしくずしの死に誘導する危険な香りがする。1stアルバムB面の「Utopie」を想起させるドラマティックなノイズ交響楽に酩酊した。




●陰猟腐厭

【至福の地下音楽】時代からはみ出し続けるネームレス即興ロック~陰猟腐厭『初期作品集1980-1982』

増田直行(g)、原田淳(ds)のデュオ。前回観た時はダンサーが参加したので、メンバーだけのライヴは初めて。マレットとスティックを使い分ける表情豊かな原田のドラムに加え、特異なのは増田のギター。フレーズにならずに散逸するソリッドな音色は、物音と呼ぶには畸形過ぎるし、物語になるには無意識過ぎる。意味と無意味の差異を無化する手作業は、はみ出し続ける道を選んだ異端者の慈愛に満ちた愛情表現である。




●KK NULL

Merzbow x Balázs Pándi x 灰野敬二/KK Null+Bastard Noise@六本木SDLX 2015.4.12(sun)

1982年に出会って以来、完全ソロ演奏を観るのは30余年振りかもしれない。身体が吹き飛ばされそうな圧倒的な音圧は、単にラップトップで電子的に合成されたサウンドではなく、修行僧を思わせる風貌の岸野一之が身体全体で空気を震わす波動である。ShowBoatの音響装置をフル活用した立体的な音像は、意識を覚醒させる合法ドラッグだった。




●グンジョーガクレヨン

グンジョーガクレヨン/ju sei@八丁堀 七針 2012.12.22 (sat)

組原正(g)、前田隆(b)のデュオ編成のグンジョーに、Yusuke Akaiwa(electronics)がゲスト参加。Akaiwaは最近までグンジョーガクレヨンの正式メンバーだったが、現在は脱退しているので「グンジョーガクレヨン+Yusuke Akaiwa」と呼ぶべきだろう。異形に磨きをかけた組原は、ギターを愛撫するように抱きしめ撫で舐め回し、楽器としてのギターらしさを剥ぎ取って行く。寡黙な前田の饒舌なパルスベース、どっしりとしたAkaiwaのスペースシンセ、三つ巴のパワーインプロヴィゼーションは、濃厚な空気を拡散する解放感に満ちていた。



どの出演者も、今ここで自分が鳴らすべき「音」を見つけ出し、その場を共有する観客は、今ここでしか生まれない音を今ここで体験するスリルに打ち震える。ノイズだろうが即興だろうが前衛だろうがアイドルだろうが、今ここでしか体験出来ないライヴ(LIVE)現場の歓びは何物にも代え難い。時代からはみ出した極端音楽の歓びを今宵共有した者全員が、更なる未来進行形の活動への期待を胸に刻んだことだろう。



万国の
極端主義者よ
交歓せよ

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5/30 sat 八丁堀 七針


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美川俊治
door open 18:30
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2000jpy



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