<NAXOS> 各1枚 \1000
8.572305
シベリウス:
1-4.交響曲第1番ホ短調 Op.39/5-7.交響曲第3番ハ長調 Op.52
ニュージーランド交響楽団
ピエタリ・インキネン(指揮)
日本でもおなじみ、ピエタリ・インキネンによるシベリウス(1685-1957)。い
よいよ交響曲の登場です。まずは第1番からお聴きください。いつものような
透明感溢れるオーケストラの響き、そして湧き上がるような感情の迸り。まさ
に「これは名演だ」と心から叫ばずにいられません。 1899年に書かれた第1番
は、表題こそ付いてないものの、終楽章には「幻想風に」と記されていたり
と、かなり物語性を帯びた曲です。誰もが想像する北欧の大自然を音にすれば
こんな感じで間違いないでしょう。インキネンは曲の随所にメリハリを持たせ、
テンポ良く進めていきます。そして、金管を思い切り歌わせ、弦を可能な限り
まで揺らめかせ、シベリウスをこれ以上ないほどに丁寧に表現しています。も
っと簡素な趣きを持つ第3番では、爽やかな風を思わせる第1楽章で始まり、曲
の最後まで緊張感が途切れることがありません。全集完成が本当に楽しみです。
8.572228-29 2枚組
メンデルスゾーン:オラトリオ「エリヤ」
エリヤ…ラルフ・ルーカス(バス)/寡婦…ルート・ツィーザク(ソプラノ)/
天使/女王イゼベル…クラウディア・マーンケ(メゾ・ソプラノ)/オバデヤ/
アハブ…クリストフ・ゲンツ(テノール)/少年…ルイゼ・ミュラー(トレブル)
/ライプツィヒ MDR放送合唱団
ライプツィヒ MDR交響楽団
準・メルクル(指揮)
イスラエルの神ヤハウェに仕える預言者を描いた、メンデルスゾーン(1809-
1847)最後の完成作品であるオラトリオ「エリア」。1836年に初演された「パ
ウロ」を越える物を書くために、ルターが訳したドイツ語聖書をもとに作成さ
れた台本を練り上げ、感動的な音楽が付けられています。旧約聖書の「列王
記」に記されたエリアは、徹底した預言者であり、正しき言葉を伝えるために
は、権力者から民衆まで、この世の全てを敵に回すことも厭わないほど激しい
人物でした。しかし、メンデルスゾーンは、彼の中に理想の指導者の姿を見出
し、音楽で余すことなく描き切ったのです。準・メルクルは現代最高の歌い手
たちとともに、この素晴らしいオラトリオを理想的な形で現代に問います。
8.572216
サラサーテ:ヴァイオリンと管弦楽のための作品集第2集
1-5.カルメン幻想曲 Op.25/6.グノーの「ロメオとジュリエット」による演奏
会用幻想曲 Op.5/7.ロシアの歌 Op.49(ヴァイオリンと管弦楽編 )
8.ナイチンゲールの歌 Op.29(ヴァイオリンと管弦楽編 )/9.狩り Op.44
10.ホタ・デ・パブロ Op.52(ヴァイオリンと管弦楽編)
楊天堝(ヴァイオリン)
ナバーラ交響楽団
エルネスト・マルティネス=イスキエルド(指揮)
有名な「カルメン幻想曲」で始まるこのアルバムは、NAXOS期待の新人、1987
年生まれの楊天堝によるサラサーテ(1844-1908)の管弦楽とヴァイオリンのた
めの作品集第2集になります。冒頭から素晴らしい緊張感と美音に満ちた彼女
の演奏に引き込まれない人はいないでしょう。彼女はNAXOSのサラサーテ録音
を一手に引き受けていますが、リリースが進むごとに成熟度が高まるのはさす
が!少女時代から数多くのコンクールを制覇し、アイザック・スターンに学び、
13歳でパガニーニの「24の狂詩曲」を録音、世界各国のオーケストラとも共演
する彼女の今後が本当に楽しみです。サラサーテは一部の曲のみばかりが知ら
れますが、こんなに良い曲があるとは!と驚かれた人も多いはず。情熱的な曲
をもっと聴きたい方は第1集(8.572191)か、ピアノとヴァイオリンのための作
品集の第1集(8.557767)、第2集 (8.570192)もどうぞ。
8.572344
ショパンの弟子たち
《ミクーリ(1819-1897)》
1.2つのポロネーズ Op.8より第1番ト短調/ 2-5.10のピアノ小品集 Op.24より
(ルーマニア風 /練習曲/カンティレーナ/即興曲)/6.2つのポロネーズ Op.8
より第2番変イ長調/《テレフセン(1823-1874)》7.ワルツ変ニ長調 Op.27/
8.即興曲ト長調 Op.38/9.小さな物乞い Op.23/10-13.4つのマズルカ Op.3
/《フィルチ(1830-1845)》14.即興曲第1番変ト長調/ 15.マズルカ変ホ長調
Op.3-3/16.ヴェネツィアの別れ/17.舟歌変ト長調/18.言葉のないロマンス
/19.即興曲第2番変ロ短調/《グートマン(1819-1882)》20.夜想曲変イ長調
Op.8-1/21.鳥たちの目覚め、牧歌 Op.44/22.ボレロ Op.35
フベルト・ルトコフスキ(ピアノ)
優れたピアニストが、そのまま優れた教師であるとは決して言えませんが、
ショパンは「本当に素晴らしい才能を持った者」に自らの音楽を伝えていたよ
うです。ショパンより 9歳年下のミクーリは、「ショパンのピアノ奏法の継承
者」と言われてますが、第1番のポロネーズで見られる和声はかなり独特で、
また先進的。洗練されているとは言い難いかもしれませんが、今、こうして聴
いてみるとかなり面白いと言えるでしょう。ノルウェイのピアニスト、テレフ
センは2年半待ってショパンに弟子入りを許されたという人。その後パリで大
勢し、確固たる地位を築きました。フィルチは11歳から4年間だけショパンに
師事したのですが、残念なことに15歳の時に肺結核で世を去ってしまします。
タッチもショパンに似ていたそうですが、この即興曲第1番は、ショパンその
ものを彷彿させる繊細な作品で、せめてあと 20年生きていれば、ピアノ界の
歴史を塗り替えていたかもしれません。そしてグートマンはショパンとは違
い、大柄で力強い人だったそうで、ショパンは彼に「スケルツォ第3番」を献
呈しています。ショパンが心から信頼を寄せていた人物の一人です。
8.572499
ショパン:歌曲全集
1-17.17の歌曲集 Op.74(乙女の願い/春/悲しみの川 /浮かれた女/好きな場所
/消え失せよ/使者/美しき若者/メロディー/戦うもの/二つの死/いとしき人 /
無くてはならぬものは無く……/指環/許婚者/リトアニアの歌/舞い落ちる木
の葉)/18. 不思議な力/19. ドゥムカ(寂しき小唄)/20-23.ショパンのマズ
ルカによる歌曲(ポーリーヌ・ヴィアルト=ガルシア編 )(16歳(マズルカ第31
番変イ長調 Op.50-2)/私を愛して(マズルカ第23番ニ長調 Op.33-2)/小鳥(マズ
ルカ第47番イ短調 Op.68-2)/コケット(マズルカ第5番変ロ長調 Op.7-1))
オルガ・パシシュニュク(ソプラノ)
ナターリャ・パシシュニュク(ピアノ)
ショパン(1810-1849)はその生涯に、折りに触れて歌曲を書いていましたが、
結局のところ出版することはありませんでした。理由はわかりませんが、もし
かしたらこれらは彼の個人的心情の表れだったのではないでしょうか?ショパ
ンの死後、友人のフォンタナが遺稿を整理し、16曲をまとめて作品74として出
版します。その後、シュレジンガーがもう一曲追加し17曲としてまとまりまし
た。このアルバムではその後に発見された2曲も歌われています。ピアノ曲と
は違い、ほとんどが単純な有節歌曲で素朴なものですが、実に味わい深い音楽
であることに間違いありません。このアルバムでは、ショパンの友人で才能あ
る女性作曲家ポーリーヌ・ヴィアルドがショパンのマズルカに歌詞をつけ「歌
曲に設えた」作品も4曲歌われています。パシシュニク姉妹のチャーミングな
演奏が知られざるショパンの姿を生き生きと伝えます。
8.572450
ルトスワフスキ:ラスト・コンサート
1-5.パルティータ(ヴァイオリンと管弦楽編)/6.インターリュード/7-10.
チェーン II/11-19.花の歌と花のお話(夜の美人/バッタ/ヴェロニク/野ばら、
サンザシ、藤の花/カメ/バラ/ワニ/天使/蝶々)/20.チェーン I
フジコ・イマジシ(ヴァイオリン)…1-5.7-10/ヴァルディン・アンダーソン
(ソプラノ)…11-19/ニュー・ミュージック・コンサーツ
ヴィトルト・ルトスワフスキ(指揮)
偉大なるポーランドの作曲家、ルトスワフスキ(1913-1994)は自作を表現する
にあたって最高の演奏家でもありました。作曲する際も当時流行の前衛主義な
どの周囲のやり方に惑わされることなく、常に彼独自の思想に基づいており、
常に新しい形式を開発し、またそれを推し進めたことで知られています。彼が
追求した形式の一つに「チェーン」というものがありますが、これは偶然性や
不確定な繰り返しなど様々な要素を含み、真意を表現するのは並大抵のことで
はありません。ここで聴ける「チェーンI」と「チェーンII」はまさにこの形
式の最良の姿と言えるでしょう。パルティータは比較的演奏される機会の多い
作品ですが、ここは作曲家の意図が120%伝わる演奏で聴いてみたいものです。
仄暗く神秘的な音色に終始する「花の歌と花のお話」も興味深い連作歌曲集で
す。ルトスワフスキはこのコンサートの3か月と2週間後にこの世を去りました
が、ここには全く感傷めいたものはありません。常に前進する芸術家の意思
強く感じられます。
8.572501
カステルヌオーヴォ=テデスコ:シェイクスピア序曲集第2集
1.お気に召すまま Op.166/2.ヴェニスの商人 Op.76/3.空騒ぎ Op.164/
4.キング・ジョン Op.111/5.冬の叙事詩 Op.80
※トラック3以外世界初録音
西オーストラリア交響楽団/アンドリュー・ペニー(指揮)
第1集(8.572500)で、その劇的で壮大な音楽に驚かされた人も多いことでしょ
う。カステルヌオーヴォ=テデスコ(1895-1968)のシェイクスピア序曲集の第
2集です。まるで映画を見るかのように、シェークスピアの名作の各々場面を
彷彿させ、ここまで想像を膨らませるだけの音楽を書くには、相当作品を読
み込んでいたのでしょう。「お気に召すまま」ではアーデンの森に響き渡る
角笛の音で幕を開けます。羊飼いたちと主人公たちの恋愛騒動は、まるでワー
グナーを思わせる森のささやきと共に描かれていくのです。トスカニーニに
献呈された「ヴェニスの商人」では重苦しい弦のユニゾンで幕を開けます。
聴き手は、シャイロックとアントニオのやりとりを頭の中で描きながら音楽
に没頭できます。他の3曲も素晴らしい描写力です。
8.557881
モーツァルト:ピアノ協奏曲第12、13、14番(ピアノと弦楽四重奏編)
1-3.ピアノ協奏曲第12番イ長調 K414
4-6.ピアノ協奏曲第13番ハ長調 K415
7-9.ピアノ協奏曲第14番変ホ長調 K449
ロバート・ブロッカー (ピアノ)/ビアヴァ四重奏団(メンバー)オースティン
・ハルトマン(ヴァイオリン)/コー・ヒュンスー(ヴァイオリン)/マリー・
パージン(ヴィオラ)/ジャンソン・キャロウェイ(チェロ)
ザルツブルクの大司教コロレドと訣別し、ウィーンに活動の拠点を移したモー
ツァルト(1756-1791)が、1782年の秋に作曲し、自ら主宰した予約演奏会で初
演した第12番と第13番、そしてその2年後に作曲された第14番。各々作風の違
いや、本来の楽器編成の若干の違いはありますが、どれもが若き作曲家の自
信に満ち溢れた輝かしい作品です。とは言え、当時、旅行する機会の多かった
モーツァルトは、例えオーケストラが準備できない場所でも自作を演奏しなく
てはいけませんでした。そんな時のために、これらの協奏曲には「弦楽四重奏
伴奏」の版も用意してあったのです。オーボエやホルンやトランペット、ティ
ンパニ・・・これらがなくとも何と輝かしくたおやかなことでしょう。シンプ
ルな響きの中に溢れる音楽性と知性。「むずかしすぎず易しすぎず、音楽通は
もちろん、そうでない人もなぜだか満足」できるように作られた名曲です。
8.570380
クロイツェル:
1-3.ヴァイオリン協奏曲第17番ト長調
4-6.ヴァイオリン協奏曲第18番ホ短調
7-9.ヴァイオリン協奏曲第19番ニ短調
アクセル・シュトラウス(ヴァイオリン)
サン・フランシスコ音楽院管弦楽団/アンドリュー・モグレリア(指揮)
クロイツェル(1766-1831 フランス読みではクレゼール)は、フランス・ヴァイ
オリン楽派の基礎を作った人で、当時としては先進的なヴァイオリンのヴィ
トゥオーゾであったため、ベートーヴェンから第9番のソナタを献呈されたこ
とで知られています。ただし、クロイツェル自身は演奏しなかったと言われて
いますが・・・。このアルバムで聴ける協奏曲はクロイツェルの作曲家として
の最も脂の乗った時期に書かれたもので、彼の19曲ある協奏曲の最後の3曲と
なります (NAXOSでは彼の協奏曲を全曲リリースする予定です)。溢れるような
旋律美はロマン派を先取りしていて、自由自在に歌うヴァイオリンの調べには
ため息をつく他ありません。脈々と息づくヴァイオリン音楽の伝統を遡る喜び
を味わってみてください。NAXOSイチオシの若手、アクセル・シュトラウスの
素晴らしい演奏です。
8.572088
リース:ピアノ協奏曲集第4集
1-3.ピアノ協奏曲第5番ニ長調「田園風」Op.120
4-6.ピアノ協奏曲第4番ハ短調 Op.115
7.序奏と華麗なるロンド WoO54
クリストファー・ヒンターフーバー(ピアノ)
ボーンマス交響楽団/ウーヴェ・グロット(指揮)
NAXOSのリース (1784-1838)のピアノ協奏曲もこれで第4集目となります。
第5番のタイトル「田園風」は、彼自身が名付けたもので、彼の3曲あるタイト
ル付きの協奏曲の中の1曲ですが、他の2曲とは違い、最初に出版されたスコア
に付されていたものです。このタイトルを聴いて誰もが思い出すのは、ベート
ーヴェンの「田園交響曲」でしょう。もちろんリースもこの曲を良く知っては
いましたが、別に影響されたわけではないようで、当時のボヘミアとオースト
リアには、「牧歌的」なイディオムがそこら中にあったと考える方が正しいよ
うです。タイトル通り、平和で美しい音楽です。もちろん、時として爆発する
瞬間もありますが。それに比べ、ハ短調の協奏曲は調性の特性もあってか、か
なり劇的に始まりますが、終楽章が予想外にのどかなのも面白いところです。
1835年に書かれたロンドは、当時流行の「自らの技巧を誇示するために最適」
な作品。こんな良いものが出版されなかったのが不思議です。
8.572416
カゼッラ:五
1.声楽と管弦楽のための「五月の夜」 Op.20…世界初録音
2-4.チェロ協奏曲 Op.58
5-9.ピアノと少管弦楽のための D.スカルラッティの音楽によるディヴェル
ティメント「スカルラッティアーナ」 (シンフォニア/メヌエット/カプリッ
チョ/パストラーレ/終曲)
アリヴィア・アンドレイニ(メゾ・ソプラノ )…1/アンドレア・ネフェリーニ
(チェロ)…2-4/ユ・ソンヒ(ピアノ)…5-9
ローマ交響楽団/フランチェスコ・ラ・ヴェッキア(指揮)
NAXOSレーベルが力を注ぐ、アルフレード・カゼッラ(1883-1947)の作品集。
今回は声楽曲とチェロ協奏曲、そして彼が研究していたスカルラッティの音楽
に基づいた管弦楽作品と、広範囲に渡る曲を収録しました。「5月の夜」はス
トラヴィンスキーの「春の祭典」に触発されて書かれた作品で、不可解な月の
光が広がる夜から、光溢れる夜明けまでを入念に描いています。同じくストラ
ヴィンスキーのプルチネルラを思わせる「スカルラッティアーナ」、タイトル
こそは付されていないものの、新古典主義的な音の動きを持つ1934年に書かれ
たチェロ協奏曲、と、カゼッラが目指した音楽の方向が見えるような曲ばかり
が選ばれています。
8.559248
スーザ:吹奏楽作品集第8集
1.士官候補生/2.北部の松/3.喜歌劇「エル・カピタン」からセレクション
4.アメリカのボーイスカウト/5.十字軍行進曲
6.喜歌劇「エル・カピタン」から第2幕「オー、ウォリアー・グリム」
7.キャンパスにて/8.ジャック・ター/ 9.在郷軍人会の戦友たち
10.ピッツバーグの誇り/11-13.組曲「王宮にて」
(伯爵夫人/閣下夫人/女王陛下)/14.ワシントン・ポスト
マーティン・ヒントン(コルネット)…6
ロイヤル・アーティレリー・バンド/キース・ブライオン(指揮)
NAXOSの人気シリーズ、スーザ(1854-1932)の行進曲集もこの盤で第8集となり
ます。100曲を越えるマーチは、どれもエネルギーに満ち、聴いているだけで
元気が出てくるような溌剌としたものばかりです。誰もが知っている「ワシン
トン・ポスト」や「士官候補生」はもちろんのこと、こんなに良い曲があった
のか!と驚かせてくれるような曲ばかりが詰まっています。そんなスーザは
「マーチ王」として知られていますが、実はオペレッタも数多く書いています。
この盤では、最も成功した演目「エル・カピタン」からの曲を聴くことができ
ます。1896年に作曲されボストンで初演されたこのオペレッタ、 17世紀のペ
ルーを支配していた臆病な総督が主役の 3幕ものの作品で、今では行進曲ばか
りが知られていますが、1992年にブロードウェイで再演されてから、少しずつ
人気が再燃している息の長い音楽です。スーザのオーソリティ、キース・ブラ
イオンの素晴らしい演奏で。
8.572305
シベリウス:
1-4.交響曲第1番ホ短調 Op.39/5-7.交響曲第3番ハ長調 Op.52
ニュージーランド交響楽団
ピエタリ・インキネン(指揮)
日本でもおなじみ、ピエタリ・インキネンによるシベリウス(1685-1957)。い
よいよ交響曲の登場です。まずは第1番からお聴きください。いつものような
透明感溢れるオーケストラの響き、そして湧き上がるような感情の迸り。まさ
に「これは名演だ」と心から叫ばずにいられません。 1899年に書かれた第1番
は、表題こそ付いてないものの、終楽章には「幻想風に」と記されていたり
と、かなり物語性を帯びた曲です。誰もが想像する北欧の大自然を音にすれば
こんな感じで間違いないでしょう。インキネンは曲の随所にメリハリを持たせ、
テンポ良く進めていきます。そして、金管を思い切り歌わせ、弦を可能な限り
まで揺らめかせ、シベリウスをこれ以上ないほどに丁寧に表現しています。も
っと簡素な趣きを持つ第3番では、爽やかな風を思わせる第1楽章で始まり、曲
の最後まで緊張感が途切れることがありません。全集完成が本当に楽しみです。
8.572228-29 2枚組
メンデルスゾーン:オラトリオ「エリヤ」
エリヤ…ラルフ・ルーカス(バス)/寡婦…ルート・ツィーザク(ソプラノ)/
天使/女王イゼベル…クラウディア・マーンケ(メゾ・ソプラノ)/オバデヤ/
アハブ…クリストフ・ゲンツ(テノール)/少年…ルイゼ・ミュラー(トレブル)
/ライプツィヒ MDR放送合唱団
ライプツィヒ MDR交響楽団
準・メルクル(指揮)
イスラエルの神ヤハウェに仕える預言者を描いた、メンデルスゾーン(1809-
1847)最後の完成作品であるオラトリオ「エリア」。1836年に初演された「パ
ウロ」を越える物を書くために、ルターが訳したドイツ語聖書をもとに作成さ
れた台本を練り上げ、感動的な音楽が付けられています。旧約聖書の「列王
記」に記されたエリアは、徹底した預言者であり、正しき言葉を伝えるために
は、権力者から民衆まで、この世の全てを敵に回すことも厭わないほど激しい
人物でした。しかし、メンデルスゾーンは、彼の中に理想の指導者の姿を見出
し、音楽で余すことなく描き切ったのです。準・メルクルは現代最高の歌い手
たちとともに、この素晴らしいオラトリオを理想的な形で現代に問います。
8.572216
サラサーテ:ヴァイオリンと管弦楽のための作品集第2集
1-5.カルメン幻想曲 Op.25/6.グノーの「ロメオとジュリエット」による演奏
会用幻想曲 Op.5/7.ロシアの歌 Op.49(ヴァイオリンと管弦楽編 )
8.ナイチンゲールの歌 Op.29(ヴァイオリンと管弦楽編 )/9.狩り Op.44
10.ホタ・デ・パブロ Op.52(ヴァイオリンと管弦楽編)
楊天堝(ヴァイオリン)
ナバーラ交響楽団
エルネスト・マルティネス=イスキエルド(指揮)
有名な「カルメン幻想曲」で始まるこのアルバムは、NAXOS期待の新人、1987
年生まれの楊天堝によるサラサーテ(1844-1908)の管弦楽とヴァイオリンのた
めの作品集第2集になります。冒頭から素晴らしい緊張感と美音に満ちた彼女
の演奏に引き込まれない人はいないでしょう。彼女はNAXOSのサラサーテ録音
を一手に引き受けていますが、リリースが進むごとに成熟度が高まるのはさす
が!少女時代から数多くのコンクールを制覇し、アイザック・スターンに学び、
13歳でパガニーニの「24の狂詩曲」を録音、世界各国のオーケストラとも共演
する彼女の今後が本当に楽しみです。サラサーテは一部の曲のみばかりが知ら
れますが、こんなに良い曲があるとは!と驚かれた人も多いはず。情熱的な曲
をもっと聴きたい方は第1集(8.572191)か、ピアノとヴァイオリンのための作
品集の第1集(8.557767)、第2集 (8.570192)もどうぞ。
8.572344
ショパンの弟子たち
《ミクーリ(1819-1897)》
1.2つのポロネーズ Op.8より第1番ト短調/ 2-5.10のピアノ小品集 Op.24より
(ルーマニア風 /練習曲/カンティレーナ/即興曲)/6.2つのポロネーズ Op.8
より第2番変イ長調/《テレフセン(1823-1874)》7.ワルツ変ニ長調 Op.27/
8.即興曲ト長調 Op.38/9.小さな物乞い Op.23/10-13.4つのマズルカ Op.3
/《フィルチ(1830-1845)》14.即興曲第1番変ト長調/ 15.マズルカ変ホ長調
Op.3-3/16.ヴェネツィアの別れ/17.舟歌変ト長調/18.言葉のないロマンス
/19.即興曲第2番変ロ短調/《グートマン(1819-1882)》20.夜想曲変イ長調
Op.8-1/21.鳥たちの目覚め、牧歌 Op.44/22.ボレロ Op.35
フベルト・ルトコフスキ(ピアノ)
優れたピアニストが、そのまま優れた教師であるとは決して言えませんが、
ショパンは「本当に素晴らしい才能を持った者」に自らの音楽を伝えていたよ
うです。ショパンより 9歳年下のミクーリは、「ショパンのピアノ奏法の継承
者」と言われてますが、第1番のポロネーズで見られる和声はかなり独特で、
また先進的。洗練されているとは言い難いかもしれませんが、今、こうして聴
いてみるとかなり面白いと言えるでしょう。ノルウェイのピアニスト、テレフ
センは2年半待ってショパンに弟子入りを許されたという人。その後パリで大
勢し、確固たる地位を築きました。フィルチは11歳から4年間だけショパンに
師事したのですが、残念なことに15歳の時に肺結核で世を去ってしまします。
タッチもショパンに似ていたそうですが、この即興曲第1番は、ショパンその
ものを彷彿させる繊細な作品で、せめてあと 20年生きていれば、ピアノ界の
歴史を塗り替えていたかもしれません。そしてグートマンはショパンとは違
い、大柄で力強い人だったそうで、ショパンは彼に「スケルツォ第3番」を献
呈しています。ショパンが心から信頼を寄せていた人物の一人です。
8.572499
ショパン:歌曲全集
1-17.17の歌曲集 Op.74(乙女の願い/春/悲しみの川 /浮かれた女/好きな場所
/消え失せよ/使者/美しき若者/メロディー/戦うもの/二つの死/いとしき人 /
無くてはならぬものは無く……/指環/許婚者/リトアニアの歌/舞い落ちる木
の葉)/18. 不思議な力/19. ドゥムカ(寂しき小唄)/20-23.ショパンのマズ
ルカによる歌曲(ポーリーヌ・ヴィアルト=ガルシア編 )(16歳(マズルカ第31
番変イ長調 Op.50-2)/私を愛して(マズルカ第23番ニ長調 Op.33-2)/小鳥(マズ
ルカ第47番イ短調 Op.68-2)/コケット(マズルカ第5番変ロ長調 Op.7-1))
オルガ・パシシュニュク(ソプラノ)
ナターリャ・パシシュニュク(ピアノ)
ショパン(1810-1849)はその生涯に、折りに触れて歌曲を書いていましたが、
結局のところ出版することはありませんでした。理由はわかりませんが、もし
かしたらこれらは彼の個人的心情の表れだったのではないでしょうか?ショパ
ンの死後、友人のフォンタナが遺稿を整理し、16曲をまとめて作品74として出
版します。その後、シュレジンガーがもう一曲追加し17曲としてまとまりまし
た。このアルバムではその後に発見された2曲も歌われています。ピアノ曲と
は違い、ほとんどが単純な有節歌曲で素朴なものですが、実に味わい深い音楽
であることに間違いありません。このアルバムでは、ショパンの友人で才能あ
る女性作曲家ポーリーヌ・ヴィアルドがショパンのマズルカに歌詞をつけ「歌
曲に設えた」作品も4曲歌われています。パシシュニク姉妹のチャーミングな
演奏が知られざるショパンの姿を生き生きと伝えます。
8.572450
ルトスワフスキ:ラスト・コンサート
1-5.パルティータ(ヴァイオリンと管弦楽編)/6.インターリュード/7-10.
チェーン II/11-19.花の歌と花のお話(夜の美人/バッタ/ヴェロニク/野ばら、
サンザシ、藤の花/カメ/バラ/ワニ/天使/蝶々)/20.チェーン I
フジコ・イマジシ(ヴァイオリン)…1-5.7-10/ヴァルディン・アンダーソン
(ソプラノ)…11-19/ニュー・ミュージック・コンサーツ
ヴィトルト・ルトスワフスキ(指揮)
偉大なるポーランドの作曲家、ルトスワフスキ(1913-1994)は自作を表現する
にあたって最高の演奏家でもありました。作曲する際も当時流行の前衛主義な
どの周囲のやり方に惑わされることなく、常に彼独自の思想に基づいており、
常に新しい形式を開発し、またそれを推し進めたことで知られています。彼が
追求した形式の一つに「チェーン」というものがありますが、これは偶然性や
不確定な繰り返しなど様々な要素を含み、真意を表現するのは並大抵のことで
はありません。ここで聴ける「チェーンI」と「チェーンII」はまさにこの形
式の最良の姿と言えるでしょう。パルティータは比較的演奏される機会の多い
作品ですが、ここは作曲家の意図が120%伝わる演奏で聴いてみたいものです。
仄暗く神秘的な音色に終始する「花の歌と花のお話」も興味深い連作歌曲集で
す。ルトスワフスキはこのコンサートの3か月と2週間後にこの世を去りました
が、ここには全く感傷めいたものはありません。常に前進する芸術家の意思
強く感じられます。
8.572501
カステルヌオーヴォ=テデスコ:シェイクスピア序曲集第2集
1.お気に召すまま Op.166/2.ヴェニスの商人 Op.76/3.空騒ぎ Op.164/
4.キング・ジョン Op.111/5.冬の叙事詩 Op.80
※トラック3以外世界初録音
西オーストラリア交響楽団/アンドリュー・ペニー(指揮)
第1集(8.572500)で、その劇的で壮大な音楽に驚かされた人も多いことでしょ
う。カステルヌオーヴォ=テデスコ(1895-1968)のシェイクスピア序曲集の第
2集です。まるで映画を見るかのように、シェークスピアの名作の各々場面を
彷彿させ、ここまで想像を膨らませるだけの音楽を書くには、相当作品を読
み込んでいたのでしょう。「お気に召すまま」ではアーデンの森に響き渡る
角笛の音で幕を開けます。羊飼いたちと主人公たちの恋愛騒動は、まるでワー
グナーを思わせる森のささやきと共に描かれていくのです。トスカニーニに
献呈された「ヴェニスの商人」では重苦しい弦のユニゾンで幕を開けます。
聴き手は、シャイロックとアントニオのやりとりを頭の中で描きながら音楽
に没頭できます。他の3曲も素晴らしい描写力です。
8.557881
モーツァルト:ピアノ協奏曲第12、13、14番(ピアノと弦楽四重奏編)
1-3.ピアノ協奏曲第12番イ長調 K414
4-6.ピアノ協奏曲第13番ハ長調 K415
7-9.ピアノ協奏曲第14番変ホ長調 K449
ロバート・ブロッカー (ピアノ)/ビアヴァ四重奏団(メンバー)オースティン
・ハルトマン(ヴァイオリン)/コー・ヒュンスー(ヴァイオリン)/マリー・
パージン(ヴィオラ)/ジャンソン・キャロウェイ(チェロ)
ザルツブルクの大司教コロレドと訣別し、ウィーンに活動の拠点を移したモー
ツァルト(1756-1791)が、1782年の秋に作曲し、自ら主宰した予約演奏会で初
演した第12番と第13番、そしてその2年後に作曲された第14番。各々作風の違
いや、本来の楽器編成の若干の違いはありますが、どれもが若き作曲家の自
信に満ち溢れた輝かしい作品です。とは言え、当時、旅行する機会の多かった
モーツァルトは、例えオーケストラが準備できない場所でも自作を演奏しなく
てはいけませんでした。そんな時のために、これらの協奏曲には「弦楽四重奏
伴奏」の版も用意してあったのです。オーボエやホルンやトランペット、ティ
ンパニ・・・これらがなくとも何と輝かしくたおやかなことでしょう。シンプ
ルな響きの中に溢れる音楽性と知性。「むずかしすぎず易しすぎず、音楽通は
もちろん、そうでない人もなぜだか満足」できるように作られた名曲です。
8.570380
クロイツェル:
1-3.ヴァイオリン協奏曲第17番ト長調
4-6.ヴァイオリン協奏曲第18番ホ短調
7-9.ヴァイオリン協奏曲第19番ニ短調
アクセル・シュトラウス(ヴァイオリン)
サン・フランシスコ音楽院管弦楽団/アンドリュー・モグレリア(指揮)
クロイツェル(1766-1831 フランス読みではクレゼール)は、フランス・ヴァイ
オリン楽派の基礎を作った人で、当時としては先進的なヴァイオリンのヴィ
トゥオーゾであったため、ベートーヴェンから第9番のソナタを献呈されたこ
とで知られています。ただし、クロイツェル自身は演奏しなかったと言われて
いますが・・・。このアルバムで聴ける協奏曲はクロイツェルの作曲家として
の最も脂の乗った時期に書かれたもので、彼の19曲ある協奏曲の最後の3曲と
なります (NAXOSでは彼の協奏曲を全曲リリースする予定です)。溢れるような
旋律美はロマン派を先取りしていて、自由自在に歌うヴァイオリンの調べには
ため息をつく他ありません。脈々と息づくヴァイオリン音楽の伝統を遡る喜び
を味わってみてください。NAXOSイチオシの若手、アクセル・シュトラウスの
素晴らしい演奏です。
8.572088
リース:ピアノ協奏曲集第4集
1-3.ピアノ協奏曲第5番ニ長調「田園風」Op.120
4-6.ピアノ協奏曲第4番ハ短調 Op.115
7.序奏と華麗なるロンド WoO54
クリストファー・ヒンターフーバー(ピアノ)
ボーンマス交響楽団/ウーヴェ・グロット(指揮)
NAXOSのリース (1784-1838)のピアノ協奏曲もこれで第4集目となります。
第5番のタイトル「田園風」は、彼自身が名付けたもので、彼の3曲あるタイト
ル付きの協奏曲の中の1曲ですが、他の2曲とは違い、最初に出版されたスコア
に付されていたものです。このタイトルを聴いて誰もが思い出すのは、ベート
ーヴェンの「田園交響曲」でしょう。もちろんリースもこの曲を良く知っては
いましたが、別に影響されたわけではないようで、当時のボヘミアとオースト
リアには、「牧歌的」なイディオムがそこら中にあったと考える方が正しいよ
うです。タイトル通り、平和で美しい音楽です。もちろん、時として爆発する
瞬間もありますが。それに比べ、ハ短調の協奏曲は調性の特性もあってか、か
なり劇的に始まりますが、終楽章が予想外にのどかなのも面白いところです。
1835年に書かれたロンドは、当時流行の「自らの技巧を誇示するために最適」
な作品。こんな良いものが出版されなかったのが不思議です。
8.572416
カゼッラ:五
1.声楽と管弦楽のための「五月の夜」 Op.20…世界初録音
2-4.チェロ協奏曲 Op.58
5-9.ピアノと少管弦楽のための D.スカルラッティの音楽によるディヴェル
ティメント「スカルラッティアーナ」 (シンフォニア/メヌエット/カプリッ
チョ/パストラーレ/終曲)
アリヴィア・アンドレイニ(メゾ・ソプラノ )…1/アンドレア・ネフェリーニ
(チェロ)…2-4/ユ・ソンヒ(ピアノ)…5-9
ローマ交響楽団/フランチェスコ・ラ・ヴェッキア(指揮)
NAXOSレーベルが力を注ぐ、アルフレード・カゼッラ(1883-1947)の作品集。
今回は声楽曲とチェロ協奏曲、そして彼が研究していたスカルラッティの音楽
に基づいた管弦楽作品と、広範囲に渡る曲を収録しました。「5月の夜」はス
トラヴィンスキーの「春の祭典」に触発されて書かれた作品で、不可解な月の
光が広がる夜から、光溢れる夜明けまでを入念に描いています。同じくストラ
ヴィンスキーのプルチネルラを思わせる「スカルラッティアーナ」、タイトル
こそは付されていないものの、新古典主義的な音の動きを持つ1934年に書かれ
たチェロ協奏曲、と、カゼッラが目指した音楽の方向が見えるような曲ばかり
が選ばれています。
8.559248
スーザ:吹奏楽作品集第8集
1.士官候補生/2.北部の松/3.喜歌劇「エル・カピタン」からセレクション
4.アメリカのボーイスカウト/5.十字軍行進曲
6.喜歌劇「エル・カピタン」から第2幕「オー、ウォリアー・グリム」
7.キャンパスにて/8.ジャック・ター/ 9.在郷軍人会の戦友たち
10.ピッツバーグの誇り/11-13.組曲「王宮にて」
(伯爵夫人/閣下夫人/女王陛下)/14.ワシントン・ポスト
マーティン・ヒントン(コルネット)…6
ロイヤル・アーティレリー・バンド/キース・ブライオン(指揮)
NAXOSの人気シリーズ、スーザ(1854-1932)の行進曲集もこの盤で第8集となり
ます。100曲を越えるマーチは、どれもエネルギーに満ち、聴いているだけで
元気が出てくるような溌剌としたものばかりです。誰もが知っている「ワシン
トン・ポスト」や「士官候補生」はもちろんのこと、こんなに良い曲があった
のか!と驚かせてくれるような曲ばかりが詰まっています。そんなスーザは
「マーチ王」として知られていますが、実はオペレッタも数多く書いています。
この盤では、最も成功した演目「エル・カピタン」からの曲を聴くことができ
ます。1896年に作曲されボストンで初演されたこのオペレッタ、 17世紀のペ
ルーを支配していた臆病な総督が主役の 3幕ものの作品で、今では行進曲ばか
りが知られていますが、1992年にブロードウェイで再演されてから、少しずつ
人気が再燃している息の長い音楽です。スーザのオーソリティ、キース・ブラ
イオンの素晴らしい演奏で。