結成18年の歴史を持つ稀代のサイケデリック集団ACID MOTHERS TEMPLE(AMT)は、海外で絶大な支持を集め、毎年数カ月に及ぶ海外ツアーを敢行する。ホームページを参照すればわかる通り、様々な別名プロジェクトが存在し、それぞれ数多くのリリースがあるので、全貌はメンバー自身でも掴めないのではなかろうか?筆者の知り合いのイギリス人は、毎年AMTを観るために11カ月間働いて渡航費を貯め来日し、バックパックを背負って1ヵ月間日本各地を追いかけるほどのAMT信者である。
AMTの中核メンバー、河端一(g)、津山篤(b)、田畑満(b,g)、東洋之(syn)、志村浩二(ds)は無類のSNS好きでFacebookやTwitterでツアー中の写真を次々発信する。ルックスと衣装、アートワークやポスター、フライヤーなどAMTのイメージすべてがゲバゲバ&エロエロのサイケ感に彩られており、悪趣味且つお下劣の極み。悪ふざけの過ぎる関西弁MCと、延々と続くトリップ・セッションの果てにギター・クラッシュで終焉するステージは、プロジェクト名を問わずお約束になっている。GURU GURUのマニ・ノイマイヤーやGONGのデヴィッド・アレンなど、70’sロックの伝説が毎年のように来日する目的のひとつはAMTと共演することである。
正真正銘現代日本のロックの代表格でありながら、AMTを真正面からきちんと取り上げるメディアは日本には存在しない。海外で評価の高い地下芸術が国内で不当に低い評価を受けるのはAMTに限った話ではないので不思議ではないが、非常階段や灰野敬二やMERZBOWなどの情報が様々なネットメディアで広く拡散される現在、AMTという唯一神にももっと光が当たってもいい。メンバー自身がそういった評価を求めていない節もないわけではないが、膨大な情報量を含有した樹海の奥地の大寺院を目の前に、何処から足を踏み入れていいか途方に暮れる、筆者を含む多数の潜在的信者に門戸を開く努力は必要だと思う。
と書いたように、実は私自身、AMTの神髄を理解するに至っていないので、手始めに写真の羅列でAMT入門編とすることでお茶を濁したい。読者の理解を深めるために、2013年9月1日に43年の歴史に幕を閉じた東京タワー蝋人形館の写真をサブリミナルとして紛れ込ませてあるが、お判りになるだろうか?彼らは年内開設予定のロック博物館に住処を構えるとのことなのでご安心いただきたい。
(Live pix taken by fykfyk)
河端一はAMTの過激なアクションと大音量のサウンドについて、初めて雑誌やレコードでロックの写真を見た時に「ギターは爆音で暴れながら弾くもの」と誤解したことに原点がある、と語っている。筆者がギターを弾くのをジャンプの練習から始めたのとよく似たエピソードである。情報量の少ない時代だから可能だった幸福なる誤解にして「ロックは形から」という真理の正さを証明しているではないか。
●河端一超ロングインタビューはコチラ
酸母寺院(Acid Mothers Temple)
原子心母(Atom Heart Mother)
傾向賛美(In Praise of Learning)
電子夢幻(Zuckerzeit)
絶体絶命(Warrior on the Edge of Time)
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