クラシック輸入盤・新譜情報/グッディーズ

コメントはメーカー案内書より抜粋です。お問い合わせ:goodies2@pc.highway.ne.jp

11-08 No.8

2011年08月05日 16時10分09秒 | Weblog
<GLOR>
GC 11421 \2280
ドヴォルザーク:交響曲第9番 ホ短調 op.95「新世界より」
(録音:2009年8月25-28日)
ヤナーチェク:シンフォニエッタ op.60
(録音:2005年9月7-9日)
シルヴァン・カンブルラン(指揮)
バーデン=バーデン&フライブルクSWR交響楽団(南西ドイツ放送交響楽団)
注目指揮者、カンブルラン待望の新譜の登場。ドヴォルザークの新世界と、
ヤナーチェクのシンフォニエッタといううれしいカップリングです。「新世
界」の第1楽章冒頭は、各声部が鋭く攻め込んで、聴き手を一気に引き込みま
す。第3楽章の気持のよい緊迫感を保つ絶妙なテンポ、終楽章の盛り上がりぶ
りも気持のよいものです。ヤナーチェクのシンフォニエッタの冒頭ファン
ファーレ部分(村上春樹の「1Q84」ですっかり有名になりました)の管楽器パ
ートの巧さは絶品。第2楽章の管による伴奏音型も一糸乱れぬリズムはさすが
です。えもいわれぬ高貴な表情の旋律があらわれる第3楽章では、カンブルラ
ンの繊細なバランス采配が光ります。終楽章は迫力のフィナーレながら、最
後までバランスに一寸の乱れも許さないところが、さすがカンブルランです。
知と情の見事なバランスカンブルラン。9月にも来日がますます待ち遠しく
なる見事な演奏です。



<Orfeo D'or>
ORFEOR 792113 3枚組 \6240
ドヴォルザーク:歌劇「ルサルカ」全曲
カミッラ・ニールンド(S ルサルカ)
ピョートル・ベチャワ(T 王子)
アラン・ヘルト(Bs ヴォドニック・河童)
エミリー・マギー(S 外国の令嬢)
ビルギット・レンメルト(Ms イジェババ・魔法使い)
アダム・プラチェツカ(T 森番)
エヴァ・リーバウ(S 皿洗いの少年)
アンナ・プロハスカ(S 第1の木の精)
ステファニー・アタナソフ(S 第2の木の精)
ハンナ・エステル・ミニュティロ(Ms 第3の木の精)
ダニエル・シュムッツハルト(Br 猟師)
クリーヴランド管弦楽団、ウィーン国立歌劇場合唱団
フランツ・ヴェルザー=メスト(指揮)
録音:2008年8月17日ザルツブルク、モーツァルト・ハウス(旧祝祭小劇場)
(ザルツブルク音楽祭におけるライヴ・デジタル)
2008年のザルツブルク音楽祭はカラヤン生誕百年を記念して盛大に行われま
したが、中でも白眉と絶賛を博したドヴォルザークの歌劇「ルサルカ」の待
望のCD化です。『ルサルカ』は、フケー「ウンディーネ」やアンデルセン
「人魚姫」をヒントに、水の精ルサルカと人間の王子との悲恋を、民族情緒
溢れる旋律とワーグナー流のライトモチーフでドラマティックに描いた傑作。
この上演では、森の妖精たちを「娼婦」に読み替えたヨッシ・ヴィーラーと
セルジョ・モラービトによる演出が賛否を巻き起こしたのに対して、フラン
ツ・ヴェルザー=メスト指揮する音楽面は聴衆から圧倒的な支持を獲得しま
した。特筆すべきは、わざわざアメリカから連れてきてザルツブルク音楽祭
のピットに初めて入れたクリーヴランド管弦楽団のクウォリティの高さ!セ
ル、ドホナーニなど中欧の名指揮者たちの薫陶を受けたこのオケのもつ格調
高い音色と精緻なアンサンブルはドヴォルザークのスコアから極めて説得力
に満ちたサウンドを生み出して感動的です。ヴェルザー=メストの指揮も極
めて誠実でバランスのとれたもの。ドヴォルザークの民族的な旋律を巧みに
生かしつつも情緒に溺れることなく全体を構築し、作品の素晴らしさを改め
て実感させてくれます。歌手は、新国立劇場に度々登場して日本でもお馴染
みのニールントによる清純なルサルカが絶品、先日のメトロポリタン・オペ
ラ来日公演で絶賛されたベチャラもリリックな表現とドラマティックな声量
の両方を求められる難易度の高い王子役で驚異的な絶唱を聴かせます。他に
も2011年11月の新国立劇場公演でイジェババを歌うレンメルト、情熱的な外
国の令嬢役のマギー、ヴォドニク役のヘルトの性格表現、そして木の妖精役
に今売り出し中のアンナ・プロハスカを起用するなど端役に至るまで充実し
た配役。舞台上演のライヴ録音であることを忘れさせるほど細部まで完璧な
演奏で、この魅力的な作品を鑑賞する上で強力なファーストチョイスが登場
した言えるでしょう。録音も劇場空間をよく捉えていて、優秀です。




<harmonia mundi>
HMU 907511 4枚組 \4850
L.クープラン:チェンバロ作品全集
[CD1]
I. Suite in C major(A)
II. Suite in C major(B)
III. Suite in C major(B)
IV. Suite in C minor(A)
V. Suite in D major(A)
[CD2]
VI. Suite in D minor(B)
VII. Suite in D minor(B)
VIII. Suite in E minor(A)
IX. Suite in F major(A)
[CD3]
X. Suite in F major(A)
XI. Suite in G major(B)
XII. Suite in G major(B)
XIII. Suite in G minor(B)
XIV. Suite in G minor(A)
XV. Suite in G minor(A)
[CD4]
XVI. Suite in A minor(B)
XVII. Suite in A minor(B)
XVIII. Suite in A minor(B)
XIX. Suite in A major(B)
XX. Suite in B minor(A)
XXI. Suite in B-flat major(B)
リチャード・エガー(チェンバロ)
録音:2009年4月16-20日、2010年2月20-24日
使用楽器:
(A)Joel Katzman, Amsterdam, 1991, after Ruckers, Antwerp, 1638
(B)Joel Katzman, Amsterdam, 1995, after an anonymous original
(probably Jacquet), Paris, 1652
Pitch: a’ = 398 Hz / Temperament: ‘ordinaire’
(quarter-comma meantone)
演奏曲順はリチャード・エガーによる。ナンバリングは、ブルース・グスタ
フソンのL.クープラン作品カタログに依る。
「ルイこそがクープラン一族で最も重要で、あらゆる時代を通じて最も偉大
なチェンバロ音楽の作曲家である。・・・モーツァルトやパーセルのように
道半ばにして夭折してしまったのが悲しくてならない」とルイへの深い尊敬
と愛情を熱く語るエガー。ニューグローブ音楽事典などの「L.クープランは、
フランソワに次ぐクープラン家で最も重要な作曲家であり、17世紀のもっと
も重要な鍵盤作曲家」といった記述に対し、エガーは「これにまったく賛成
できない」と言います。ルイの魅力である厚みのある進行、時にどぎついま
でに刺激的な不協和音を、エガーは効果的に響かせています。4枚目の終曲
「パリのカリヨン」でのまさに鐘のような音色は圧巻。「これは、チェンバ
ロのために書かれた音楽の中で私が最も愛するものだ。私がこの楽器に触れ
るようになった初めのころからこれらの作品は常に私の傍にあった。私はこ
の素晴らしい作品を録音することができて大変幸せに思う。」まさにエガー
が渾身のエネルギーをもってルイの真価を問う、真剣勝負です。




<naive>
V 5278 \2280
アレクサンドル・ピエール・フランソワ・ボエリ(1785-1858):
幻想曲とフーガ 変ロ長調op.18-6
アンダンテ・コン・モート 変ロ長調 op.18-1
アンダンテ・コン・モート ト短調 op.43-7
トッカータ ロ短調op.43-13
アレグロ・マ・ノン・トロッポ ヘ短調 op.18-7
フランツ・リスト:
システィーナ礼拝堂への祈り/バッハの名による前奏曲とフーガ
R.シューマン:ペダル・ピアノのためのスケッチ(4小品)op.58
ブラームス:プレリュードとフーガ ト短調 WoO10
アルカン:
プレリュード 変ロ短調 op.66-10/プレリュード 変ホ短調 op.66-5
オリヴィエ・ラトリー(エラール製ペダル・ピアノ(1853年、パリ))
録音:2011年3月
ナイーブから、興味深い盤の登場!博物館に収められた貴重なペダル・ピア
ノの楽器を用いたCDです。ペダル・ピアノとは、パイプオルガンと同じ配列
の足鍵盤をもつピアノのこと。手鍵盤は7オクターブ85鍵(現代のピアノは88
鍵)。足鍵盤は2オクターブ。足鍵盤を操作すると手鍵盤と同じ弦が鳴るもの
と、足元に足鍵盤用の弦が張られ響板がついているものの2種ありますが、
この録音では後者の楽器が用いられています。
モーツァルトが自身のコンサートの即興演奏でペダル・ピアノを用いたとい
う記述がのこっているほか、19世紀にリストやアルカン、メンデルスゾーン
らがこのペダル・ピアノに興味を示し、いくつかの作品が残されています。
オリヴィエ・ラトリーは世界を代表するオルガン奏者。リストのバッハの名
による前奏曲とフーガでは、楽器が割れんばかりに響きまくる熱演ぶり。ち
なみに、このペダル・ピアノ、通常のピアノのダンパーペダルにあたるペダ
ルがあるにはありますが、そもそも奏者は足鍵盤を演奏しなければならない
ので、あまりダンパーペダルを使うことができません。ダンパーペダルほぼ
無しで、足鍵盤の効果があるとはいえ、リスト作品のこの超絶技巧のものを
ここまで聴かせるとは、ラトリーおそるべしです。
フランス宮廷に仕える音楽家の身分から、フランス革命の激動でパリの地で
ピアノ教師、オルガニストとして余生を送ったボエリの作品から、シューマ
ンのペダル・ピアノのための作品、さらに、リストの「システィーナ礼拝堂
への祈り」(モーツァルトの「アヴェ・ヴェルム・コルプス」の引用も聴か
れます)も入った充実の内容。楽器マニア、ラトリー・ファン、広く聴いて
いただきたい1枚です。




<helicon>
HEL 029646 \2080
ブラームス:交響曲第4番ホ短調Op.98
録音:2006年11月テルアビブ、マン・オーディトリアム(ライヴ・ステレオ)
サン=サーンス:交響曲第3番ハ短調Op.78「オルガン付き」
録音:2007年10月テルアビブ、マン・オーディトリアム(ライヴ・ステレオ)
アレクサンドル・ゴリン(Org)
イスラエル・フィルハーモニー管弦楽団
ズービン・メータ(指揮)
1936年生まれの巨匠ズービン・メータにとって、こだわって録音を重ねてき
たプログラムをカップリングしたアルバムは、ブラームスが2006年11月、サ
ン=サーンスが2007年10月に、いずれもイスラエル・フィルを指揮して本拠
テルアビブのマン・オーディトリアムでおこなったコンサートの模様をライ
ヴ収録したものです。




<ONDINE>
ODE-1188 \2080
ベルリオーズ:イタリアのハロルド
パガニーニ:大ヴィオラと管弦楽のためのソナタ
1.ベルリオーズ:歌劇「ベアトリスとベネディクト」Op.27より序曲
2-5.ベルリオーズ:
イタリアのハロルド(ヴィオラ独奏と管弦楽のための交響曲)Op.16
6-8.パガニーニ:大ヴィオラと管弦楽のためのソナタOp.35
デヴィッド・アーロン・カーペンター(ヴィオラ)…2-8
ヘルシンキ・フィルハーモニー管弦楽団
ウラジーミル・アシュケナージ(指揮)
録音2011年4月13-16日ヘルシンキフィンランディア・ホール
弱冠25歳。若きヴィオリスト、アーロン・カーペンターのONDINE2枚目のアル
バムです。前作はエッシェンバッハ&フィルハーモニア管をバックに、エルガ
ーとシュニトケという、かなりコアなレパートリーを聴かせましたが、今作は
ベルリオーズ(1803-1869)とパガニーニ(1782-1840)という、技巧的にもなかな
か興味深い曲で勝負です。バックを務めるのはアシュケナージ&ヘルシンキ・
フィルの組み合わせ。いかなる時にも落ち着いた演奏が、この俊英の美音を引
き立てています。ベルリオーズの「イタリアのハロルド」は、元々パガニーニ
に依頼された曲で、ヴィオラ・パートをパガニーニが演奏することを想定し
て作られたのですが、第1楽章を作った段階で、パガニーニが不満を述べたた
め、以下の楽章は自由に作曲され、あまりヴィオラが活躍しないものとなって
しまいました(終楽章に至っては、最初と最後以外ほとんど演奏箇所なし)。
この録音では、パガニーニがより超絶的に改編した第1楽章を演奏しています。
パガニーニの作品は、彼自身がオーダーして作成した5弦の大型ヴィオラのた
めの協奏曲形式のソナタで、こちらは万遍なく凝らされた技巧が聴きものの華
やかな作品です。

ODE-1173 \2080
カイヤ・サーリアホ:作品集
1-6.クラリネット協奏曲「D' OM LE VRAI SENS」(2010)
7.ラテルナ・マギカ(幻灯機)(2008)
8-11.レイノの歌(2007)(あなたを見て/心/.平和/夕べに祈る人)
カリ・クリック(クラリネット)…1-6/アヌ・コムシ(ソプラノ)…8-11
フィンランド放送交響楽団
サカリ・オラモ(指揮)
録音2010年1月7日エスポー,セロ・ホール…7-11,2010年5月31日-6月1日ヘルシ
ンキフィンランディア・ホール…7,2011年4月18-20日ヘルシンキクルットゥー
リ・タロ…1-6
フィンランドの女性作曲家サーリアホ(1952-)の最近の3つの作品です。最初の
曲は、彼女が博物館で中世のタペストリーを見た時のインスピレーションが元
になってできたもの。もとより、クラリネット奏者クリックのために曲を書き
たいと考えていたサーリアホは、この想いを6つの部分からなる協奏曲に描き
出しました。「聴覚」「視覚」「触覚」「嗅覚」「味覚」そして「一つの欲求
(第六感)」。このように題された各部では、クラリネット奏者はホールの様々
な位置を移動しながら、陶酔的で強烈な音楽を奏し続けます(2010年9月に初演
されたフィンランディア・ホールとは違う場所の録音ですが、この奏者の立ち
位置は、どのホールでも柔軟に対応させることと指示されています)。「ラテ
ルナ・マギカ」は2007年に死去したスウェーデンの映画監督イングマール・ベ
ルイマンの思い出のために書かれた作品で、管弦楽の緻密な響きと鋭い打楽器
の音色が夢幻的な空間を作り出しています。「レイノの歌」では創造と破壊を
繰り返す世界が歌われます。

ODE-1180 2枚組 \3450
チャイコフスキー:バレエ音楽「くるみわり人形」Op.71 全曲
ロシア・ナショナル管弦楽団
ミハイル・プレトニョフ(指揮)
録音2011年3月モスクワモスフィルム・レコーディング第1スタジオ
昨年、何かと話題になった指揮者プレトニョフ。いろんなことはさておいて、
彼の「くるみわり人形」は格別のものがあるのではないでしょうか?なにより
彼がピアノ独奏用に編曲したヴァージョンは、高い技巧性と音楽性を兼ね備え
ており、今でも人気が高く愛好する人が途絶えません。さて、手兵によるこの
演奏、まさに「水を得た魚」状態とでも言う他ありません。煌めく音の粒、は
じける楽想。どこもかしこも楽しげに輝いています。プレトニョフが得意とす
る第2幕のパ・ド・ドゥの見事さと言ったら!言葉に尽くせません。ぜひ既発
売の「白鳥の湖」(ODE-1167)も併せてお聴きください。

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