A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

組原正+広瀬淳二@入谷なってるハウス 2012.11.17 (sat)

2012年11月19日 00時47分08秒 | 素晴らしき変態音楽


やんてらの連動企画ライヴシリーズ『やんてらのやぶれかぶれVol.2』
組原正(g)+広瀬淳二(ts)

今年5月の2ndソロ・アルバム「inkuf」リリース以来、グンジョーガクレヨン再結成を経て組原正さんの活動が活性化している。T.美川さん、中尾勘二さん、グンジョーのメンバーを迎えてのレコ発、グンジョーとしての2度のライヴ、それに続き企画されたのが今回の広瀬淳二さんとの初顔合わせデュオ・セッション。

生憎の荒天で外出するのも憚られるほどの大雨。しかもなってるハウスは最寄りの入谷駅から約10分歩く。濡れネズミになってなってるハウスに到着。こんな雨の中ライヴへ来る酔狂な客が他にいるのかと思ったが椅子席が丁度満席になる盛況ぶり。組原さんは道に迷って1時間雨の中を歩き回り靴がぐしゃぐしゃになってしまったので、近所で買ったスリッパを履いて演奏。

1stセットはギターとテナー・サックスのセッション。Macとマルチ・エフェクターを通した鉱物的なギター音がアンプからコロコロ転がり出て空間に拡散して行く。ピョンピョン飛び跳ねながらフレットをくすぐるように走り回る指。ハーモナイザーをかけ歪んだトーナリティを描く畸形ヴォイス。唯一無二の不思議な音空間を展開する組原さんに対して、咽び泣くようなフリーク・トーンを引き延ばすブロウから細かく切り刻まれたノンイディオマティックなフレーズの波動を巻き散らしつつ、比較的オーソドックスなプレイで対峙する広瀬さん。異形vs正統の共演はパズルのように絡み合い初顔合わせとは思えない高揚感で会場を満たす。30分のセット。

休憩の後2ndセットは組原さんからのリクエストで広瀬さんは自作音響装置での演奏。スタンドに大きな金属のプレートを二つ付けた楽器。プレートを叩いたり擦ったりしてメタリックなノイズを創出する。組原さんのギターも非音楽的なパーカッシヴな音響そのものだから、ふたつのノイズ音塊がぶつかり合い干渉しあって1stセットとは異質の音響彫刻のような非常空間を現出する。ノイズといっても機械的な電子音ではなくどちらも人間の肉体の動きに起因する極めてヒューマニスティックなサウンドだから聴覚的な刺激以上に情念に訴えかけるエモーションに満ちた人懐っこい世界である。20分。

最後に注目の若手ポップ・デュオcamera-stylo(カメラ=万年筆)の佐藤優介氏がピアノで飛び入りしたトリオのセッション。広瀬さんはスパナを使って金属プレートを外し自転車のホイールに付け替える。その手際良さはミュージシャンというより職人。若干22歳の佐藤氏の現代音楽的なピアノにホイールのスポークを叩くカラカラというノイズと変態ヴォイスが重なり合い芸術性の高いパフォーマンスを展開。15分のセット。camera-stylo(カメラ=万年筆)は名前の通りムーンライダースの影響を受けたデュオで組原さんは彼らのCDを聴いてミックスへの拘りに感銘を受けたと言う。

演奏が終わった時には雨もすっかり止んでいた。組原さんと広瀬さん、音楽界の前衛を走り続けるベテラン二人の共演は1+1=∞の可能性を秘めた素晴らしいものだった。またいつか次なる展開を期待したい。


(*撮影および掲載については主催者および出演者の許可を得ています。)

音と音
出会うだけでも
奇跡的

<組原正ライヴ・スケジュール>
12/22(土) 八丁堀七針 やんてら企画「やんてらの冬の総力戦」 グンジョーガクレヨン/ju sei
2013/1/6(日)阿佐ヶ谷Yellow Vision 吉本裕美子企画 組原正(g)・園田游(buto)・吉本裕美子(g)/trio 

<広瀬淳二ライヴ・スケジュール>
11/22(金)新大久保EARTHDOM EARTHDOM PRESENTS:広瀬淳二/望月芳哲/Ironfist辰嶋/共犯者(Isshee / ヒグチケイコ)/東京真空地帯
12/2(日)桜台pool 広瀬淳二ts/中村としまるno-input mixing board/鈴木學electronics/康勝栄g
12/13(木)八丁堀七針 広瀬淳二ts / 大沼志朗ds
12/29(土)新宿PIT INN ノイズ電車 in PITINN:大友良英g/JOJO広重g/junko scream/美川俊治electronics/広瀬淳二ts


コメント
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